2008年9月5日金曜日

BN/Siヘテロダイオード太陽電池の試作に成功!


図1 太陽電池に用いられるp型BN/n型Siヘテロダイオードの概念図


出典:http://www.nims.go.jp/jpn/news/press/press247.html
- 世界初・耐久性に優れ宇宙でも活躍・将来は透明太陽電池も -
平成20年9月4日 独立行政法人物質・材料研究機構
概要 独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:岸 輝雄)半導体材料センターの小松正二郎グループリーダーらは、可視光に対して透明で、もっとも丈夫な材料(高温耐火物)のひとつである高密度窒化ホウ素(sp3-結合性BN)による太陽電池の試作に世界で初めて成功した。地球温暖化、燃料資源の枯渇・高騰に対処するため、様々な省エネルギー技術・新エネルギー開発が活発化している。なかでも太陽電池はシリコン太陽電池の実用化により普及が世界的に進んでいる。しかし、シリコンにはない機能や特徴を持つ太陽電池材料の発見、開発の余地もまだ大きく残されており、開発競争は激しい。今回発表するBN/Si系太陽電池は今まで報告例がなく、物質・材料研究機構が世界に先駆けて着手し、作製に成功した。BNは、紫外レーザや透明トランジスタなどを可能にするワイドバンドギャップ1)半導体2)として、期待されている材料だが、従来は半導体化に必要なドーピング3)が困難であった。今回、高密度BN薄膜のドーピングにレーザミキシング・プラズマCVD法という独自の手法を用いた結果、世界で初めてBN/Siヘテロダイオード4)の作製に成功した。これを用いて太陽電池を試作したところ、2%程度の発電効率を示した。これは現在の最も進んだシリコン太陽電池の水準(18%)と比較すると大きな開きがあるが、世界で初めて試作されたBN/Siヘテロダイオード太陽電池の出だしのデータとしては前途有望な値と考えられる。 今回採用されたレーザミキシング・プラズマCVD法は、ダイヤモンドと同等な原子間結合様式をもつ高密度BN(sp3-結合性BN)が合成されると同時にシリコ
ンのドーピングが進行するプロセスであり、これにより世界で初めてBN/Siヘテロダイオードが実現できた。また、レーザミキシング・プラズマCVDは、ワンステップで太陽電池セルが作製できることも特徴であり、この製造法では、電池薄膜の表面がミクロンサイズのコーンに覆われるため、太陽光の反射が抑えられ、光吸収効率の向上に役立つ。 BN/Si太陽電池は、特に耐久性、信頼性、耐候性などの要求がシビアな無人観測装置や、宇宙環境などの用途に特化したものが製品化される。今後、今回作製に成功したp型BNに加えて、n型BNを作製し、全体がBN製のホモダイオードを作製する予定で、この場合、可視光に対して透明な電池が出来る。これにより、蓄電池との組み合わせによる車載型サンルーフ発電システム、サングラスや窓に貼り付けられる太陽電池などの開発が期待される。 本研究成果は9月5日開催の応用物理学会(中部大学)にて発表される予定である。
詳細はPDF版(323 KB)でご覧ください。


2008年9月4日木曜日

「CO2のない緑色成長」 ちぐはぐな政策(1)(2)


出典:http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=104223&servcode=300§code=320
 政府が太陽光熱発電事業を育成するために支援していた補助金を来月1日からは大幅に減らす。10月以降に完工する3メガワット以上の太陽光熱発電所の場合、政府から受けていた補助金(発電差額)は30%以上も減ることになる。例えば、政府が以前、3メガワット以上の太陽光熱発電業者が生産した電気を一般電気よりも高い1キロワット当たり677ウォンで買っていたとすれば、10月からは200ウォン以上低い472ウォンで買い取ることになる。今年4月の経済政策調整会議ですでに予告されていた事項だが、太陽光熱発電企業は「未来の新しい成長産業である発電事業を阻害する政策だ」と反発している。 特に、李明博(イ・ミョンバク)大統領が8月15日の祝辞で低二酸化炭素の緑色成長に言及し、緑色エネルギーを強調したことを考えると、これに逆行する政策だ、という指摘が多い。 知識経済部は補助金価格体系を現在の2段階から5段階に細分化した後、小容量を生産する零細業者の場合は現在の基準の8.4%、3メガワット以上を生産する大型発電所の場合は30.2%引き下げることにした。 LGは3日、泰安に国内最大の太陽光熱発電所を完工した。 この日の竣工式でLGソーラーエネルギーの安成徳(アン・ソンドク)代表は「政府の補助金削減は太陽光熱発電所の建設に大きな負担となる」とし「太陽光熱発電の大衆化のため政府が積極的に支援することを希望する」と述べた。また「太陽光熱事業は収益事業である前に未来の成長事業であるだけに、自立基盤を整えるのに2年の猶予期間を与えるのが望ましい」と付け加えた。

「CO2のない緑色成長」 ちぐはぐな政策(2)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=104224&servcode=300§code=320
 別の太陽光熱発電業者の関係者も「太陽光熱の需要があってこそ技術開発も進む」とし「環境・エネルギー事業は中長期的な観点で接近しなければならないが、‘大企業は太陽光熱事業をするな’と言っているようなものだ」と批判した。 政府の主張にも反論した。 「太陽光熱発電は規模の経済が必要ないと言っても、小規模な発電所が乱立すれば各社が電柱を設置しなければならないため、電力インフラを浪費することになる」と話した。 知識経済部のチョン・チャンヒョン新再生エネルギー課長は「政府補助金を一部の大規模事業者に集中させず、底辺を拡大するのが目的。太陽光熱発電事業は‘規模の経済’が必要なく、3メガワット超の大容量発電事業をする大企業が政府補助金の恩恵をたくさん受けるようにする必要はない」と述べた。 またチョン課長は「これら大規模な事業者はすべて輸入設備に依存しているため、事実上、国内太陽光熱産業に寄与する付加価値はない」とし「来年には大容量事業者に支給する発電差額だけで1800億ウォン(約180億円)台になるが、外国のモジュールを輸入して設置するだけの太陽光熱発電に政府が大金を補助するということ自体がナンセンス」と語った。 一部の太陽光熱事業者が「先進国に比べて支援が少ない」と主張していることに対しても、「ドイツやスペインも巨額の発電差額を支給しているが、最近の議会では『発電差額が太陽光熱の普及に寄与する比率は3%未満にすぎず、減らすべきだ』という主張が出ている」と説明した。


反射抑えて太陽光発電 蹴上浄水場に設置 景観に配慮


景観に配慮した太陽光発電システムが設置された蹴上浄水場(午前9時50分、京都市東山区)


出典:http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008090400091&genre=H1&area=K00
 京都市上下水道局の蹴上浄水場(東山区)に4日、景観に優しい太陽光発電
システムが設置された。一般的なパネルと異なり表面の反射を抑えた特注品で、
市は今後、景観保全と地球温暖化防止を兼ね、設置数を増やしていく。
 上下水道局は、各浄水場に太陽光発電設備の導入を進めている。蹴上浄水場
が風致地区内にあり、既存の設備が設置できないため、昨年11月に太陽光パ
ネルを生産する京セラ(伏見区)に、規制に合った製品の開発を依頼した。
 特注品は、黒に近い色のパネルを黒い土台に置き、表面のガラスが光を反射
しないよう加工した。事業費は4700万円。場内山側の配水池に並べた。最
大出力は20キロワットで、浄水場内の電力として使う。



【EU PVSEC】シャープ,製造コストを50%削減できるウエーハ製造手法を発表


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080903/157425/
 シャープは,製造コストを50%削減できるウエーハの製造方法を発表した
(2BO.3.1:New Wafer Technology for Crystalline Sillicon Solar Cell)。
ベルトコンベアなどを使った自動化ラインを既に構築しており,「量産レベ
ルの技術」(発表者)とした。
 製造方法は次の通りである。まず,溶解したSiに基板を接触させて,基板の
表面にSiを付着させる。その後,付着したSiを剥がして得たシート状のSiの周
囲をレーザーで除去して大きさを整える。レーザーで除去したSiは再び溶融し
て再利用する。発表では,動画を使って製造フローを示したが,付着したSiを
剥がす手法は非公開とした。
 開発を始めてから10年で,外形寸法が156mm×156mmと大きく,1825cm2/分と
いう高いスループットを実現した。ウエーハ1枚当たり8秒で製造できる。セル
の厚さは300μmである。既存のキャスト法で製造した厚さ200μm程度のセルに
比べて,製造コストは50%になるという。変換効率は2006年時点で14.8%を実
現している。現在の変換効率の値は明かさなかった。42枚のセルで構成したモ
ジュールでは,144Wの最大出力を得た。



太陽電池の“スーパーカー”対決


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20080829/157144/
2008/09/01 10:10
河合 基伸=日経マイクロデバイス
 「太陽電池に詳しいユーザーには,三洋電機製が一番人気ですね。変換効率がダントツに高いことから,太陽電池の“スーパーカー”的な存在です」――。

 今年の夏は,太陽電池に関するイベントが相次いで開催されました(Tech-On!の太陽電池サイト)。冒頭のコメントは,ある懇親会で,太陽電池モジュールの再利用事業を手掛ける企業の方から聞いたものです。

 三洋電機は,モジュール変換効率が高く,高温時の出力低下が少ない独自の「HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)太陽電池」を持っています。国内では,変換効率の高さで向かうところ敵なしです。この点が,太陽電池に詳しいユーザーを引きつけているようです。

 しかし,この状況が変わるかもしれません。米国から,別の“スーパーカー”が上陸する可能性があるのです。それは,東芝が「太陽電池事業の可能性を検討している。現在,各メーカーの太陽電池モジュールを検証中」と表明したことと関係があります。この東芝のモジュール調達先として名前が挙がっているのが,米SunPower Corp.です。

 SunPowerは,電極を背面のみに配置するバック・コンタクト構造を採るのが特徴です。光を遮る電極が表面にないために,変換効率が高いほか,セル全面が黒く見えて意匠性に優れます。

 三洋電機とSunPowerは,これまでも実用レベルの結晶Si型太陽電池で,変換効率の最高値を競ってきました。2007年9月の学会「EU PVSEC」では,三洋電機が公的機関の測定で22.3%を,SunPowerは自社測定ながら22.4%を実現しています(関連記事12)。0.1ポイントの差を付けられた三洋電機は「公的機関の測定と社内測定を同列に扱うことはできない」と反論していました。

 いずれにせよ,SunPowerが上陸すれば,高い変換効率に魅力を感じるユーザーの選択肢が増えることになります。果たして,再利用モジュールの人気番付に変化はあるでしょうか。また,9月1日から始まった今年のEU PVSECでは,どちらが高い変換効率を示すのでしょうか。変換効率向上のために,どのような技術が導入されているのか楽しみです。日経マイクロデバイスでは,引き続き取材を続けます。

 ちなみに,冒頭のモジュール再利用事業を手掛ける企業の方は,「われわれの事業を太陽電池メーカーがどう思っているのか怖くて聞けない」と心配していました。
 知り合いの太陽電池メーカーの方に聞いてみると,「太陽電池を廃棄することなく再利用してもらって感謝している。すばらしい事業だ。ぜひ情報交換したい」との答えが返ってきました。一度,連絡してみたらいかがでしょうか。その結果として,太陽電池メーカーを巻き込んで,太陽電池モジュールの再利用がさらに進むことを期待しています。



盆栽のような太陽電池式充電器



出典:http://www.gizmodo.jp/2008/09/post_4261.html
これくらい美しいガジェットだと、積極的にリビングなどに飾りたくなります。太陽電池式充電器。デザイナーVivien Mullerによるすばらしいコンセプトデザイン。レゴの盆栽とでも表現すればよいでしょうか。大きさの異なる小さい枝を自由に組み合わせボディを作り、54枚の太陽発電パネルを葉っぱのように取り付け
て使います。葉っぱが日光を受け取り、光合成のように電気を作り、あなたの大切なガジェットを充電してくれるという仕組みです。なお、アダプターはトレイの下に収納可能です。以下にパーツの拡大写真を掲載。これは本当に欲しいなあ。誰か作ってくれませんか?
[Vivien Muller Portfolio via Behance Network]
http://10ein.blogspot.com/2007/07/il-vous-suffit-de-poser-ngligemment-le.html
http://www.behance.net/Gallery/PhotonSynthesis/121180
John Mahoney(MAKI/いちる)



太陽電池関連 今後3年間、年平均83%成長予想も 板硝子に続くのは…?


出典:http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=108812&dt=2008-09-03
太陽電池関連 今後3年間、年平均83%成長予想も
 板硝子に続くのは…?



太陽電池関連株に再脚光――。市場では「あらためて話題が増加してきた」との声も聞こえるなど話題が豊富なだけに、再度チェックしておきたい。

  好業績の関連銘柄続々


その象徴的存在が年初来高値を更新中の日本板硝子(5202)。同社は8月25日付でクレディ・スイス証券が太陽電池用ガラス基板が急速に売り上げと利益を伸ばしていると指摘し、「太陽電池関連」の材料性を提起。さらに、29日付でモルガン・スタンレー証券(MS)が「ソーラーガラスに注目:NSGの収益構造の改善効果に着目」と題するリポートを出して材料を補強した。MSは、3年間で太陽光発電(PV)市場の平均年率83%成長を予想。同社の2010年3月期のソーラーガラス営業利益は140億円に達し、連結営業利益470億円の30%を占めるまで成長するとし、投資判断「強気」、目標株価830円としている。

その中、三菱UFJ証券は週間株式投資戦略(1日号)で「再び脚光集まる『新エネルギー』関連銘柄」と「CO2排出量削減に本腰…太陽電池の導入加速へ」と題する2つのトピックスを掲載。同関連に熱の入れようがうかがえる。

前者では、国内外の太陽電池関連株の株価が「大きくアウトパフォームする場面があった」と指摘、米大統領選(投票日は11月4日)で民主党・オバマ候補が「環境問題」を公約の柱の1つとしており、選挙戦本格化が刺激材料となる可能性も示唆している。その中、「製造装置メーカーに大幅増益決算や上方修正が相次ぐ」とし、好実態銘柄の例として、上方修正をしたフェローテック(6890・JQ)とエヌピーシー(6255・東マ)を挙げている。

三菱UFJリポートの後者、「CO2排出量削減に本腰…太陽電池の導入加速へ」と題する項では、今年6月に発表された地球温暖化対策「福田ビジョン」で50年までに主にCO2などの地球温暖化ガスの大幅な排出量削減が表明され、太陽電池(太陽光発電)の導入を加速させると指摘。太陽電池の導入量を20年までに現状の10倍、30年に同40倍の目標が掲げられていることや、住宅用太陽電池導入を促進するため、09年度に05年度以来となる補助金が復活することなども好材料として紹介されている。(B)

太陽電池関連銘柄
太陽電池の主要メーカー
単・多結晶シリコン型 シャープ(6753)、京セラ(6971)、三洋電(6764)、三菱電(6503)
薄膜シリコン型 シャープ(6753)、三洋電(6764)、カネカ(4118)、三菱重(7011)
化合物型 昭和シェル(5002)、ホンダ(7267)
色素増感型 昭和電(4004)、藤森工(7917)、フジクラ(5803)
太陽電池製造装置の主要メーカー
アルバック(6728) 米アプライド・マテリアルズと並ぶ太陽電池製造装置の総合メーカー
日清紡(3105) 後工程装置一式を手掛ける、検査装置の国内シェアは90%
エヌピーシー
(6255・東マ) 後工程装置で世界シェア4割超、太陽電池関連売上高91%
プロデュース
(6263・JQ) 太陽電池セル用の電極形成・検査装置などを展開
東洋炭素(5310) シリコンを溶融するヒーター・ルツボで世界シェア30%
フェローテック
(6890・JQ) 太陽電池用シリコンインゴッドの製造装置を展開、中国中心に展開
東京製綱(5981) 太陽電池用ウエハーの切断装置、フェローテックと提携し中国強化
石井表記
(6336・2部) 太陽電池用ウエハー受託加工と製造装置、太陽電池関連売上高45%
(出所:三菱UFJ証券作成)
太陽電池メーカーの生産能力増強計画
  現状 増強後 時期
シャープ(うち薄膜型) 710MW(15MW) 1695MW(1000MW) ~2010/4
三洋電 260MW 600MW 2010年度
京セラ 207MW 500MW 2010年度
三菱電 150MW 600MW 2011年度
昭和シェル 20MW 1000MW超 2011年度
生産能力は年間生産能力(出所:三菱UFJ証券作成)





Dow Corning社、太陽光発電のコストを削減可能な製造プロセスを開発


出典:http://www.ednjapan.com/content/l_news/2008/u0o686000000q3fa.html 
米Dow Corning社は、太陽電池パネルのコストを下げることが可能な新製造プロセスを開発した。そのプロセスでは、新たに開発したシリコン材料と同社の封止材料「PV-6100」を組み合わせることで、透明な積層板によって太陽電池パネルのセルを保護する。これによって、現在使用されているEVA(エチレン酢酸ビニル)樹脂を置き換えることが可能になる。 Dow Corning社は今回開発した製造プロセスについて、「新たな製造装置や大規模な設備投資などは必要としない」と説明している。新たに開発したシリコン材料を使用することで、変換効率の向上や太陽電池モジュールの長寿命化、耐紫外線性の最適化などが行えるという。 Dow Corning社で太陽電池市場向け事業部門のグローバルインダストリディレクタを務めるGaetan Borgers氏は、「今回開発した技術は太陽電池業界に革新的な変化をもたらすと期待している。これにより、太陽光発電は今後も世界中で使われ続けるエネルギの1つになるだろう」とコメントしている。 なお、Dow Corning社は新たに開発した製造プロセスと封止材料について、米ミシガン州フリーランドにある同社の太陽電池アプリケーションセンターにおいて、パートナ企業とともに検証を行っているという。同社は、新技術を2009年半ばにも実用化したい考えである。

山谷剛史の ニーハオ!中国デジモノ・案外エコかも……中国発「ソーラー充電器」のトホホぶり



出典:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080828/1018064/
2008年09月03日
Prev Next  2008年というと、北京五輪の年であり、やたら中国が話題になった年だと思うかもしれないが、日本が主催の「洞爺湖サミット(第34回主要国首脳会議)」の年であることも忘れちゃならない。洞爺湖サミットは別名“環境サミット”とも呼ばれ、会議前にはエコを推進する記事やテレビ番組がやたらと目立った。
中国で“エコ”は無縁じゃないんです
 さて、中国というと世界の工場で、環境をあまり考えないというイメージだろう。しかし、中国は工場地帯や港湾ばかりに注目せず庶民の生活に目を向ければ、意外なことに、日本以上にエコに取り組んでいるといえる部分もある。例えばレジ袋。6月はじめに、中国全土でレジ袋が有料となった。いい意味でも悪い意味でもケチで商売上手な中国の消費者は、それまでにもらった他店のレジ袋をマイバックにしてレジ袋をもらわないように(余計なお金を払わないように)努力している。

スーパーではレジ袋が有料化。相手が旅行者の外人だろうが容赦ないぞ

中国でもマイバックを推奨している
 例えば太陽光湯沸かし器。多くの近代的な住宅には、集合住宅、戸建住宅を問わず太陽光湯沸かし器が備わっている。電気温水器やガス湯沸かし器はオプションで、建物に最初から備わっていないので、経済的に中から下の家庭が、太陽光湯沸かし器から、シャワーの湯などを供給している。曇りや雨の日が続けばお湯が出ないわけで、家でシャワーは浴びられなくなるのだ。

中国の街をちょっと高いところから眺めると、屋上には太陽光湯沸し器がたくさん置かれているのが見て取れる
太陽電池製品が登場。でも高いぞ!
 そんな中国で、ポータブルな太陽電池が発売された。当連載でも何回か紹介している、中国ナンバー1周辺機器メーカーの「愛国者(aigo)」が作った「動力艙」という製品がそれ。単に太陽光パネルを本体につけて充電するだけではなく、説明を見る限り面白いギミックとなっている。

下位モデルの動力艙I2900。両面に異なるパネルを備え、片面は白昼の太陽光用、もう片面は室内灯用となっていて、光の状況で使い分けチャージする

上位モデルの動力艙I2911。バタフライモデルというのだろうか、3面に開き、大きな面積で電力をチャージする
中国メーカーというと、こなれた製品を安価に販売というイメージがあるが、これはほかにあまり類を見ないギミック搭載で面白い。しかし問題はその値段。下位モデルの動力艙I2900で499元(約8000円)、上位モデルの動力艙I2911で799元(約1万3000円)と、若いサラリーマン層の月収の3分の1から半分に達する。IT製品に貪欲な若者には高すぎる価格だ。
愛国者の太陽電池を買いに行った
 中国人には手が届きにくい価格の太陽電池製品。しかしそのギミックの面白さと実用性から、筆者は上位モデルを購入することに。行った先は上海の電脳街「徐家匯(シージャーフイ)」。先に筆者の滞在する某地方都市の電脳街でこの製品を探したのだが、非主流商品で価格が高いことからか、愛国者製品代理店では置いていなかった。で、上海というわけ。
 徐家匯の電脳街には、電脳ビルが何棟もあって、各ビルには愛国者製品代理店があるのだが、それぞれの店舗で愛国者製品をくまなく扱っているというわけではなく、やはり売れそうな製品しか置いていないわけで、太陽電池「動力艙」を置いている店もごく少数だった。愛国者に限らず、どのメーカーの代理店も非主流のマイナーな製品はあまり置いていない。代理店だからって販売中の商品は何でも在庫がある、あるいは取り寄せられる、と思ったら間違いで、なければ「没有(メイヨー)」と店員に言われて終了なのだ。で、購入した動力艙I2911。高い製品を買ってくれたものだから店員は大喜び。「日本で売ってなく、魅力的なので買いました!」そう言うと店員はさらに歓喜。喜んだ店員は、あれやこれや世間話をふってきたのだった。早速、これを自宅に持ち帰り、見てみることに。
意外!? 今回は“あまり”トホホじゃないかもよ
 それでは、愛国者の動力艙I2911を紹介しよう。

パッケージ。以前紹介したMP6プレーヤーも、レノボケータイS9もそうだが、パッケージの質感は悪くない

梱包物一覧。専用ポーチも付属するので持ち歩ける

本体の大きさはこれくらい

本体背面。電源端子とUSB端子のいずれかで製品に給電ができる。また本体付属のACアダプターで本体に給電しチャージもできる

専用のケーブルを介すことで、10種類の電源コネクターに対応
写真でみるように、元々が「太陽光で電力をためて、電源として使う」というシンプルなものなので、基本的な性能については難癖を付ける要素のない製品だ。でも、結構使いこなすまでに時間がかかり不満があった。まず一つに、10種類の電源コネクターに対応しているが全然足りない。家にある多くの電気製品にはつながらなかった。つながればラッキーと思うべきだろう。そして出力電源が8.4V 1000mAであること。この電力限定で、かつコネクターが同じ組み合わせの電気製品なんてそうそうないぞ。出力電力が調整できれば最高だったのに。次に付属のポーチが手抜き。実にひねりのないシンプルなポーチなのだが、小さなコネクター類がたくさん付属しているのだから、そのコネクターを入れるためのポケットくらい付けるべきだろう。

太陽光パネル側のボタンを押すと、チャージした電力残量が4段階で青色で表示される

太陽光を当てると、チャージ中であることが赤色で表示される

MP6プレーヤーにつないでバッテリーをチャージ。中国製品同士の夢の競演

レノボケータイS9につないでこちらもチャージ。これまた中国製品同士の競演で、中国人歓喜?
なんと、電力がゼロになると太陽光で充電できないなんて……
 マニュアルだって超手抜きだ。肝心な情報がほとんど書いておらず、会社の宣伝的内容がやたら目立つ。せめて太陽光に何時間さらせばチャージ完了くらい書いてほしかった。 一番致命的だったのは、この製品の電力がゼロになると、いくら太陽光にさらそうがチャージされないこと。ACアダプターを接続して、少しチャージされたことを青色灯で確認したうえで、太陽光にさらさないとチャージされないのだ。この問題は前出の通り、マニュアルには書いていない。 これらの問題を認識したうえで、例えばUSB給電に絞って利用しようと割り切れば、寛容な人にはアリな製品と言えるだろう。携帯電話の充電をまず思い浮かべるが、それ以外でも、たとえばニッケル・水素蓄電池のUSB専用充電器セットをこれと組み合わせれば、太陽光で充電する電池「バイオレッタソーラーギア」と同じことができるし、結構ありじゃないかと。eneloopには専用の太陽光充電器「N-SC1S」が発売されているが、それより汎用的に使える(保証はないが)。またUSBハンディクリーナーやUSB扇風機やUSBライトの電源としても使える。考えれば考えるだけ用途は広がりそうだ。

太陽光充電がウリの「バイオレッタソーラーギア」
USB端子から充電するeneloop用充電器も使えるかも

 余談だが、この製品を購入時に「どんな電気製品でも使えるよ!」と店員がいうので、「(特殊なコネクター形状の)Nintendo DSでも使える?」と聞いたら「もちろん使えるよ!」と自信アリな態度で答えてくれた。中国でデジモノを買うときは、店の人のセールストークを鵜呑みにせず、自分で最初にカタログとにらめっこしよう。熱血バイヤー!細川茂樹さんもそう言ってますよ。
著者
山谷剛史(やまや たけし)
 海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国専門ITライターに。連載に「山谷剛史のアジアン・アイティー」、「山谷剛史のチャイナネット事件簿」、「華流ITマーケットウォッチ」など。

ソーラー機器詐欺容疑の無職男逮捕


出典:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20080902-OYT8T00935.htm
 愛知県警は2日、いわき中央署から指名手配を受けていた住所不定、無職木村敏夫容疑者(59)を詐欺の疑いで逮捕した。 同署の発表によると、木村容疑者は2003年5月~7月、いわき市常磐水野谷町の女性(67)と息子(46)から、太陽光で湯を沸かすソーラーシステム機器の購入代金と設置工事代金の名目で、3回にわたって計約820万円をだまし取った疑い。 女性から被害届を受けた同署が指名手配。愛知県警刑事特別捜査隊員が名古屋市内の路上を歩いていた木村容疑者に職務質問し、逮捕した。

【EU PVSEC】「太陽電池メーカーの成長を加速」,Q-Cellsがソーラー・グレードSiセルを初展示


ソーラー・グレードSiから製造したセル


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080902/157339/
 独Q-Cells AGは,太陽電池の国際学会・展示会「EU PVSEC」で,太陽電池専用のSi原料であるソーラー・グレードSiから製造したセル「Q6LEP3」を初めて公開した。2009年~2010年の実用化を目指しており,セル変換効率は既存のセルと同等の16%を目指す。 ソーラー・グレードSiを使った太陽電池セルは,既存のSi原料を使ったセルに比べて,安定供給と低コスト化が可能になる。そのため,現在のSi原料不足を緩和する切り札として,その実用化に注目が集まっている。 今回,Q-Cellsは「これで十分なセルを供給できるようになるため,太陽電池モジュール・メーカーはさらに早く成長できるだろう」(説明員)として,「GROW FASTER」の文字を太陽電池セルとともに掲げた。 実用化に向けては,純度が低いソーラー・グレードSiを使って,どこまでセル変換効率を高められるか課題になる。 展示したセルのスペックは,外形寸法が156mm×156mm(±0.5mm)で,厚さが180μmまたは160μm(±30μm)である。表面には,幅1.5mmの銀のバス・バーが3本あった。



【EU PVSEC】太陽電池の学会・展示会がバレンシアで開幕,学会参加者は3600人,展示会は1.5倍の規模に


女子大生が教える簡単太陽電池レシピ



出典:http://www.gizmodo.jp/2008/09/post_4250.html
この実験用ゴーグルを装着してニッコリほほ笑んでいるオーストラリア人のNicole Kuepperさんは、博士課程の学生さん。彼女は、とってもお安く太陽電池が作れる方法を見つけてしまったのです。なんと、マニキュアとピザオーブンとインクジェットプリンターを使うというのです!23歳のKuepperさんの発明の名前は「iJET」。これは、従来の太陽電池板を製造するプラントに必要である高価な無菌室も高温オーブンもいらないので、従来と比べると劇的にコストダウン! つまり、第三世界の各国に太陽電池をお手軽に提供できる道を築きあげたのです。ということで、Kuepperさんは、iJETでオーストラリアの優秀な科学者ということで2つの賞を受賞したのですが、残念なことに、iJETはまだまだ注目度が低いという現実があるようです。でも、Kuepperさんは素晴らしい目標のためにコツコツと研究を続けています。Kuepperさんいわく、「おそらく技術を商品化するにはあと5年ぐらい。商品化が実現したら、私は、いまいましいCO2排出一切ナシで、夜の読書、ラジオとテレビで世界に起こってることを継続的に知ることができるようにして、人命救助用のワクチンを冷蔵保存できるようにして、発展途上国の人たちを救いたい」とのことです。素晴らしい!
[The Australian via Treehugger]

ケータイ用ソーラー充電器ストラップにバージョンアップモデルが登場!最長通話時間は75分



出典:http://www.rbbtoday.com/news/20080902/53944.html
携帯グッズの販売サイト「ストラップヤ」を運営するStrapyaNextは2日、携帯電話端末用のソーラー充電器「ソーラーチャージecoストラップ」のバージョンアップモデル「ソーラーチャージeco2 ストラップ」を発表。FOMA/SoftBank3G対応版とau対応版の2モデルを、10月下旬に発売する。価格は、現時点では未定。

 同製品は、本体にソーラーパネルを搭載し、太陽エネルギーを利用して携帯電話端末を充電できるストラップ付き小型ソーラー充電器。従来モデルよりもソーラーパネルを大きくすることにより、発電効率が150%になった。また、リチウムポリマー電池を採用することにより、最長通話時間も180%以上の約75分に延長している。

 繰り返し500回の充電に対応し、太陽光での本体充電時間は最速で約6時間。ACアダプタ利用による充電にも対応する。携帯電話端末に接続することで約15分~25分で充電完了。最長約35分の通話を行える。

 本体サイズは幅36×高さ56×奥行き13.5mmで、重さは30g。カラーはホワイト/ブラックの2色。なお、売上の一部は温暖化ガス排出の埋め合わせに使われる「カーボンオフセット」に使用される。

(近藤@RBB 2008年9月2日 16:33)

三洋電機、「USB出力付きソーラーライト」と「充電式暖房器具」2品を発売



出典:http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=198693&lindID=4
~eneloop universe products 新商品~
太陽のエネルギーで使える「USB出力付きソーラーライト」と
「充電式ひざ掛け」、両面が温かい「充電式カイロ」を新発売
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0809news-j/0902-1.html

三菱電機が太陽光発電事業強化の戦略を発表、生産工場の新設に500億円を投資


出典:http://www.sijapan.com/content/l_news/2008/09/lo86kc0000006avg.html
三菱電機は2008年8月、同社の太陽光発電システム事業の強化および海外向けモジュールの新製品について発表した。工場の新設や、無電化地域を狙った製品の発売で、この分野の事業の拡大を狙う。


新工場に500億円を投資、
生産体制の強化を図る
写真1 三菱電機 中津川製作所所長 鈴木氏(右)と同リビング・デジタルメディア事業本部長 中村一幸氏(左)

 地球温暖化の問題などから、太陽光発電をはじめとする再生エネルギへの注目が高まっている。実際、世界市場における太陽光発電システムの需要拡大が予想されており、富士経済が2008年8月に発表した太陽電池の市場動向に関する報告書によると、世界の太陽電池モジュール市場は、2012年には、2007年比で3.9倍となる4兆6751億円規模に達するという(関連ニュース)。こうした背景もあり、太陽光発電量で見た場合の世界需要として、三菱電機は、2012年には2007年の1950MWから5550MWまで拡大すると想定した。それに基づき、同社は、生産体制の強化、研究開発の戦略的推進、販売の強化の3つを軸に、太陽光発電システム事業の強化を図るという。

 まず、太陽電池セルの生産体制を強化するために、2011年までに約500億円を投資して、三菱電機 中津川製作所飯田工場(長野県飯田市)内に太陽電池セル第2工場を新設する(図1)。同工場は2009年12月に竣工予定で、建築面積は5710m2、延べ床面積は約2万4000m2。三菱電機の太陽電池セルの年間生産能力は、2007年8月の時点で150MW。2011年までに、既存の第1工場と新設する第2工場を合わせて、現在の4倍となる600MWにまで増強する計画である。さらに、売り上げ金額に関しては、2011年までに、現状の年間約500億円から約1700億円まで引き上げたいとしている。なお、製造過程で発生する二酸化炭素の排出量を低減するために、屋上には太陽光発電システムを設置する予定だという。

写真2 ハニカムテクスチャーセル表面

 開発戦略について、三菱電機 中津川製作所所長である鈴木愛司氏(写真1 右)は、「高効率をいかに実現していくかがポイントとなる」と述べた。同社は2008年3月に、「ハニカムテクスチャー」と呼ばれる構造を採用した多結晶シリコン太陽電池セルで、18.6%という高い変換効率を実現している。ハニカムテクスチャーとは、直径十数μmのお椀型のくぼみがハチの巣状に並ぶ構造。セル表面の反射率を低下させ、受光量を上げることができるという。この「ハニカムテクスチャーセル」の量産化も具体的に検討が進んでおり、同セルは新設される第2工場の生産ラインに順次導入される予定である。また、最近特に注目されている薄膜系太陽電池についても開発研究を進めている。これについて鈴木氏は、「現在、(設置スペースが限られる)住宅向けには結晶系太陽電池が主流であり、住宅用の太陽発電システムを中心に事業を展開する当社にとっても、変換効率の高い結晶系が有利」としながらも、「規模の大きいシステムに用いられるのは薄膜系太陽電池が中心であるため、今後は市場動向を見ながら薄膜系の具体的な事業戦略を立てていきたい」と語った。

写真3 2008年9月発売の「エコガイドTV」

写真4 2008年9月開設の「ダイヤモンドソーラー倶楽部サイト」(クリックで拡大)

  国内向けの販売戦略としては、販売/施工サポート体制の拡充とエンドユーザー向けサービスの充実を図っていく。現在は、販売店向けに「MPSシステム」と呼ばれるサポートシステムを提供し、施工店向けには「太陽光発電システム据付技術講座」を実施している。MPSシステムは、システム設計や見積書作成、技術資料の閲覧などがインターネットを利用して行えるというもの。一方の太陽光発電システム据付技術講座では、受講した施工業者に試験を受けてもらう。合格すれば「据付技術講座受講終了カード」が発行され、その業者は施工認定店となる。三菱電機はこの2つをより一層拡充したいとしている。また、2008年9月にはエンドユーザー向けに「エコガイドTV」を発売する(写真3)。家庭のテレビ画面に、発電量や消費電力量、二酸化炭素排出量などが表示されるというものだ。これに連動して、同じくエンドユーザー向けに「ダイヤモンドソーラー倶楽部サイト」を2008年9月に開設する(写真4)。会員になれば、エコガイドTVの発電データなどを、ウェブサイトを使って会員間で交換することができるという。また、環境意識の高まりから、国内の民間企業からの太陽光発電システムへの需要も増えてきているため、これらに対する拡販/提案活動にも力を注ぎたいとしている。

 同時に、グローバルな販売体制の強化も図る。三菱電機によると、太陽光発電の2008年度世界需要の規模は2520MWで、2007年度比で約25%増加している。同社は、「需要規模は今後も毎年約20%ずつ増加していくだろう」と見込んでいる。現在、同社における太陽光発電システムのエリア別販売の割合は、欧州が7割を占めるという。欧州にはドイツを始め、英国、フランス、スペインなどFIT(Feed-in Tariffs:電力の固定価格買い取り制度)を導入している国が多いからだ。しかし、電気料金の高騰が続く米国でも太陽光発電への需要が高まっており、今後は米国の売り上げが伸びていくだろうと同社は予測している。欧州に加え、米国も重要なターゲットして体制の強化を図るという。


公称最大出力を抑えた
無電化地域向け太陽電池モジュール
写真5 海外向けの小型太陽電池モジュール
(クリックで拡大)

 グローバルな販売戦略を強化する上で三菱電機が注目しているもう1つのエリアがアジア、特に南アジアと東南アジアである。その理由として鈴木氏は、「市場としてはまだこれからだが、無電化地域に暮らす人口が推定6億人(インド5億人、インドネシア1億人)と言われており、電化プロジェクトが盛ん」であることを挙げている。同社は2008年8月、アジアの無電化地域をターゲットとした小型の太陽電池モジュールを発売すると発表した(写真5)。2008年10月より販売を開始する。

 三菱電機は2004年よりインドネシアやカンボジアの無電化地域における、電化プロジェクトに参入してきた。従来品の公称最大出力は110Wや120Wであるが、無電化地域ではそれよりも低い出力の太陽電池モジュールが要求されていた。そのため、新製品では最大出力が35W、40W、46W、52Wの4品種をそろえた。モジュール1枚単位でこれらの公称出力値を保証している点が特徴の1つである。いずれもセルタイプは多結晶シリコン。動作電圧は、独立型太陽光発電システム(電力会社を介さず単独で電力を供給するシステム)に用いられる12V電池に対応しているという。外形寸法は559mm×674mm×46mm。モジュール変換効率は品種によって異なるが、9.3%~13.8%を実現している。

 三菱電機は、無電化地域における太陽電池の市場は5GW級であると見込んでおり、アジア各国の電化プロジェクトに積極的に参画したいとしている。

(EDN Japan 村尾 麻悠子)

廃熱を直接電気に変える「熱電変換」最前線(1)(2)


今回開発された熱電変換材料。鉛テルルにタリウムを加えたものであるため、取り扱いには注意が必要になる。


出典:http://wiredvision.jp/blog/yamaji/200809/200809021301.html
7月25日、学術雑誌「Science」に1本の論文が掲載された。オハイオ州立大学、大阪大学、カリフォルニア工科大学の共同チームが、従来の2倍の効率を実現する熱電変換材料を開発したというのだ。熱電変換とは、その名の通り、熱を直接電気に変えること。高効率の材料が作られたことで、廃熱からの発電にも実現の目処が立ってきた。熱電変換材料の最新状況について、大阪大学の山中伸介教授、黒崎健助教にお聞きした。

宇宙探査機の原子力電池は熱電変換装置
──従来に比べて2倍の効率を達成する熱電変換材料を開発されたそうですね。熱電変換というのはあまりなじみがない言葉ですが、どういうものでしょう?

山中:あらゆる固体には、両端に温度差を付けると起電力(電流を流し続けようとする力のことで、単位はV(ボルト))が生じるという性質があり、これを「ゼーベック効果」と呼びます。どんな材料にもゼーベック効果はありますが、私たちの身の回りにある鉄などの金属では、1度の温度差で数マイクロボルト程度にしかなりません。温度計などには一部利用されていますが、発電に使えるほどではまだないのです。ゼーベック効果自体は1800年代前半に発見されましたが、実用的な発電を行うにはまだ材料が追いついていないのが現状です。

──発電にはまったく使われていないのですか?

山中:コストを度外視してもよい分野では実用化されています。例えば、深宇宙への探査機です。深宇宙では太陽光で発電ができないため、原子力電池で必要な電力を得ます。熱源となるのはプルトニウム238で、この物質を固めておくと1000度くらいの熱が発生するのです。宇宙空間は絶対零度近くになりますから低温と高温の温度差が十分にあり、熱電変換材料を間に挟んでおけば発電が行えるというわけです。いわゆる原子力電池と呼ばれているものはこのような仕組みで熱電変換を行っています。

このほか、腕時計用電源は発電量が少なくて済むこともあり、すでに製品化されています。この場合は、体温と外気温の温度差を利用するわけです。

ちなみに、ゼーベック効果とは逆、つまり電気をかけると温度差が生じる「ペルチェ効果」は実用化が進んでおり、身近なところではCPUの冷却などに用いられています。コンプレッサーのように大がかりな仕組みを使わなくとも冷却が行えるため、今後ますます応用範囲は広くなっていくでしょう。

熱電変換の効率を測る指標ZT
──従来の熱電変換材料は、どれくらいの性能だったのでしょう?

黒崎:その前に、熱電変換材料を評価するための指標について説明しておきましょう。熱電変換の性能評価には、ZTという値が使われます。

ZT=S²σ/κ×T

Sはゼーベック係数で、1度の温度差がある時に生じる起電力の大きさです。σは電気伝導率。材料の内部抵抗が高いと、外に電気をうまく取り出すことができません。S、σが高いほどよい材料ということになります。一方、分母のκは熱伝導率です。熱伝導率が高いということは、材料の温度がすぐ均等になってしまいますから、熱電変換材料には不向きということです。Tは、絶対温度を示します。

要するに、起電力が大きくて、電気伝導率が高く、熱伝導率が低い。こういうバランスの取れた材料ほど、熱電変換の効率がよいということになるのです。


材料は炉の中で溶融させたあと、いったん粉末にする。その粉末に、ホットプレスという機械(写真)で高温高圧をかけて焼結させる。

発想の転換がもたらした高効率の熱電変換材料
──ZTは高ければ高いほどよいのですか?

山中:はい。ZTが10くらいになると、まったくロスのない理想的な材料ということになります。1960年以降、ZTは1程度で頭打ちになっており、これだと変換効率は数パーセントです。熱電変換の分野で目標としているのはZTが2を超えることで、こうなると最大変換効率は20%になります。

ごく最近になって、ZTが1.5に近い材料もいくつかの研究チームから報告されるようになってきました。ただ、1.5を達成した材料でも再現性の低いものが少なくないのです。我々の熱電変換材料は1.5を実現しており、なおかつ再現性が高いということがポイントになります。

──製法などに特徴があるのでしょうか?

黒崎:ZTが1を超える熱電変換材料を作るには、いくつかのアプローチがあります。1つは、ナノテク技術を使うやり方です。材料の上に薄膜を積層することで熱伝導率だけを下げ、普通の材料では出せないZTを達成するのです。あるいは、偶然発見された熱伝導率の低い物質を用い、その電気伝導率を高めるというアプローチを取っている研究チームもあります。我々の研究室も元々はこういう探し方をしていました。

一方、今回の熱電変換材料は、オハイオ州立大学のHeremans博士の提案に基づいています。彼によれば、用いる材料はすでに知られているものでよく、熱伝導率は極端に低くなくてもかまわないというのです。この材料に含まれる電子のエネルギー状態を操作することで、起電力や電気伝導率を高めることができれば、ZTの高い化合物を作れるというのが彼のアイデアです。この手法ならば、材料に微量の元素を加えて溶かして固めるだけですから、製法が比較的シンプルになり、再現性も高くなります。

──どのような材料を使っているのですか?

山中:鉛テルルに少量のタリウムを添加しています。

──いずれも毒物ですね。

山中:これらの物質自体は、熱電変換の世界では古くから知られており、試行錯誤的に材料を混ぜ合わせることは今までにも行われてきました。今回は、電子のエネルギー状態を変えるためにどうすればいいのかを理論的に予測して、それを実証できたことに意義があります。

テルルやタリウムは資源量も少なく、毒物であるため取り扱いが難しいのですが、今後はこの理論に基づいて無害な物質を使った熱電変換材料を作れる可能性もあります。熱電変換における1つのブレークスルーといえるでしょう。

──どのような研究体制なのでしょうか?

黒崎:オハイオ州立大学のHeremans博士が理論的な予測に基づいて、材料の配合を提案しました。我々の研究室は独自技術を使って試料を作り、カリフォルニア工科大学のチームが試料の特性を測定しています。

自動車の燃費向上や太陽電池パネルとの連携に利用
──今後の研究開発ロードマップを教えてください。

山中:熱電変換に使われる素子は、p型、n型という特性の異なる2種類の半導体で構成されます。今回開発したのはp型ですが、n型のZTも1.5を超えれば、変換効率が10%以上の熱電変換素子が作れます。こうなると、廃熱を回収して発電することもコスト的に可能になるでしょう。

環境やエネルギー問題を考えると、1年は無理にしても、5年から10年の間には熱電変換による発電技術を世の中に出していく必要があると考えています。

──どのような用途に使われることになるのでしょう?

山中:この研究に資金提供している米国BSST社の親会社アメリゴン社は、自動車部品を扱っています。自動車部品に使うことは当然想定しているでしょうね。トヨタのプリウスでは、廃熱を熱湯として蓄えて、エンジン始動時に再利用することで燃費の削減を図っています。自動車の廃熱利用はこれほどに大変なのです。こうしたところに熱電変換技術を応用すれば、より一層燃費を節約できるでしょう。自動車の場合、熱電変換技術を使うことでラジエータをなくすことも可能だと思います。そうすれば、デザイン的にも相当なインパクトの自動車が作れるはずです。

また、太陽光電池パネルとのハイブリッドや、燃料電池の廃熱を有効利用するといったことも考えられます。


研究者プロフィール
山中伸介(やまなかしんすけ)
昭和54年3月、大阪大学工学部原子力工学科卒業。昭和56年3月、大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻博士前期課程修了。昭和58年6月より大阪大学助手、同助教授を経て、平成10年5月より同教授。専門は、環境・エネルギー材料工学と核燃料工学。幅広いエネルギー変換技術や、社会・生活に役立つ技術を構築することを目指し、日々研究をすすめている。

黒崎健(くろさきけん)
平成7年3月、大阪大学工学部原子力工学科卒業。平成9年3月、大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻博士前期課程修了。平成10年8月より大阪大学助手、現在に至る。専門は、環境・エネルギー材料工学と核燃料工学。平成17年8月、国際熱電学会最優秀論文賞受賞。


発電マンの太陽光発電塾:第7回住宅用太陽光発電システムの選び方(パートI)


出典:http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/column/iwahori/080902_select01/2008年9月2日
株式会社 発電マン 代表取締役・岩堀 良弘 氏
~まずは太陽電池の種類と特徴を知ろうの巻~
「住宅用太陽光発電システムのメーカーは色々ありますが、一体どこのメーカーがいいのでしょうか?」よくこんな質問をいただきます。でもなかなか答えにくい質問です。自動車でも「このメーカーが一番良い」とはなかなか答えられませんよね。グレードや用途によって自分に最適な車は違ってきます。太陽光発電システムも同じです。どんな屋根に設置するのか、何に力点を置くのかによって選択は違ってくるのです。最大発電量を重視するのか、あるいはコストパフォーマンスなのか、はたまたデザイン重視なのか…。もちろん屋根の条件によっては、選択肢がほとんどないという場合だってあります。ですから、実際の場面では、専門家にアドバイスをもらいながら、自宅の屋根の状態と自分の好みの各メーカーの特徴などを考慮して、総合的に判断するというのがベストなのです。それを踏まえたうえで、ここでは皆さんがある程度自分で判断する際の参考になるような事柄について、「住宅用太陽光発電システムの選び方」として数回にわたってじっくり勉強していきたいと思います。まず太陽光発電システムを選ぶ際に基本として知っておかなければならないことがあります。それは太陽電池にも色々な種類があり、それぞれ違うということです。一言で太陽電池と言っても、実用化されているだけでも数多くあります。住宅用で主に使われているものはその中の3~4つほどですが、それぞれ特性が若干違います。そこで今回は、そんな太陽電池の特性の決め手となる、“素材について詳しく解説しましょう。
太陽電池の歴史はシリコンの歴史
太陽電池の素材といえば、有名なのが「シリコン」でしょう。世界初の太陽電池も、やはりシリコンでできていました。ここで突然ですがクイズを出します。
【問】 世界で初めて太陽電池が作られたのはいつでしょう?
   (1)18世紀  (2)19世紀  (3)20世紀
答えは、(3)番20世紀です。正確には1954年です。つまり、今から54年前です。
光発電の原理そのものは19世紀に発見されていますが、初めて発電に成功したのは1954年、アメリカのベル研究所のピアソン、シャピン、フーラーといった研究者たちです。当時のニューヨーク・タイムズが「砂の成分から電池を作った」と報道しました。“砂の成分”というのがシリコンのことです。それからわずか半世紀後に住宅の屋根に太陽電池が設置され、家一軒の電気をまかなうことになろうとは、当時の人たちは思いもよらなかったことでしょうね。この太陽電池が1950年代に発明されたことは歴史的必然でもありました。というのも1947年にトランジスタが発明され、トランジスタやダイオードといった半導体産業が産声をあげたまさにその時だからです。当時、半導体は新しい技術として多くの研究者が技術開発にしのぎを削っていました。日本ではそのころテレビの本放送が始まり、また1955年に東通工(現在のソニー)が日本で初めてトランジスタの展示会を開催しています。まさにシリコン時代の幕開けとなる革新的発明が、20世紀半ばに相次いだ訳です。少し余談になりますが、この時の出来事として、「太陽電池」の名前にまつわる面白いエピソードがあります。日本人は太陽光を電気に変えるセルのことを「太陽電池」と呼んでいますが、実はこれは本来なら「誤り」なのです。初めて太陽電池が出来た時、報道発表で、ベル研究所のスポークスマンは専門知識がなく「solar battery」と発表しました。そして日本でもそれをそのまま「太陽電池」と訳したのですが、その後これは“電気を蓄える”のではない、ということで欧米では「solar cell」という呼び名に変更されました。ところが日本ではなぜか訂正されずに、そのまま「太陽電池」という呼び名が定着してしまったという訳です。電気を蓄えないのに「電池」と呼ぶのはおかしいなと疑問に思っていた方もあるかもしれませんが、そんな事情があったのです。さて、話を戻すと、1954年に初めて作られた太陽電池は「単結晶シリコン」という素材を使ったものでした。その後最近まで長い間、太陽電池の研究はこの「単結晶シリコン」を中心に進化してきました。初めて太陽電池が作られた当時は 変換効率は6%程度でしたが、その後約1年後には12%程度まで効率は上がりました。ただし、価格は1Wあたり2万円~3万円もしていたようです(現在の約100倍です!)。この太陽電池、ちょうどそのころ盛んに打ち上げられた人工衛星用として、大いに開発が進みました。しかし価格の高さがネックとなって一般民生用に発展することは困難でした。ところがその後1973年のオイルショックをきっかけに、石油エネルギーの限界が見え始め、再び各国の研究機関から注目を集める存在になっていったのです。
長い実績と信頼性に自信あり!長老ともいうべき単結晶シリコン
では具体的に、それぞれの素材の話に移ります。まずは先に述べたように、最初に太陽電池の素材として使われた「単結晶シリコン」について。“単結晶”とはシリコンの原子と原子が規則正しい結合によって配列しているもので、ごく最近まで単結晶シリコンは太陽電池の研究の中心であり続けました。その理由は単結晶シリコンの特徴にあります。単結晶シリコンは多結晶と比べ発電効率が高く、非常に信頼性が高いのです。そして何よりも耐久性が高く、太陽電池の開発以来、長年培った実績があります。また、その製法がICやLSIといった集積回路の製法と同じ工程のため、作りやすいということもありました。しかも太陽電池の純度はICやLSIほどの純度は必要ないため、以前はこれら半導体用の端材を使って太陽電池をつくっていました。そういう意味で、太陽電池は半導体の発展と共に成長してきたといえます。しかし、太陽光発電システムがいよいよ普及段階に入ってきますと、やはりコストが優先されてきます。単結晶シリコンの太陽電池はこの面でどうしても後述する多結晶シリコンには勝てないのです。というのは単結晶の場合、製造工程が多結晶よりどうしても複雑になるからです。またこの頃になると、それまで単結晶と比べて見劣りしていた多結晶シリコンの発電効率も、様々な技術開発によって向上し、その差が縮まってきました。もともと多結晶のほうがコスト競争力はありますので、今や主役は単結晶から多結晶に取って代わられています。ただ1998年頃を境に単結晶から多結晶へと次第に生産量のメインは移っていったものの、私が太陽光発電システムと関わりが深くなった2000年頃までは、まだまだ単結晶シリコンが主流の一角を占めていました。実際わが家に設置してある太陽電池も単結晶シリコンです。見た目も黒っぽく高級感があって、個人的には大変気に入っています。
コストパフォーマンスならやっぱりコレ!多結晶シリコン
続いては、今や押しも押されぬ主役に躍り出た「多結晶シリコン」の太陽電池です。“多結晶”とは、結晶方位が無秩序で微小な結晶の集合体を意味します。その特徴は何といっても単結晶に比べて安い製造コストです。セル単位での発電効率は単結晶にかないませんが、モジュールに隙間無くセルを並べるなど、様々な技術革新により、モジュール単位での発電効率は単結晶と遜色ないものになってきました。その結果シャープ、京セラ、三菱といった主だったメーカーがこれを主に生産し、もっともポピュラーな太陽電池となっています。ただし、後述するサンヨーの高発電タイプHIT太陽電池への需要の変化や、ここ数年のシリコン高騰によるコスト優位性の下落などから、やや曲がり角にきている感はあります。そこでシャープは薄膜化によるさらなるコストダウンの追及に進み、京セラはデザイン性に特徴を持つなど、それぞれ差別化にしのぎを削っています。まだまだ当分は多結晶シリコンの王座は続くでしょう。
可能性を秘めるアモルファスシリコン
単結晶、多結晶以外のシリコン系素材に、「アモルファスシリコン」があります。アモルファスシリコンは結晶系の素材とは異なり、まったく結晶を作りません。発電効率は結晶系シリコン太陽電池に比べると見劣りします。ただ、製造工程におけるコストが安い、薄膜化が可能、加工がしやすいといった特徴から、安価に量産ができると大きく期待されています。また、一度に大面積の太陽電池を作りやすいという特徴もあります。弱点としては紫外線が当たることによって、発電効率が経年劣化するという不安定さを持っていること。また、まだまだ発電効率が低いため、結晶系シリコンに比べ1.5倍程度の面積を必要とするといわれています。アモルファスシリコンの太陽電池の代表的なメーカーとしては、カネカなどが挙げられます。
実質発電量で勝負!HIT太陽電池
続いて紹介するのが、「HIT太陽電池」。これは単結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層形成した、新しいタイプの太陽電池です。1997年、三洋電機によって実用化されました。特徴としては比較的簡単な構造で高い発電効率が得られ、温度上昇による出力の低下が結晶系シリコンに比べ低いということがあります。前回、太陽電池の定格出力は25℃の標準状態の出力というお話をしたのを覚えているでしょうか。カタログ上での太陽電池の性能表示は、あくまで25℃の時のもの。実際の使用場面では、それよりも高い温度で使用されることのほうが多いものです。事実夏場などは、屋根の温度は70度以上の高温になります。HIT太陽電池はこのような高温時の発電効率が比較的高いため、多結晶シリコン太陽電池と比べた場合に、実際の発電量が多くなるのです。多結晶と比べ1日で8.8%多いという実験結果があります。また両面発電が可能であるという特徴もあります。ただし同じ定格ワット数で比べると、価格は若干割高になります。製造メーカーは三洋電機です。
ようやく登場! 化合物系 あのホンダが太陽電池業界に殴りこみ!?
太陽電池の半世紀の歴史のなかで実用化された太陽電池は、ほとんどすべてシリコン結晶系、またはその応用型でありました。しかしようやくここへ来て、“化合物”という新しい素材が実用化されたことは大変喜ばしい限りです。その一つが「CIGS化合物太陽電池」というもので、何とあの自動車メーカーのホンダの製品です。このような他業界からの太陽電池業界への参入には、私たちの期待も膨らみます。この“CIGS”とはC(Cu:銅)、I(In:インジウム)、G(Ga:ガリウム)、S(Se:セレン)という化合物の頭文字をとったものです。シリコンは使っていないので、シリコン価格に左右されることはありません。ただし原料のインジウムは資源量が少なく、そこが今後の製造においてネックになってきます。特徴は数μmという極薄にできるため、省資源で、量産が可能になればコスト的にもメリットが出てきます。また発電素子の構造上、影の影響を受けにくいという特長があります。見た目は真っ黒で当然結晶もなく、結晶系を見慣れた私たちは最初なんとなく違和感がありましたが、若い人はむしろ格好良い感じを受けるのかもしれません。化合物系の仲間では昭和シェルがG(Ga:ガリウム)が入らない「CIS太陽電池」を発売しています。以上、現在太陽電池に使われている、主な素材をご紹介しました。太陽光発電システムを選ぶ際に、これらのどの素材が太陽電池に使われているのかをチェックしてみるのも良いかもしれません。次回は「住宅用太陽光発電システムの選び方(パートII)」として、パワーコンディショナー、表示モニターについて解説する予定です。(2008年9月16日に公開予定のパートIIに続く)

平成20年度「次世代風力発電技術研究開発(自然環境対応技術等(落雷保護対策))」に係わる委託先の決定について


柔軟なナノアンテナ配列で豊富な太陽エネルギーを捕獲(米国)


出典:http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1028/1028-16.pdf?nem
NEDO海外レポート NO.1028, 2008.9.3【産業技術】 ナノテク
柔軟なナノアンテナ配列で豊富な太陽エネルギーを捕獲(米国)
-太陽光や廃熱からの赤外線を捕獲するナノアンテナを試作-
太陽光や他の発生源により生成された熱エネルギーを集める何10 億個ものナノアンテナを含んだプラスチックシートを生産する安価な方法が考案された。米国エネルギー省(DOE)アイダホ国立研究所(INL)で開発された、この技術は、柔らかい材料上に大量加工することができる太陽エネルギー集光器に向けた最初のステップである。利用可能な電力へのエネルギー変換方法を開発する必要があるが、このシートは、従来の太陽電池より高い効率でハイブリッド自動車からiPods まですべてに電力を供給する軽いスキンとして製造することがやがて可能であろう、とアイダホ国立研究所の研究者が米機械学会2008 の第2 回エネルギー持続可能性国際会議でこの発見を報告している。さらに、このナノアンテナは、電力を使用せずに、建物やエレクトロニクスからの廃熱を取出す冷却機の役割をする可能性を持っている。このナノアンテナは中間赤外線領域(THz 波)を目標としている。地球は、日中に太陽からエネルギーを吸収した後に、熱としてそれらを連続的に放射している。対照的に、これまでの太陽電池は可視光線のみしか使用しておらず、日没後はその利用は無効となる。さらに、赤外線は、石炭火力発電所のような生産プロセスにおいて発生されるので、特に豊富なエネルギー源である。「我々の産業界のすべてのプロセスは廃熱を発生している。まさに、赤外線は我々が単に投げ捨てているエネルギーである」とINL の物理学者スティーヴン・ノーバックは語る。研究チームは、INL エンジニアのデール・ケッター、マイクロコンティニューム社(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)のW.デニス・スレィファーおよび現ミズーリ大学のパトリック・ピンヒローからなり、ノーバックが研究チームを取りまとめている。ナノアンテナは、小さな金の正方形あるいはスパイラル状で、ビニール袋に使用されている材料である、ポリエチレンの特殊処理された上に組み込まれている。このナノアンテナの寸法はおよそ5 ミクロンで、直径15cm におよそ10 億個のアンテナが含まれる)マイクロ波のような電磁スペクトルのより低い周波数領域からのエネルギーを集めるアンテナは、成功裡に発明されているが、赤外線はより集光しがたいことが分かっていた。この理由の一部は、材料の特性が高い周波数の波長では極端に変化するということであった、とケッターが述べる。研究者はナノアンテナの計算機モデルを構築するために、赤外線での、金、マンガンお
よび銅を含む様々な材料の振る舞いを研究し、その結果のデータを使用した。その結果に

シャープ,直流給電システムのコンセプト展示を公開


図1 シャープが展示した「ミニDCエコハウス」


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080901/157292/?ref=ML2008/09/01 19:10
シャープは2008年9月1日,同社の新製品発表会で,太陽電池と二次電池を組み合わせた直流給電システムのコンセプト展示「ミニDCエコハウス」を公開した。シャープは,2012年の創業100年に向けたビジョンとして「省エネ・創エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献する」という方針を掲げている。その答えのうちの一つが「DCエコハウス」だ。現在の家庭用電源は交流であり,太陽電池などで自家発電した場合も一度直流から交流に変換している。とはいえ,今日のデジタル家電のほとんどは内部では直流で稼動しており,電源回路で交流から直流に変換している。このため,太陽電池からの給電では,直流から交流,交流から直流と2回の変換を行うことになり,大きな変換ロスが発生してしまう。それに対し,DCエコハウスは,太陽電池で発電した電力を2次電池に貯蔵し,直流のまま機器を駆動するので,変換ロスがない。2次電池の容量を使い切った際には家庭用電源を直流に変換するので,変換は1回で済む。そのため,従来に比べて電力を節約できる。しかし,DCエコハウスの事業化は難しい。上述のように,現在普及している電化製品は交流電源に対応して設計されている。このためDCエコハウスを導入するには,家庭内の電化製品を直流に対応した機器に置き換える必要がある。シャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏は「アフリカなど海外の(いまだインフラが整備されていない地域の)ほうが,普及するのは早いかもしれない」とコメントした。冨樫 悠太=日経エレクトロニクス

「健康・環境を一兆円事業に」,シャープ社長の片山氏がコメント


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080901/157294/
2008/09/01 19:36
「2012年度には,健康・環境事業の売上高を1兆円に乗せる――」
 シャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏は,新製品発表会の壇上で高らかに宣言した。シャープの創業100周年に当たる2012年に,同事業の売上高を,2007年度実績の約4倍に当たる1兆円に増やす計画という。健康・環境事業とは,2008年8月に新設したLED事業のほか,空気清浄機,冷蔵庫,洗濯乾燥機,オーブン・レンジといった白物家電の事業を指す。「これらの事業に太陽電池セルの事業を合わせ,シャープの売上高の50%を占める事業に育てるのが目標だ」(片山氏)。 シャープは,同事業の基幹技術として,除菌効果をうたう白物家電向けの「プラズマクラスター技術」,人気オーブン・レンジ「ヘルシオ」に搭載した「ウォーターヒート技術」,そして省エネ効果を持つLED照明を挙げた。「プラズマクラスターやLEDは,いずれも半導体に由来する技術。日本が誇る半導体の技術力が生かせる」(片山氏)。
法人営業部を新設
 シャープが1兆円達成の切り札と見込むのが,海外展開と法人営業である。同社は2008年9月1日付けで,法人営業部門「特機営業本部」を新設した。本部長には執行役員の庵和孝氏が就く。これまでシャープの法人向け事業は複写機やデバイスなどに限られていた。今後はLED照明や空気清浄機を中核に,国内外で法人営業を強化する(Tech-On!関連記事)。片山氏は法人事業について「健康・環境事業の売り上げのうち,3~4割を占めるくらいに成長させたい」と期待を示した。消費者向け事業では,2009年までにヘルシオの海外販売を始める。「マーケティング調査の結果,海外でも健康調理器具のニーズがあることが分かった。2009年までには販売を実現したい。まず米国,次いで中国で売り出す」(庵氏)。

ECO JAPAN イベント/セミナーリポート「再生可能エネルギー世界フェア」Photoリポート(前編)日独米の再生可能エネルギービジョンを共有できた「基調講演」


出典:http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/event/080829_saisei01/
2008年8月29日
●2008年7月30日(水)から8月1日(金)にわたり、東京ビッグサイトにて開催された「再生可能エネルギー世界フェア」。「第3回新エネルギー世界展示会」(主催:再生可能エネルギー協議会)と、日本初の太陽光発電総合イベント「PVJapan 2008」 (主催:SEMI、太陽光発電協会)と同時開催で行われた、再生可能エネルギー/新エネルギーに関する複合型イベントだ。
●3日間の合計来場者数が4万4547人にも及んだ同イベント、展示会場では太陽光発電や風力発電、バイオエネルギーなど分野毎のエネルギーと環境に関わる主要企業/団体が出展し、最新の技術、製品、環境に対する取り組みなどを紹介した。一方、会議棟では国内外の再生可能エネルギーに関する有識者を集めた国際フォーラムが催され、そちらもほとんどが満席になるという大変な盛況振りであった。
●今回のPhotoリポートでは、そのイベントの様子を講演から展示会まで幅広く紹介する。まずはイベント初日7月30日(水)に行われた、「再生可能エネルギー世界フェア基調講演」の模様をお届けしよう。
●この基調講演では、経済産業省資源エネルギー庁の羽藤秀雄氏、駐日ドイツ連邦共和国大使のハンス=ヨアヒム・デア氏、アメリカのペンシルベニア州地域振興・経済開発省長官であるデニス・ヤブロンスキー氏、ドイツの応用研究機関「フラウンホーファー」の日本代表部研究所の代表Dr. ロレンツ・グランラート氏の4氏が登場。将来の再生可能エネルギー時代を支えるであろう主要国3国と研究機関の、現在の取り組みや未来のヴィジョンを伺い知ることができる、貴重な機会となった。取材・文/イデア・ビレッジ 写真/白木 裕二
「再生可能エネルギー協議会」代表黒川浩助氏の挨拶
今回の国際フォーラムの最初のプログラムである「再生可能エネルギー世界フェア 基調講演」。まずは「再生可脳エネルギー協議会」代表の黒川浩助氏が挨拶を行った。「現在、人類の眼前には考えるべき大きな問題がたくさんあり、それは地球温暖化をはじめ、エネルギー、水、食料、健康、生態系、人口、国そのものの存続など、実に多様である」と黒川氏。「もはや一度進んだ物質文明は二度と引き返せないところまできている。その現実を受け止め、政策と技術を駆使しながら国際的に協力して1つ1つの問題にあたっていかなければいけない」。そんな状況の中、再生可能エネルギーはそれらの様々な問題において、大きく貢献していく可能性を秘めているのである。そして黒川氏は、2006年10月に幕張にて行われた「再生可能エネルギー2006 国際会議」において掲げたスローガンで、今回の「第3回新エネルギー世界展示会」でも重要なテーマとなっている「Advanced Technology Path to Global Sustainability」という言葉について触れ、こう締めくくった。「“先進的、先端的技術を通して、地球規模の持続性を探求しよう”。それが再生可能エネルギーの崇高な目的なのです」
経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 羽藤秀雄氏
黒川氏の挨拶に続いて登場したのが、経済資源エネルギー庁の省エネルギー・新エネルギー部長を務める羽藤秀雄氏。羽藤氏は、わが国の再生可能エネルギーを中心とする政策、その展望について語った。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が報告書で示した通り、世界の平均気温の上昇には温室効果ガスの排出増加が背景にあるという。そこで地球温暖化抑制のためにも、化石燃料に変わるクリーンなエネルギーが必要とされている。さらに現在の原油価格の高騰は「第3次オイルショックともいえるほどのインパクトだ」と羽藤氏。輸送関係、漁業関係、ハウス栽培などを行う農業関係といった分野においては、深刻な打撃を与えている。このような我々を取り巻く大きな問題を考えてみても、環境負荷の少ない、新たなエネルギーの早急な普及が必要とされているのだ。
経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 羽藤秀雄氏
「エネルギー安定供給の確保に資する石油代替エネルギー」、「環境に与える負担が小さいクリーンエネルギー」という点で、重要な導入意義を持つ再生可能エネルギー/新エネルギーだが、羽藤氏は「出力・供給が不安定である点と、経済性で見た際にコストが高い」とその問題点も指摘する。現在、日本では電力会社に一定の割合で再生可能エネルギーの導入を義務付ける「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」が施行されているが、今後はそれ以外にもさらなる取り組みが必要となっていくであろう。例えば先頃、政府における今後の再生可能エネルギー/新エネルギー政策に関する基本的な方向性についての検討結果である、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会による「緊急提言」が出されたのはご承知の通り。個々の内容に賛否はあれど、このように政策的な面でも新エネルギーの普及を推進していくことは重要だ。羽藤氏によると、まず太陽光発電は「機器の低廉化を進め、2020年には現状の10倍の普及、すなわち新築住居の70%に導入することを目指している」という。そのほか、バイオ燃料、風力発電、燃料電池などついても、積極的に普及を進めていくとのこと。また例えば風力発電なら「落雷対策」など、それぞれにまつわる問題点を日本の優れた技術力を持って解決していかなければならないと述べた。「ハイテクに強い、というわが国の強みを生かしていくことが大事です。『新エネモデル国家』となり、新エネ文明を内外に発信、さらに新エネ関連産業を基幹産業にしていくことが望まれます」そして最後に次のように締めくくった。「それには、コスト負担といった国民のご協力を得ることが大事です。この再生可能エネルギー/新エネルギーへの取り組みは、経済界、官界、学界、政府、国民を挙げた課題なのです。我々が今後どのように国際的にリードしていくのかということを考える機会として、今回のイベントのような存在はとても大切なのではないでしょうか」
駐日ドイツ連邦共和国大使ハンス=ヨアヒム・デア氏
続いては、駐日ドイツ連邦共和国大使のハンス=ヨアヒム・デア氏が、「ドイツ気候変動・エネルギー政策の主幹をなす再生可能エネルギー」と題する講演を行った。デア氏によれば、「現在ドイツでは1次エネルギーの10%を再生可能エネルギーでまかなっている」とのこと。さらに2020年までには発電電力量の2~3割を再生可能エネルギーでまかなうことを目指しているという。ドイツにおいて、再生可能エネルギー普及促進の強い追い風となったのが、ご存知の通り、「固定価格買取制度(FIT)」の採用。再生可能エネルギー資源を用いて発電された全ての電力を、発電手段別に一定の価格で全量買い取ることを送電事業者に義務づける制度だ。再生可能エネルギーの導入促進案として最も効果的であると目される、この大胆な制度の実施により、「かつては産業が衰退していた東ドイツが、今や太陽光や風力に関する産業で伸びてきている」とデア氏は指摘する。ただしこの制度は、再生可能エネルギーによる発電と従来の火力などによる発電とのコスト格差を、最終消費者である皆が負担金を支払うことが課せられている。これは低所得者層には大きな負担とならざるを得ないが、デア氏は、「“将来のエネルギー保障への投資”と見てほしい」と語る。再生可能エネルギーの普及には、やはり国民の理解が必要不可欠なのである。今後ドイツでは、自国だけにとどまらず、中国などCO2を大量に発生している新興国への技術移転により、それらの国の排出量を削減させる計画を2009年度より開始する予定だという。そしてデア氏は次のように締めくくった。「政府間の協力は再生可能エネルギーの実施・導入をサポートする部分で重要です。しかしながら、政府間の協力よりもっと重要なことがあります。それは、多国籍企業間、科学者たちの間での協力および競合体制です。そういう場を提供する目的において、今回のような展示会やシンポジウムは、大きな意味を持つでしょう」
デニス・ヤブロンスキー氏とDr. ロレンツ・グランラート氏の講演
「成長するアメリカの代替エネルギー市場の可能性」と題した講演を行った、米国ペンシルベニア州地域振興・経済開発省長官のデニス・ヤブロンスキー氏。京都議定書への不参加に始まり、環境政策のあり方について世界から非難を浴びてきた米国。だが今年、新たな大統領が生まれることを契機に、どのように環境政策をとっていくのかが注目を浴びている。ヤブロンスキー氏によると、現在米国では州それぞれが主導権を握り、再生可能エネルギーや温暖化対策、またそれらに関連する産業の推進に積極的に取り組んでいるという。ペンシルバニア州もその中の一つ。先頃、「Energy Independence Fund」と称する、6億5000万ドルの予算を再生可能エネルギーのために投じる法律を制定した。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーのプロジェクトファイナンスとして3億4500万ドルを充て、4000万ドルをベンチャーキャピタルなどの支援に、太陽光発電パネルなど再生可能エネルギー利用の機器を個人や事業者が設置する際の、設置コストの補助金として残りを利用するという内訳だ。新大統領の誕生、そして環境のための連邦政府による国家政策が始まるのを待たずして、もはや州政府は再生可能エネルギーの普及など、環境対策に積極的に動いている。そうやって、遅れを取り戻すかのように急ピッチで動き始めた米国の展望を伝えてくれた。そして基調講演の最後に登場したのは、ドイツの応用研究機関「フラウンホーファー」の日本代表部研究所の代表、Dr. ロレンツ・グランラート氏。「フラウンホーファー」はヨーロッパ最大の応用研究機関であり、ドイツ国内だけでも56の研究機関を抱える。また日本、中国、ロシア、ドイツ、アメリカ、インドネシア、韓国などにも拠点がある、世界規模の研究機関だ。同研究所では、民間企業や公共企業向けに、さらに社会全体の利益を目的として、直接効用の応用研究を実施しており、その研究分野は生産技術、情報・コミュニケーション技術、ナノテクノロジー、生命科学、マイクロエレクトロニクス、材料および部品…と実に多岐にわたる。その中で、同研究所が力を入れているのが、再生可能エネルギーに関する研究だ。個々の具体的な研究成果などについては専門的な話も混じってくるのでここでは省略させていただくが、一口に再生可能エネルギーの研究といっても、太陽光発電から燃料電池に至るまで、そのカバーする分野は実に幅広い。「フラウンホーファー」のようなワールドワイドな規模の研究機関の成果が、来るべき再生可能エネルギー時代を支えていくことは間違いないだろう。日本、ドイツ、アメリカという、再生可能エネルギー/新エネルギーの普及・促進において重要な役割を担うであろうこれら3カ国それぞれの現状や展望をうかがい知ることができた基調講演。このような機会にドイツとアメリカの大胆な政策や、環境産業の著しい発展について話を聞くのは、非常に刺激を受けるところが多い。またそれら諸外国の姿勢に対して、日本はどのような形で再生可能エネルギー社会へ移行していけばよいのか? そんなことを改めて考えさせられた。次回は、基調講演に引き続き行われた、「Cool Earth 50 フォーラム」の模様をリポートする。東京工業大学教授の柏木孝夫氏、経済産業省資源エネルギー庁次長の本部和彦氏、東京大学総長の小宮山宏氏による講演の様子を写真と共にお伝えしよう。

特集:低炭素社会を実現する技術を探る 2050年、「エコテク」爆発(第2回)自然エネルギー


●自然エネルギーの賦存量
天然の核融合体である太陽から地球に、膨大なエネルギーが降り注いでいる。地球に到達した太陽エネルギーは、風力や波力などに姿を変える イラスト/城芽ハヤト


出典:http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/special/080902_tech02/
2008年9月2日 自然エネルギーは伸び悩んでいるが、潜在力を十分に生かしていないだけだ。陸地が無理なら沖合いに風車を建て、より安価な太陽光発電を屋根に敷き詰める。砂漠地帯や宇宙で発電するアイデアもある。地球に降り注ぐ太陽エネルギーは膨大だ。その量は毎秒42兆kcalに達する。届いたエネルギーは風力や波力、水力などに姿を変える。理論的には、自然エネルギーで、世界中の電力需要を満たせる。しかし、国内の自然エネルギーは順調に伸びているとは言い難い。住宅向けの太陽光発電は補助金打ち切りで伸び率が鈍化。風力発電は電力網への影響から設置が制限され、新設が進まない。太陽光も風力も全発電量の1%に届かない。だが、太陽電池のコンサルティング会社である資源総合システム(東京都中央区)の一木修社長は、「エネルギーは政策そのもの。ドイツのように、自然エネルギーでいくと国の方針を決めれば、発電量に占める割合はおのずと増える」と断言する。政策は不確定要素だが、価格や立地といった欠点を解消する技術開発は着実に進んでいる。
浮体式風力は立地に制限なし
電力網の問題が解決されても、日本は山間地が多く、風車の適地が限られている。残る場所は海上ぐらいだ。ところが、風車が建てられる海域は、せいぜい水深20mまで。日本の海はすぐに深くなってしまい設置できる場所がほとんどない。洋上風車が盛んな欧州は遠浅の海なのだ。

東大の鈴木教授が開発したスパー型の浮体式洋上風力。海上部分が80m、海中に90mで、全長170m。海面下に浮力体と重りがある
そこで注目を集め始めたのが、海上の浮体の上に風車を取り付ける「浮体式洋上風力」である。係留が可能な水深200m程度まで設置できるため、漁業権が付与されている海域を除いても、設置場所が十分にある。東京大学の鈴木英之教授は、「沿岸から40kmの範囲内で吹く風のエネルギーは、船の航路や漁業権のあるエリアを除いても日本の総電力量を賄える」と断言する。例えば、銚子沖に縦10km・横20kmの浮体式洋上風力パークを作れば、大型火力発電所1基分の電力を確保できる。浮体式洋上風力には複数の方式があるが、実用化に近いといわれているのが1つの浮体で1本の風車を支える「スパー型」(写真右上)と、1つの浮体で複数の風車を支える「セミサブ型」である。浮体の揺れを抑える技術も開発済みで、「風速25mの風が吹いても風車の傾きは1°程度に抑えられる」(鈴木教授)。風車は陸上のものを流用するため、実海域実験のゴーサインを待っている状況だ。設置コストは1kW当たり30万円と試算されており、陸上風車の25万円に比べると高い。だが、稼働率は陸上の30%を大きく上回る45%なので、投資回収期間では劣らない。今年5月には、浮体の建造技術と風車技術の両方を持つ三菱重工が、2~3年後に事業化すると発表した。「塩害や巨大な浮体の建造場所の確保などの課題があるので、通常の洋上風車で問題を解決してから取り組む」(三菱重工の高山栄太郎・風力発電事業ユニット長)方針だ。世界では、ノルウェーが2009年、米国が2012年の実海域実験を宣言済み。2020年ごろには、浮体式洋上風力発電所が登場してもおかしくない。
安価で資源制約のない太陽光
分散型の自然エネルギーとしての使いやすさは、太陽光に勝るものはない。屋根や壁などちょっとしたスペースがあれば設置できる。太陽光発電には複数の方式があるが、主流は結晶シリコン(ケイ素)を使うタイプだ。だが、世界的な太陽光発電ブームでシリコンが供給不足に陥ったことから、シャープをはじめとするメーカーは、シリコンの薄膜型の増産を決めた。さらに、シリコンを使わず化合物で薄膜を作る化合物型では、ホンダや昭和シェル石油が量産を始めている。シリコンを使う太陽電池の発電コストは、1kWh当たり40~50円。安くなってきたとはいえ、家庭用電力の単価の同約24円と比べると約2倍だ。これは、製造設備によるところが大きい。クリーンルームが必須で、真空下で、かつ高温工程があるため、初期投資は数十億円を軽く超える。化合物型はシリコンよりは安く作れるが、「2分の1がせいぜいだ」(関係者)。一気に普及させるには、既存の方式に比べて格段に安い太陽電池が必要だ。こうしたニーズから、複数の企業や研究機関がこぞって研究しているのが「色素増感型太陽電池」である。色素増感型は、二酸化チタンとルテニウムなどの色素が太陽光を吸収することで電子が移動し発電する。ガラスや樹脂の基板の上に、印刷技術でチタンや色素を載せるので、製造コストが安い。桐蔭横浜大学の宮坂力教授は、「製造コストはシリコン型の10分の1にできる」と言い切る。

桐蔭横浜大学の宮坂教授が開発した色素増感型太陽電池。基板が樹脂なので曲がる
最高効率は、シャープと東京理科大学の荒川裕則教授がセル(発電の最小単位)で出した11%。結晶型シリコンの約20%には及ばないが、シリコン薄膜型を上回るレベルにまで来ている。現在、メーカー各社は信頼性を高めることに苦心している。宮坂教授が設立したペクセル・テクノロジーズ(横浜市)は、変換効率3%程度のiPod 用充電器を2009年末にもサンプル出荷するという。フジクラは、「モジュールの効率が8%を超えたら実用化する方針だ」(田辺信夫・材料技術研究所長)資源総合システムの一木社長は、「利用者のニーズは、安心な材料、安さ、長寿命、信頼性、高効率の5つ。用途や利用者が個人なのか企業なのかによって求める方式は異なる」と説明する。効率で見れば結晶シリコンがリードしているが、価格によって対象の市場は変わる。日本のように国土が狭い国は、効率の良いシリコンを使い、広い土地があるなら効率が落ちても圧倒的に安い色素増感型が向く。また、屋根に載せて発電するのか、家電などとセットで使うのかによっても選択肢は変わる。
宇宙や砂漠を発電所に変える
砂漠や宇宙の広大な空間に大規模太陽光発電所を作るアイデアもある。世界でいち早く砂漠に目を付けた東京工業大学の黒川浩助特任教授は、「砂漠の日射量は豊富で太陽光発電所を作るのにぴったりの場所」と力説する。試算によれば、ゴビ砂漠だけでも世界中の電力が賄える。6大砂漠の山や砂丘を除いた砂漠の平地だけに太陽光発電を設置しても、世界の電力需要の数倍を発電できる。発電した電力は、直流送電を使って世界各国へ送電する。スイスのABB社は既に、離島などの風力発電パークと都市部を直流送電で結んだ複数の実績がある。

砂漠地域に巨大な太陽光発電所を建設すれば、世界の電力需要の大部分を賄うことも可能だ。イラストは東京工業大の黒川特任教授が作成したイメージ図。周囲には地域コミュニティが生まれ、緑化も進む
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙に太陽光発電所を作るプロジェクトを進めている。宇宙なら太陽エネルギーを地上に比べて、10倍効率良く利用できる。衛星や宇宙ステーションに巨大な太陽電池を設置する。発電した電気はマイクロ波などに変換して地上へ送り、地上で再び電気に変換する。電気とマイクロ波の変換効率の向上や、宇宙から地上へマイクロ波を狙った範囲に送れるかどうかなど、まだまだ開発課題はある。JAXAは、2013年までに地上で実証実験し、その後小型衛星を打ち上げる。実用化の目標は2030年。「1兆~2兆円の建設費で40年間稼働が条件。発電コストは1kWh当たり10円を目指す」(佐々木進・未踏技術研究センターグループ長)自然エネルギーを増やすのは難しいといわれるが、水力発電はまだまだ開発の余地がある。国内の水力資源の開発率は70%を超えているが、アジア各国やアフリカ、南米などには大きな水力資源が眠っている。水力発電で作った電気を直流送電で運べば、世界中の電力需要を賄うことも不可能ではない。通常の電力輸送は交流送電を利用している。高圧の電力をきめ細かく変圧して、住宅やビルなどに届けやすいためだ。だが、交流送電の送電距離はせいぜい200km。大陸をまたいだ電力のやり取りには使えない。一方、直流送電なら、地球の4分の1周に当たる1万kmも送電可能だ。私が開発に携わったパワー半導体「サイリスタ」を利用すれば、難しいといわれてきた変圧も簡単にできる。まず、アジアやアフリカなど途上国の水力で発電し、その国で消費する。余った電力は直流送電で海外へ売れば、外貨を稼ぐ手立てにもなる。例えば、カンボジアの水力発電で、余った電力を台湾、沖縄、さらには中国へ送ることも可能だ。水力資源の豊かな国で発電した電気を世界中で使えるようになるわけだ。温暖化対策が急務になり、原子力発電所の新設や、CO2回収・貯留(CCS)が急浮上している。だが、原子力発電は立地や人材育成などに課題がある。CCSは根本的な解決策とは思えない。自然エネルギーを活用する方策をもっと考えるべきだ。

聞き手/金子憲治(日経エコロジー)、写真/本多晃子
福田首相は、先進国である日本は2050年までにCO2を70%程度減らす目標を掲げました。これは達成できるというのが持論です。コストを誰が負担するかという問題はありますが、技術的には可能です。ではどうすればいいのか。日本はすぐに原子力に頼ろうとしますが、立地などを考えれば大幅な新設は簡単でない。まず自然エネルギーを伸ばすことが先決です。その次には、CO2の回収・貯留など、現状の火力発電をバックアップする技術も重要です。自然エネルギーでは、風力と太陽光が期待できます。風車は洋上への設置を進めれば、まだかなり増やせる余地があります。ただ、本命はやはり太陽光でしょう。太陽電池は、いつもコストが高い高いといわれてきましたが、今後急速に下がります。現在のシリコン系太陽電池の発電コストは1kWh当たり40円程度ですが、薄膜シリコンの量産で半分に下げるのは容易だとみています。経済産業省は太陽電池の発電コストの目標を、2020年に同14円、2030年に同7円と置いていますが、長期的にここまで下げるのは可能です。いまの家庭用の電力価格は、同24円程度なのでこれを下回るのは時間の問題で、そうなれば一気に普及します。化石燃料価格の上昇と太陽電池コストの低下で、経済性が逆転する日が近い将来、やってきます。ただ、現在主流のシリコン系はあと10年ほどで化合物型や色素増感型などに置き換わるでしょう。究極的には、量子ドット型が有望です。ドイツなどでは太陽電池による電力を高く買い上げ、設置を促す仕組みを設けていますが、こうした制度はメーカーの技術開発を怠けさせます。設置コストへの多額の補助制度を導入すると、一時的に導入台数が急増します。実際、ドイツはそうなりました。しかし、長期的に見れば、大幅な低コストを実現する革新的な技術を促す方が、普及の早道です。メーカーに対して、次世代の技術開発を支援する、いまの日本の技術開発政策は正しい方向です。見逃せないのが、太陽熱の利用です。砂漠などで太陽光を集光しその熱でタービンを回せば、発電効率は軽く20%を超えます。これは太陽電池を上回ります。かんかん照りの多い乾燥地帯では、太陽電池より太陽熱利用がずっと有利です。実際、ドイツなどで試算されている自然エネルギーの潜在量では、太陽熱をかなり大きく見積もり始めています。このため、三菱重工業でも太陽熱専用のタービンを開発し始めました。とはいえ、日本のような湿気の多いところでは太陽熱発電の効率はそれほど上がりません。太陽電池の方が向いています。自然エネルギーは、地域環境に合わせて、普及していくことになるでしょう。
三菱重工業・代表取締役副社長 福江一郎氏
1946年10月生まれ。71年九州大学大学院工学研究科修了。同年三菱重工入社。2002年取締役、2005年常務・原動機事業本部長、2008年4月から現職


特集:低炭素社会を実現する技術を探る 2050年、「エコテク」爆発(第1回)低炭素ビジョン


●エコテク爆発の系統樹


出典:http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/special/080829_tech01/
2008年8月29日
乗用車といったらガソリン車、照明といったら蛍光灯─。そんな技術的モノカルチャーは終わりを告げる。世界どこでも安い化石燃料が使える時代、研究室に閉じこもっていた省エネ・省CO2技術は、低炭素社会という舞台で競争力を高めいっせいに市場に登場し始める。若い技術が覇を争い、地域性や用途に合わせ、エコテクノロジーが一気に開花する。
■CONTENTS
● 第1回 低炭素ビジョン
● 第2回 自然エネルギー
● 第3回 原子力
● 第4回 石炭利用
● 第5回 水素システム
● 第6回 半導体
● 第7回 グリーン化学工業
● 第8回 インタビュー 福江一郎氏/柏木孝夫氏

文/金子憲治、山根小雪、菅原由依子(日経エコロジー)
写真/©Mitsushi Okada/orion/amanaimages(全面)、海上技術安全研究所(左)、
宇宙航空研究開発機構(右)

低炭素社会の実現は技術的に可能だ。ただ、そこに至る道筋は単純な一本道ではない。革新技術が競いつつ、地域や用途によってエネルギーやその利用形態を使い分ける技術的多様性の時代がやってくる。7月7日から開かれている洞爺湖サミットでの最大の争点が、EU(欧州連合)と日本が主張する「2050年までに温暖化ガスの排出量を全世界で半減する」という長期目標を参加各国間で合意できるか否かだ。米国や途上国を含めた国々が受け入れるかどうかはともかく、EUと日本という世界の2大経済圏がCO2の大幅削減に挑戦し、低炭素社会を目指し始める。ポスト京都議定書の枠組みの行方にかかわらず、グローバル化した世界経済はその影響を受けないわけにはいかない。枯渇感の出てきた化石燃料のリスクも踏まえ、エネルギー安全保障の視点がこれを加速する。排出量取引や環境税などCO2排出に値段を付ける経済政策が先進諸国に広まり、「脱炭素」への流れは押しとどめられないものになるだろう。とはいえ、実際問題として、「2050年にCO2半減」は可能なのだろうか。6月6日、その道筋をIEA(国際エネルギー機関)が示した。結論から言うと、「技術的には可能だが、現実的ではない」(田中伸男事務局長)。IEAは、「2050年までに世界経済は4倍に成長し、対策を打たなければCO2排出量は現在の280億tから620億tに急増する」という前提を置き、これを140億tに下げるシナリオを探った。その内容は、発電部門をほぼ脱炭素化し、1tのCO2を削減する費用が200ドル(約2万200円)以下の省エネ技術を総動員すれば可能との結論になった。その際の追加的コストは世界のGDP(国内総生産)の1.1%になるという。それを示したのが下の図だ。発電部門の脱炭素化の柱は3つ。原子力、自然エネルギー、そしてCO2の回収・貯留(CCS)付き火力だ。原発は毎年24~32基、CCS付き石炭火力は同30~35基というハイペースの新設が必要になる。また、CCSについては鉄鋼など産業部門への大規模な導入も必要とする。

●CO2半減シナリオと削減策の内
注:2030年までは「世界エネルギー展望2007」(IEA)の450ppmケース。2030年以降2050年までは「エネルギー技術展望2008」(IEA)による分析。ベースラインは世界経済が現在から2050年までに約4倍に成長するとの前提
出所:IEA(国際エネルギー機関)の「エネルギー展望2008・2050年までのシナリオと戦略」

原子力については発電所の立地、CCSについてはCO2の貯留場所の確保が社会的受容性から大きな課題になるものの、技術的には半減可能で、GDPの1.1%という追加コストも負担し切れないほどの額ではないという。「現実的でない」というのは、既述した原発やCO2貯留に関する社会的な壁を指している。
用途、地域で技術を使い分け
IEAは、2050年に現状レベルに戻すシナリオも示しており、こちらは「現実性があり、目標として妥当ではないか」(田中事務局長)としている。ただ、この場合でも、原発や自然エネルギー、CCS付き火力、そして究極的な省エネ技術に大きく依存することは間違いない。いずれのシナリオでも、こうした技術に対し、大規模な研究・開発による革新と低コスト化を織り込んでいる。低炭素社会の実現を目指し、今後、こうした技術が革新しつつ、経済性や社会的受容性を高めながら、普及を競うことになる。実は、こうした見方は2005年10月に経済産業省がまとめた「超長期エネルギー技術ビジョン」(下図)でもほぼ同様だ。同ビジョンでは、起こり得る可能性が高い社会像として、「自然エネルギー最大利用と究極の省エネ」つまり、自然エネルギーと革新的な省エネ技術の可能性を探りつつそれらを優先的に採用し、不足するCO2削減分を原子力とCCS 付き火力が補うという想定だ。

いずれにせよ、化石燃料をベースとした時代には日の目を見ずに、今まで研究室を出られなかった脱炭素・低炭素型のエネルギー転換技術や利用効率の高い省エネ技術が脚光を浴び、徐々に競争力を高めて、一斉に市場に出てくることになろう。ここ数年で急速に進歩したナノテク(ナノは10億分の1)や遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジー、高速コンピューターによるシミュレーション技術などが、既存技術の効率性を高めるとともに、ブレークスルーをもたらす可能性もある。それは、技術的多様性の時代が幕を開けることでもある。約100年前、米国は石油文明の黎明とともに経済成長し始め、火力発電所から配電する電力システムや大衆乗用車「T 型フォード」を生んだ。火力発電とガソリン車は、大油田の発見を追い風に世界中に行き渡った。こうした化石燃料を基盤にした技術的モノカルチャーは、地球温暖化を引き起こし、いまや限界を迎えつつある。技術的多様性には、次のデファクトスタンダード(事実上の標準)が決まるまでの若い技術の競い合いという側面もある。ただ、自動車における電気自動車と燃料電池車、照明におけるLED(発光ダイオード)と有機ELのように用途で使い分ける可能性もある。また、自然エネルギーの風力、太陽光、バイオマス(生物資源)のように地域の気候や植生による違いを反映する場合もあろう。生物進化史上、約5億4000万年前のカンブリア紀に、突如として多様な生物が進化し、いま存在する種が出そろった。これをカンブリア爆発というが、今後50年はまさに技術史上の「エコテク」爆発になりそうだ。本特集では、エネルギー転換と省エネ技術の最先端の研究・開発をレポートし、多様な技術が支える低炭素社会の未来像を探った。


2008年9月1日月曜日

9月に欧州太陽光発電会議、ドイツが主導的地位固める


出典:http://www.nejinews.co.jp/news/business/eid1320.html
 【ベルリン1日PRN=共同JBN】最近承認されたドイツの「気候パッケージ」は、再生可能エネルギー分野の有力な投資先としてのドイツの地位を確保する最新のステップである。インヴェスト・イン・ジャーマニーの再生可能エネルギー・資源チームのディレクター、ダビッド・ボルトマン氏は「改革では魅力的なフィードイン・タリフ(固定価格買い取り)制度が維持され、エネルギー効率への投資に対する法的枠組みが強化されており、したがってそれでなくても魅力的な太陽光(PV)エネルギーへのドイツの投資条件に魅力が追
加されている」と語っている。インヴェスト・イン・ジャーマニーは、2008年9月1-5日にスペインのバレンシアで開かれる第23回欧州太陽光エネルギー会議・展示会(PVSEC)でドイツの投資優遇策の概略を説明する。ドイツへのPV投資の主な推進力の1つは再生可能エネルギー資源法(ドイツ語でEEG)である。EEGは電力会社に対し再生可能エネルギー施設の所有者から標準的な小売価格より高い価格で再生可能エネルギーを買い取ることを求めている。2008年に始まるPVプロジェクトに対するフィードイン・タリフは1KW時あたり35・49-51・75ユーロセントである。この価格は20年間保証されている。またEEG価格で電力会社に売れるエネルギー量に制限はない。この法的枠組みはPV製品に投資するようドイツ人を奨励するものであり、長期的で持続可能な国内市場をつくり出す。ドイツはよく知られている科学的専門知識を太陽光業界の資産につぎ込んでいる。実際、ドイツの大学ではベルリンの技術大学(TU)の新しい修士課程を含め、太陽光エネルギー、エネルギー管理の学位オプションが約80ある。世界各地からの学士レベルの学生にエネルギー業界についての知識を向上させる機会を提供する「エネルギー大学」が近くベルリンに開設される。この資格を持つ労働力はドイツのPV製品の質の高さ、比較的低い製品故障率に寄与する。この専門知識は大学だけでなく、PV投資家と緊密に協力しているドイツの多くの研究機関でも見られる。例えば、フラウンホーファーISEは、しばしば太陽光業界と協力してPVの最新技術について研究を行っている多くの研究機関、大学の1つで国際的に有名なフラウンホーファー協会の一部である。「ドイツを世界一流のPV投資先にしているのは、ドイツ人従業員の質、メーカー、サプライヤー、研究機関の緊密なネットワーク、支援する法的枠組みだ」とエイケ・ウェーバー博士は指摘する。同博士は米カリフォルニア大学バークレー校の元教授で、ドイツのフライブルクにあるフラウンホーファー太陽光エネルギーシステム研究所(ISE)の所長である。支援法、資格を持つ従業員、研究者やサプライヤーへのアクセスがファースト・ソーラー、アライズ・テクノロジーズ、シグネット・ソーラーなどの有力PV会社やインティコ・ソーラー、マスダーPVのような最近参入した会社がドイツに投資している理由である。インヴェスト・イン・ジャーマニーはドイツ連邦共和国の国内投資促進部局である。場所の選定から投資決定の実行まで包括的なサポートを投資家に提供している。

めざすは「太陽電池パネル」100枚 創立60年記念し製作・東根工高


セルにリボンをはんだ付けする作業に取り組む生徒たち=東根市・東根工業高


出典:http://yamagata-np.jp/news/200808/31/kj_2008083100544.php
2008年08月31日 15:57
東根市の東根工業高(布川元校長、464人)の全校生徒が、同校の創立60周年を記念し、太陽電池パネル100枚の製作に取り組んでいる。すべて合わせると縦2.5メートル、横13.4メートルになり、これほど大規模な太陽電池パネルを高校生が作るのは全国的にも珍しいという。創立記念式典が行われる9月28日までに完成させる予定だ。一人一人の生徒に地球温暖化などの環境問題について目を向けてもらおうと、今年4月に企画。全校生徒が1学年12班の計36班に分かれ、各班が1回、パネル製作の最初の工程に携わり、自然エネルギーを活用した発電について学ぶ電子システム科3年の7人が仕上げを行う。製作の助言や材料の手配などは、自然エネルギー機器販売のソーラーワールド(天童市)や、開発途上国で家庭用太陽光発電設備の設置や技術を伝える活動を展開する国際協力NGO(非政府組織)ソーラーネット(埼玉県)の協力を得ている。作業は6月上旬に開始した。まずは光を受けて発電する「セル」に導線の役目を果たす金属製の「リボン」をはんだ付け。リボンを付けたセル34枚を連結させて強化ガラスにラミネート加工するなどして、縦62.5センチ、横53.5センチの太陽電池パネル1枚を順次作っている。100枚すべて完成すれば1秒間の最大発電量は3.4キロワットになるという。100枚のうち8枚は「H」「I」「G」「A」「S」「I」「N」「E」の文字の形にセルを配置し、同校手作りの太陽電池パネルであることをアピールする。電子システム科3年の7人のうちの1人、押切貴則君(17)は「セルは割れやすいので、はんだ付けする際などの力加減が難しい。大変だけど、完成が楽しみ。自然エネルギーについて1人でも多くの人が関心を持つきっかけになればうれしい」と話している。太陽電池パネルは完成後、同校敷地内に設置し、校舎の電気機器の電源として活用する予定だ。

2200平方メートルの、太陽電池で動くLEDパネル@中国


出典:http://www.gizmodo.jp/2008/08/post_4237.html
中国は何でもかんでもスケールがデカいです。例えばこのXicuiエンタテイメント・コンプレックス・ビル。ここの道路に面した壁は一面LEDパネルとなっています。その面積は2200平方メートル。名前は「Greenpix Zero Energy Media」といって、Simone Giostraという建築家が手がけたものです。ビルが完成したのは少し前のことなのですが、このたびAlexandra Lermanさんという人が、このメディアウォールについての短いドキュメンタリーを撮影して、Gizに送ってきてくれました。それが上の映像。「圧倒される」以外の言葉が見当たりません。注目すべき点は、このメディアウォールがすべてソーラーパワーで動いているということ。パネルのガラス自体に太陽電池が組み込まれています。マルチレイヤー構造になっていて、それぞれの層に基盤が埋め込まれているそうです。
[Greenpix]http://www.greenpix.org/Jesus Diaz(MAKI/いちる)


東京都が家庭での太陽熱量を買い取り 地球温暖化防止に向け、全国初


出典:http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080831/env0808312005000-n1.htm
 地球温暖化対策に取り組む東京都は平成21年度から、暖房や給湯器で太陽熱を活用する家庭が使用した熱量に環境価値をつけて買い取る「グリーン熱証書制度」を全国で初めて導入する。太陽熱機器を設置する家庭に対して20万円程度の補助を行う方針も固め、家庭内の温室効果ガスの削減を促進する。また、都の条例で二酸化炭素(CO2)の排出量削減が義務づけられた大規模事業所が都の買い取った環境価値を購入し、削減目標を達成できる態勢作りも目指す。グリーン熱証書制度は、CO2を排出する化石燃料や電力などのエネルギーに代わり、太陽熱の利用で節約できたエネルギー量に「環境価値」をつけ、都が金額に換算して家庭から買い取る制度。環境価値は認証機関が算定する。都によると、都内のCO2排出量のうち家庭から出るのは全体の4分の1。エネルギー需要の半分は暖房と給湯で、いずれも数度~数十度程度の低温熱需要。夏場で60~70度、冬場で30~40度の熱供給を期待できる太陽熱はこうした低温熱需要に合致。太陽熱を取り込む機器が普及すれば、CO2削減が可能になることからも制度導入を決めた。対象となるのは太陽熱温水器、ソーラーシステムなどだが、設置費用を含めると約30万円~約100万円と高価で、都内での太陽熱を利用する機器の設置住宅は「全体の1%」(総務省)。このため、都では来年度からソーラーシステムなどを設置した家庭に3~20万円程度の補助を開始。22年度までに4万世帯での普及を目指すことにした。また、都では、大規模事業所にCO2の排出量削減を義務づけた条例で、設定した削減目標を達成できない事業所が不足分を補填(ほてん)できるよう、都が家庭から買い取ったグリーン熱証書を企業に販売する方針を決めた。家庭だけでなく、都全体での地球温暖化対策の仕組み作りを本格稼働させる狙いだ。

明日のニュース・ワールドビジネスサテライトでPV放映


出典:太陽光メーリングリストより
皆様 08年8月31日発信人:都筑 建
 国の補助復活や価格大幅低減や買い控えなど太陽光発電が慌しくなってきました。そんな中で、テレビ東京が下記の内容で報道します。浮かれることなく課題を見据えようとする姿勢は好感が持てます。取材・編集が1週間と慌しく、最終の編集内容は分かりませんがPV-Netも相談員研修会などを中心に取材されましたので紹介します。テレビ東京としては最もメジャーなニュース番組です。
【番組名】  ニュース・ワールドビジネスサテライト
           毎週月曜~金曜 午後11時~11時58分 放送
           司会:小谷真生子、大浜平太郎(テレビ東京)
【放送日】  2008年9月1日(月) 上記番組内 特集コーナーにて
【特集概要】    『太陽光発電~住宅への普及に伴う課題(仮)』
 CO2削減目標の達成など、環境問題の重みが増している中、政府は太陽光発電の普及に再び力を注ぐ方針だ。住宅への普及は国土の狭い日本では太陽光発電活用の大きな鍵となる。実際に本格的に普及し始めた時に、様々な新たな問題を表面化させないためには、今、解決しておくべき課題は何かを探る。(ソーラーパネルのメンテナンスの技術・技術者・制度の確立、評価、日当たりの問題をめぐるルールなど)テレビ東京の電波の届かない地域では有線テレビ「日経CNBC」(デジタル251ch・アナログ42ch)では、9月1日(月)深夜24:20~25:20で見れます。
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NPO法人 太陽光発電所ネットワーク
事務局長 都筑 建
〒113-0034 東京都文京区湯島1-9-10湯島ビル202
電話:03-5805-3577  FAX:03-5805-3588
E-mail:info@greenenergy.jp(事務局)
     LEI00242@nifty.com(個人)
URL:http://www.greenenergy.jp/
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電力会社がやるべきプロジェクトではないのでは? 大牟田メガソーラー:中川修治


出典:http://www.news.janjan.jp/business/0808/0808265608/1.php
2008/08/31
太陽光発電など自然エネルギーは、発電を小規模にして分散させ、電力会社が妥当な価格で電力を買い取ってこそ効力を発する。大規模に発電しようと言う「メガソーラ-」は、発想の根本がまったく間違っている。国や九州電力、宮崎県などは構想を再考すべきだ。温暖化対策「福田ビジョン」の発表以来、注目を集めている太陽光発電に、メガソーラーなどという「見掛けだけで大きなものがいい」と言う旧来の発想から来た代物がある。メガソーラーは、前の経産大臣の発言から業界が過剰反応して「できる、できる」と言う。九州電力も横並びに合わせてきている。さて、このニュースどう読むべきか……。
 「九州最大の太陽光発電、九電が大牟田・港発電所跡に建設」
【九州電力は25日、福岡県大牟田市の港発電所跡地に、同社初の大規模な太陽光発電設備(メガソーラー)を建設すると発表した。出力は3000キロ・ワットで、九州地区の太陽光発電では最大規模になる。来年秋に着工し、2010年度の運転開始を予定している。4年前に廃止となった石炭火力の港発電所(出力15万6000キロ・ワット)の跡地約7ヘクタールに、1畳分の大きさの太陽電池パネルを1万5000~3万枚設置する。総事業費は20億円台半ばの見込み。年間発電量は約315万キロ・ワット時で、昼間の出力ベースでみると一般家庭2200世帯分の電力を賄う。太陽光発電は原子力発電や水力発電と同様、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーとされる。出力3000キロ・ワットの太陽光発電によるCO2排出抑制効果は年間約1300トンと、一般家庭200世帯分の排出量に相当するという。九電は、九州地区に現在導入されている30万キロ・ワットの太陽光発電を10年以内に100万キロ・ワットに拡大する目標を掲げており、今回のメガソーラー開発もその一環となる(以下、略)】(2008年8月26日読売新聞)
 この20億円台半ばという数字、他では総事業費25億円といわれているので、規模からみると設備費は1Kwにつき83万円程度。これは一般家庭向けでの市場価格60万円台からみると1Kwあたりで見れば20万円も高い。つまり、発電原価で計算すると10~15円程度は高い。ならば、資金効率からみれば、一般家庭用に25億円かけて設置する方が余程、社会全体としては資金効率が良いという事になる。で、電力会社が自己資金でやると言ってもそれで利益を出すわけだし、電力会社の電力供給は地域独占だから、必ず、費用は九州の全電力需要家に支払わせることになる訳だ。1Kwhあたり10~15円も高い電気を作って、それを全九州全体の電力の需要家に負担させようという事になる。「全体から見れば小さいからいい」と言う話ではない。ならば25億円で、現在、25円程度でしか買っていない太陽光発電からの電力を、1KWhにつき20円余分に支払うほうが、15円も発電原価の低い電力を購入することができるわけだ。その方が経済的にも合理的であるし、九州電力の全電力需要家にとっての利益にもなる。それに、今まで発電原価をはるかに割る価格でしか売れなかった人たちの太陽光電力が正当に評価されることにもなるし、多くの電力需要家が電力の生産にも関わって、それが需要地に怒れることで系統の安定化にも役立って、未来の、エネルギーを含めた資源分散型社会を支えるようにもなるだろう。そもそも天候によって不安定といわれる太陽光発電を、こうして一ヵ所にまとめると、その影響自体がもっと系統全体への撹乱要因になる訳だ。ここに雲がかかったら1時に出力3000Kwがその10分の1とかになる訳だから随分、不安定になるだろう。なのに九州電力は、今後もメガソーラーに取り組むという……。一体今まで、一般の人たちが導入するのにどれほど難癖をつけて「そうした不安定な電源の電気の価値は4円程度だ」と言ってきたのだ。それをさらに、集中させて不安定にして系統に入れると言う。こんな理不尽な話はない。経営陣の再考を望みたい。
追記:宮崎県の東国原知事がメガソーラーの誘致に熱心だが、これも違う。県民が出資をして作る発電システムから生み出される電力(小規模分散)を、九電に合理的な価格で買うように求める方が、県民のためにもなるのだから……そうした建設的で誰もが利益を得られる提案を行ってほしいものだ。

太陽電池で設備投資相次ぐ


出典:http://www3.nhk.or.jp/news/t10013812591000.html#
温室効果ガスの削減が課題となるなか、日本の大手電機メーカーの間では、今後の市場拡大が見込まれる、発電の際に二酸化炭素を出さない太陽電池の生産を拡大するために大規模な設備投資を行う動きが相次いでいます。このうち「三菱電機」は、3年後までに工場の建設などに500億円を投資し、太陽電池の生産能力を現在の4倍に引き上げる計画です。これによって「三菱電機」では、およそ17万戸の家庭に電力を供給できる600メガワット分の太陽電池を年間で生産できる体制が整うとしています。また「三洋電機」は、今後3年間で700億円を超える投資を行うほか、「シャープ」も720億円をかけて新たな工場を建設することにしています。日本の製造メーカーが太陽電池の設備投資を拡大している背景には、経済産業省が家庭で太陽光パネルを設置する費用を補助する方針を示すなど、地球温暖化対策の一環として市場の拡大が見込めることがあります。一方で、インドや中国などの新興国やドイツのメーカーも生産の拡大に乗り出すなど、太陽電池をめぐる競争は厳しさを増しており、日本のメーカーは、技術力の強化や設備投資のスピードがよりいっそう問われる状況となっています。


Solar Wii Makes Sunlight Less Terrifying



出典:http://gizmodo.com/gadgets/gadgets/solar-wii-makes-sunlight-less-terrifying-245909.php
Despite the fact that the Wii and the sun aren't exactly the best of friends, a couple of enterprising modders from Tom's Hardware went and built themselves a solar-powered Wii to waste their upcoming summer days with.

In fact, it uses sunlight to juice up not only the Wii, but a TV and speakers as well. By using a battery in conjunction with a solar panel (so the unit isn't relying solely on the sun), they're able to get from 6-8 hours of game time from this thing on a sunny day. That's more than enough time to get a sunstroke or at least really, really bored with Wii Play. –Adam Frucci


太陽電池のDS Lite



出典:http://www.gizmodo.jp/2007/04/ds_lite_1.html
太陽電池で遊べるWiiに続く、ソーラー改造計画第2弾。今回Tom's Hardwareのマニアが作ってくれたのは太陽電池で遊べるDS Liteです。
「マリオカートDS」も充電休みが要らないのがポイント。携帯電話用ソーラー充電器「Soldius 1」をDS本体に繋ぐと発電量は5.6Vから4Vまでダウンしますけど、DS Liteは3.7Vなので日当たりさえ確保できれ
ば補充要らず、みたいですね。心配な方は日なたで充電してから遊ぶのがベターです。半田ゴテが苦手で2本指くっつけやしないかとハラハラしてしまう僕みたいなのには無理ですけど、もっと手先の器用な人には挑戦してみる価値アリ?
How to Make a Solar-Powered DS Lite [Twitch Guru]

LED7灯/ソーラーハンドライト/太陽電池/ソーラー電池/ブラック



出典:http://store.shopping.yahoo.co.jp/fukumarusp/inde.html
■サイズ■全長:180mm 直径:33mm
■仕様■太陽電池

2008年8月29日金曜日

太陽光発電、都が30万円補助 09年度から


出典:http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080829AT1G2900I29082008.html
 東京都は2009年度から、太陽光発電システム設置について、標準的な家庭で30万円規模の高額補助制度を導入する。都の補助額は都道府県で最高になる。10年度まで2年間に投じる補助総額も90億円と国内自治体で最大規模。都内の太陽光発電システム設置件数は年3000件台で頭打ち。制度導入で件数を年1万件以上に増やし地球温暖化対策につなげる。 システムの設置費用は約200万円。標準的な家庭向け太陽光発電システムの出力は3キロワット程度で、都は1キロワットあたり10万円を補助する。太陽熱を利用した温水器などに対しても、設備内容に応じ1件あたり3万―20万円を補助する。

環境技術、日・EUが初の政府間協議 まず太陽光発電


環境技術、日・EUが初の政府間協議 まず太陽光発電
出典:http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080829AT2M2700F28082008.html
 【ブリュッセル=下田敏】温暖化対策で国際的な技術協力を進めるため、日本と欧州連合(EU)が初めての政府間協議を開催することが明らかになった。まず9月に太陽光発電に関する専門家会合を開き、蓄電技術や二酸化炭素(CO2)の地中貯留でも技術協力を探る。主要国首脳会議(洞爺湖サミット)の合意をふまえ、2050年に温暖化ガス排出を半減させるには環境技術が進んだ日本とEUが連携する必要があると判断。共同研究の枠組みなどを定めた包括協定を09年中に結ぶ方針だ。 欧州委員会は29日にも日・EUの政府間協議の設定を発表する。日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と欧州委が主体となってまずスペイン・バレンシアで専門家会合を開き、09年春までに具体的な共同研究の内容などを詰める。

2008年8月28日木曜日

日清紡が太陽電池・燃料電池の関連事業強化、繊維事業は海外に軸足


出典:http://www.worldtimes.co.jp/news/bus/kiji/2008-08-28T164346Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-334890-1.html
 【東京 28日 ロイター】 日清紡<3105.T>は28日、太陽電池製造装置と燃料電池セパレーターの各事業を拡大する方針を発表した。繊維事業は、国内の生産拠点を縮小し海外を拡大させる。当期業績への影響は軽微としている。 太陽電池製造設備では、受注の急拡大に対応するため、岡崎市の事業所内に現在建設中で09年3月完成予定の専用工場と同規模の専用工場を、2011年度までに建設し、年500億円の受注体制を整える。投資額は現在建設中の工場とあわせて65億円。 燃料電池セパレーターでは、千葉市に取得した工場用地に新工場を建設し、年2万台分に相当する生産体制を築く。2010年3月に完成する予定。将来
需要の高まりに備え、建屋は年30万台相当の生産に対応する規模とする。初期投資は35億円。 繊維事業は、国内で不採算の染色加工や老朽化した汎用糸用の紡績設備などの整理を進める。海外では、インドネシア子会社を拡充する。約10億円の自己資金を投じる。

新規事業の拡大計画と繊維事業再編についてのお知らせ
http://www.nisshinbo.co.jp/press/pdf/080828ir_newbusiness.pdf


誘導灯:夜の津波、安全避難 高知工高生徒、高知市御畳瀬に設置 /高知


出典:http://mainichi.jp/area/kochi/news/20080828ddlk39040490000c.html
 ◇太陽光発電式、高台まで急坂照明
 高知市御畳瀬(みませ)の津波緊急避難場所に、高知工業高校電気科の生徒らが27日、太陽光発電式の避難誘導灯を設置した。避難場所までは急坂で、辺りに照明もなかったため、安全に避難するための対策が求められていた。生徒らは「夜に地震が起こっても光を目指して落ち着いて逃げてほしい」と話している。【近藤諭】

 避難誘導灯は高さ約2メートルの位置に太陽光パネル(縦約55センチ、横約1・3メートル)と市販の蛍光灯を組み立てたもので、御畳瀬地区の一部住民約120人が緊急避難する高台(海抜約30メートル)に設置。避難経路にも足元を照らす発光ダイオード(LED)5個を取り付けた。完全に充電すれば、1週間以上は持つという。

 今年の4月から課題研究の授業の中で材料の準備などを進め、夏休みに入ってから本格的に誘導灯作りに取りかかった。クラブ活動や就職活動の準備でメンバー8人全員がそろわなかったり、骨組みのサイズが合わず、作り直すなど苦労を重ねたが、同科の山本稔講師(44)の指導を受けて何とか完成した。

 この日は、前日までに掘った深さ約1メートルの穴の中へ骨組みにパネルなどを取り付けた避難誘導灯を差し込み、セメントを流し込んだ後、土をかぶせて固定。避難経路のLEDへ電力を供給する配線作業などを行った。地域の人たちも荷物運びや草刈りなどで協力した。

 同科3年の尾崎一輝君(18)は「避難誘導灯があることで地震が起きても安心してもらえると思う。学校で勉強したことが人の役に立って良かった」と話していた。御畳瀬南地区の坂上寿雄会長(69)は「自分たちでは作れないので若い人たちに協力してもらって助かった」と喜んでいた。

毎日新聞 2008年8月28日 地方版



太陽電池に足場を築け! 投資を拡大する総合商社



出典:http://www.toyokeizai.net/business/industrial_info/detail/AC/56b6287e3ddec66d114b8bf532123571/
 欧州を中心に太陽電池の需要が急拡大する中で、太陽電池の製造には世界中から200社以上のメーカーが参入。さながら太陽電池バブルのような様相だ。その中にあって、熱くなっているのはメーカーだけではない。日本の総合商社が世界中で着々とビジネスの基盤を固めつつある。この夏、スペインで“一番乗り”をめぐるバトルが静かに繰り広げられた。5月、住友商事はスペイン領カナリア諸島で年間9メガワットのソーラーパークを建設すると発表。大手商社としては、太陽光発電ビジネス参入第1号になるはずだった。しかし、7月31日に三井物産が英国の電力事業者と組み、カタルーニャ地方で稼働中の太陽光発電事業会社の買収を発表したことで、第1号は三井物産に変わった。一番乗りを奪われた住友商事の福原豊樹・新エネルギー事業チーム長は「一番か二番かよりも、現行のタリフ(買い取り価格)の適用を受けられるかどうかが重要だ」と言う。スペインは9月末に買い取り価格を大幅に引き下げる予定。そのため住友商事のカナリアは9月中に稼働、現行価格での適用を目指している。引き下げ後の価格適用となれば、収支見通しが大きく狂ってしまうだ
けに、遅れは許されない。三井物産のプロジェクトも1・36メガワットの本格設備を9月中に操業させ現行価格での適用をもくろむ。両社ともライバル企業の動向を気にしつつも、政府の買い取り価格政策に神経を尖らす。住友商事、三井物産だけではない。伊藤忠商事はスペイン、イタリアでの太陽光発電事業を準備中で、三菱商事も出資交渉中の案件があることを認めている。各社とも固定価格買い取り制度のある欧州の太陽光発電事業で経験を積み、米国や新興国、日本への展開をにらんでいる。
●バリューチェーンの各段階で収入
 総合商社の太陽電池関連ビジネスは長い歴史を持っている。しかし、もともと手掛けていたのは、太陽電池メーカー向けの材料・資機材の仕入れ販売、日本メーカー製の太陽電池販売、製造装置販売など、川上、川中における仕入れ販売業務だった。が、ここに来て強化しているのは川下部分だ。欧米市場の拡大を受け、商取
引にとどまらず、最下流に当たる発電所の経営にまでウィングを広げた。川上から川下まで“バリューチェーン”を築き、各段階で収入を得ていくのが最近の総合商社の必勝パターンだが、太陽電池でもこの戦略を踏襲しているのだ。もっとも、総合商社の全売り上げに占める太陽電池ビジネスの比率は0・01%にも満たない。社運をかけて太陽電池ビジネスに挑むシャープとはこの点で事情が異なる。しかも、目先の急拡大を期待しているわけでもない。住友商事の福原氏は「太陽光発電事業が会社の収益柱になることはないだろう」と断言する。欧州でも大型となる住友商事のカナリア諸島の案件でさえ総事業費は85億円。約70億円をプロジェクトファイナンスで賄い、自己資金は約15億円。同じ発電事業でも中東で計画中の火力発電による造水・発電プロジェクトの総事業費は6000億円超。これと比べると、太陽光発電事業のスケールが小さいこと
は事実だ。
http://www.toyokeizai.net/business/industrial_info/detail/AC/56b6287e3ddec66d114b8bf532123571/page/2/
 ただし、原油・天然ガスといった化石燃料は枯渇やCO2排出などの環境問題がついて回るだけに、安泰とは言えない。遠い将来をにらめば、新エネルギー分野の投資を行わない理由はない。2007年に新エネルギー・環境事業本部を設立した三菱商事の小島信明執行役員新エネルギー・環境事業本部長は、新エネルギーには風力発電やバイオ燃料もあるとしたうえで「2030年以降の成長力を考えれば、太陽光が究極のエネルギー」と期待を語る。太陽電池事業でバリューチェーン構築に走る総合商社で、現状、トップを走っているのは住友商事だ。ノルウェーのリニューアブル・エナジー社(REC)と中国のギガ・エナジーへの出資を通じ、川上の材料分野では多結晶ウエハと単結晶ウエハの両方に足掛かりを構築。REC子会社の多結晶ウエハの販売代理権を取得、シャープに対する07年から5年間の原料供給契約も結んでいる。カナリア諸島の太陽光発電事業では自社で案件開発から地元政府との交渉まで手掛け、ソーラーパークの開発ノウハウも蓄積している。「オセロでいえば四隅は押さえている」と福原氏は自信を示すが、「その中をおカネをかけてやっていくかはまだ悩んでいる」とも。太陽光発電システムの企画や設計、販売を行うシステムインテグレーターやソーラーパークの開発販売を行うデベロッパーといった領域まで参入するか、決めかねているところだ。住商を猛追しているのが伊藤忠と三井物産だ。伊藤忠はもともと繊維関連の製造装置を扱っていた部署が太陽電池の製造装置の販売を、金属関連の部署が太陽電池のフレームや資材の取引を手掛けてきた。06年には太陽電池関連の部門横断組織を立ち上げ、積極的な投資を進めている。06年にはノルウェーのウエハ製造会社ノルサンに出資。今秋にはポリシリコン製造への投資を行う川上領域への投資も行う予定だ。製造装置の販売を通じて太陽電池メーカーとの関係強化も模索しており、薄膜太陽電池の米アセント・ソーラーとは一部出資も含めた事業提携を交渉している。さらにシステムインテグレーターでは07年に米国のソーラー・デポを買収。今年に入って、ドイツ、チェコ、ブルガリアでソーラーパークの開発を行うスカテック・ソーラーにも出資した。ちなみにスカテックとノルサンはRECの創業者ビオセット博士が作った会社だ。伊藤忠は太陽光発電事業もスペインを中心にイタリア、ブルガリアなど複数案件を進めている。「基本的にバリューチェーンを上から下までつなげていく」(金属資源・石炭部門非鉄・金属原料部四居利之部長)と明確な戦略を打ち出している。
http://www.toyokeizai.net/business/industrial_info/detail/AC/56b6287e3ddec66d114b8bf532123571/page/3/
 三井物産は、部材を扱っていた化学品、太陽電池の販売をしていた情報産業、発電所を開発・運営するプロジェクトの太陽電池関連事業を手掛けていた3部門から人材を集め、今年6月にソーラービジネス事業部を設立。このビジネスに本腰を入れ始めた。06年に買収したサンワイズ・テクノロジーズは、米国の住宅向けの太陽光発電システムの卸売りでトップ。07年度の売り上げは100億円を超えており、「サンワイズを米国での事業プラットフォームとして育成を図る。欧州でも同じような機能の会社を持つべく、複数の交渉を進めている」(ソーラービジネス事業部の綱島隆之次長)。手薄な川上領域も「ポリシリコン関連で信頼できるパートナーと組む計画だ」(綱島次長)。 太陽光発電事業では、欧州のみならず日本国内の計画を打ち出しているのも三井物産の特徴だ。 三井物産は同社が運営を受託する羽田空港の国際貨物ターミナルの屋上に薄膜太陽電池を敷き詰めた2メガワットの発電システムを設置、2010年の稼働を目指す。太陽電池設置を前提に建物の設計を行うことでコストを抑制、東京電力をパートナーに加えることで、事業者用価格に対し数円高いだけの料金が実現できる見込み。先行してノウハウをため込むことで、日本国内での太陽光発電の本格普及を見据える。まだ布右の段階 本格化はこれから三菱商事は現状、三菱電機や三菱重工の太陽電池の販売や資機材の調達など売り買い取引が中心。川上の材料から川下の発電事業まで投融資で具体化している案件はほとんどない。太陽電池パネルのJAソーラーへの出資はあるが、数億円、数%の出資でベンチャー投資的な意味合いが強い。 「やや出遅れている」と小島執行役員も認めている。しかし、本音は違うようだ。川上ではシリコン事業への投融資を検討、システムインテグレーションやソーラーパークの開発、発電事業への参入意欲も隠さない。「水面下に案件は多数ある。口で出遅れていると言っているほど出遅れているとは思っていない」(小島執行役員)と追撃に自信を見せる。 伊藤忠の四居部長は「今は仕込みを始めたところ。将来の絵を描きながら布石を打っている段階にすぎない」と現状を表現する。総合商社は、今日も世界中で、虎視眈々と新しい投資のチャンスを探している。(週刊東洋経済)週刊東洋経済 - 情報量と分析力で定評のある総合経済誌(週刊・月曜発売)

太陽光発電 補助金復活NO 固定価格買い取り制度に変更せよ(中川修治)


出典:http://www.news.janjan.jp/living/0808/0808265610/1.php
2008/08/28
 二酸化炭素(CO2)を排出しない身近なエネルギーの一つに太陽光発電がある。日本はかつて世界一の太陽光発電国だったが、3年前にドイツに抜かれてしまった。停滞気味の国内での普及に弾みをつけようと、政府が補助制度の復活を検討している。如何にも読売的な社説である。ここでいう使い勝手のいい補助金というのは設置時ばらまきだろうか……。使い勝手がいいとかではなく公平で公正で誰もが参加できるものでと言う事なら分かるが……。若干、認識に問題があるので、逐次、センテンスごと見ていきたい。

 太陽光発電 世界一の座をどう奪回する

 タイトルからして変だ。別に世界一にならなくても必要な量だけそれで出来れば良い訳で、すべてを太陽光でというものでもないのでその特性から現状ではピーク対応電源の位置づけをすればいい。

 生産量が増えても(一応、今でも1カ国では最大の生産量)それが国内に設置されないなら、生産時に出したCO2(太陽光発電の場合はこれが環境負荷の大部分)を回収することもできなくてCO2を出した成果のみが国内に残るので、エネルギー収支から見れば国内設置が最優先課題だろう。

 二酸化炭素(CO2)を排出しない身近なエネルギーの一つに太陽光発電がある。日本はかつて世界一の太陽光発電国だったが、3年前にドイツに抜かれてしまった。停滞気味の国内での普及に弾みをつけようと、政府が補助制度の復活を検討している。

 3年前に抜かれた理由は、十分に価格は下がったとして補助金を廃止した支援政策の無策にあることはちょっと詳しいものは誰もが知っている。

 福田首相は、地球温暖化対策として、太陽光発電を2030年に今の40倍にする方針を掲げた。

 これは、現在でも1.5Gw、150万Kwという最近、宮崎で稼働を始めた電気を貯めるだけの揚水式発電所と発電能力では同等で、環境特性からいえばはるかに優れた発電装置が作れる能力はある。この日本のメーカーの生産力からすれば2020年に達成可能だし、政策如何ではもっと早くもなる。

 この際、国民に使い勝手のいい補助制度を打ち出し、太陽光発電の普及を図るべきである。

 設置時補助金などという不公平で不公正で成果評価への実効性に乏しい制度をいつまでも続けているからこういう事になった。そもそもRPSなどという環境価値を買い叩く抑圧策をとるからこういう事になったのだということを指摘すべきだろう。実に乱暴な主張だ。実績のあるFITをわかりやすく紹介する記事を載せるぐらいの事があってもいいはずだ。折角、社説でも取り上げるぐらいに力を入れようと言うのならできないということはないだろう。

 発光部数では日本最大の影響力も取材力もある新聞なのだから……。太陽光発電装置の多くは、出力3Kw程度だ。一般家庭なら、年間電気使用量のほぼ半分を賄える。晴れた日中など発電量が多い時は、余った電気を電力会社に売ることも可能だ。

 大きなものは5Kwを超えるものもあるし、それは屋根面積と資金力によって決まったものだ。最近では、販売業者にとって都合の良いものということで2Kw程度のものにエコキュートとIHコンロのセットでオール電化で光熱費がお得という販売戦略に組み込まれたものが多い。「発電量が多いときは売ることも可能だ」ではなく、そうした仕組みに自動的になってる。むしろ売らないようにすることが機器の特性からして無理があるのが実態だ。

 それに、費用回収の面からみて、電力会社に余剰電力として売れるからやっと元が取れるように見えてるので、これを一切販売しない場合は、自家消費で全部使い切る以外に費用回収は無理だろう。

 日本では1990年代初頭から普及し始めたが、当時は装置が1000万円以上した。そこで、政府が94年度から1Kwあたり90万円の補助金をつけたことで、人気が一気に高まった。その後、装置の価格が5分の1程度まで値下がりし、補助金も引き下げられた。05年度は1Kwあたり2万円になり、それを最後に打ち切られた。これで急ブレーキがかかった。補助金打ち切りは時期尚早だったのではないか。

 94年にメーカーが補助金が出ると言うので製品として出してきたものは、1Kwあたり180~200万円、家庭用で3Kwシステムと言われたものが600万円だった。そして上限が1Kw90万円。でも個人負担は補助金なしでも現状60万円程度なのだから負担の公平性を考えるなら、すでに今は補助金を出す理由は一切ない。むしろ、ここで同じように出せば不公平を拡大するので、公金の使い方としては最悪だ。

 でも、産業政策としては止めるわけにいかない。で、1Kwが90万円を切った2000年ごろには廃止しても良かったものだ。ところが、政策市場であることが分かっていたので、設置業者や何よりもメーカーが補助金の存続を求めた。

 そして、この最後の年、平成5年の1Kwあたり2万円というのは3Kwシステムではたった6万円。これって、きちんと設置者が合い見積もりを取れば下がる価格で、実質的に何の役にも立たない申請書とかを書いたりとか、もちろん、受け取った国の方でも審査するための膨大な手間がかかることを考えればやらない方がましな補助金になっていたというのが事実だった。ただ、気持的にはあったほうが商売はしやすかったようだったので金魚のフンみたいに実はもらえる金額が少ないと積み残した予算消化で24億円がばらまかれて終わったのだった。

 一気にとはいえないものの、こうして何とか、年々、2倍ぐらいのペースというか補助金の枠で出来るマーケットで普及が進んできてはいた。

 で、設置者側には、意識としては、経済的には元を取るのは厳しいけど未来の世代のためとか、オール電化にしたら経済的でお得だという風な営業戦略に乗せられて、というのもあった。ところが、ドイツが実に適切な自然エネルギー支援策を導入した。それがFIT(フィードインタリフ)という仕組み。これは元々、ドイツのアーヘンという地方都市で実施された風力発電と太陽光発電に対しての発電原価を保証する買い取り制度(通称、アーヘンモデル)をお手本にしてすべての自然エネルギーに枠を広げて実施されたものだ。

 これが本格的に2002年ごろから導入されて一気に状況が変わりました。日本の優秀な太陽電池がドイツで使われるようになったのだ。一気に輸出が盛り上がった。

 すでに日本でもRPS法が導入される以前にこうした制度がいいのではないかとNPO・NGOからの強い要請があったものの、自然エネルギーが普及すると自分たちの利益が減るのだと考えた電力会社が強く抵抗、本来なら市場で取引して決めなければならない適正化電力価値を発電端での見せかけの価値として見せ、市場で取引されるべきではない環境価値を市場で取引して低負担で(つまり、自然エネルギー事業者には利益が出ない)導入をする(実質、導入を止める=リニューアブル・パワー・ストップ法)仕組みにしてしまっていら。

 これを反省し、今回、政府が打ち出すのが、補助金と税制上の優遇策の2本立ての支援策だ。補助金の額は未定だが、年間予算で総額100億円以上出していたこともある。少なくとも1Kwあたり10万円以上必要だ、とする声もある。確かに、あまり少額では効果も期待できまい。

 1Kwあたり10万円も出したら、たった2万円しか出してもらっていない人たちとの間に大きな不公平が生まれるし、それは初期の設置者のと間でも大きな格差が生まれてしまう。それと、設置時補助金に関しては、予算の範囲内でしかマーケットができないという問題が再度発生するだろう。

 これを反省するなら年度ごとの発電原価を計算してそれを現時点から期待耐用年である20年間を電力買い取り価格との差額補てんを行う事でそれぞれの設備投資者には一応は公平で公正な形の支援措置にもできるだろう。さらに、この制度へ転換することで発電量の全量が報告されるようになるのでCO2の削減量が明確にわかるようになる訳だ。

 合理的に考えれば、設置年度ごとの発電原価を出して、全量の買い取りに替えてその差額分を国が電源開発促進税というすでに電力料金にかけている税金をその費用に充てれば新たに国民負担を求める必要もないのだ。

 税制では、装置にかかった費用の一部を、所得税から差し引くことなどを検討している。所得のない人が自分の分の電気を作りたいと預金を取り崩したりお金を借りて発電所を作るとなると所得がないので こうした税金の控除は受けられないという事になるる、負担は不公平になる。一方、ドイツのように、電力会社に余った電気を売る場合の単価を、大幅に引き上げるべきだとの指摘もある。

 私はこちらをお勧めする。さらに、余った電気ではなく全量買い取りに変えるべきだと思う。そうでないと発電量の総量を計るメーターをもう1個、別に設置しなければならず無駄な費用がかかることになる。これは、グリーン電力証書取引がRPSとは別に普及策として有効だとしている場合も必要だとされているものだ。今ならちょっと配線を変えるだけで余分なメーターを1個減らすことができる。

 日本の売電単価は、電気使用料とほぼ同じ1Kw時あたり23円程度だが、ドイツでは04年から使用料の約3倍の90円程度に引き上げられた。これがドイツで太陽光発電が一気に普及した要因だ。日本よりも発電量が2割少なく、借入金利も高い国なので1Kwh90円としたのだろう。それにユーロ高の影響もある。日本なら1Kwhは45円が現在の発電原価。

  若しくは、ちょっと色を付けても現状なら50円で十分。KWhあたり90円も払ったらそれは払い過ぎ! で、もし売ろうとなればこの価格が支払われるべきなのは日本では2001年ごろ設置されたものとなるだろう。だが、この仕組みにも難点がある。電力会社にとっては、電気を高値で仕入れることになる。その分をドイツでは電気料金に反映させており、一般家庭で月500円程度の負担増になっている。

 高値で仕入れるというが、では今の電力が生産している電力の価格が妥当かどうかという問題も検討しておかねばならないし……。

 一般家庭は、自分で発電所を作れば決して損にならない。そもそも日本ではここで言われるように500円となる事はない。多分、200円以下だろう。となると一般家庭が、現状で原発のために支払っている年間1600円程度の電源開発促進税とそう変わらない支払いで済む。本当はこれを振り向ければ問題はないことになる訳だ。

 最近、電力会社がやると言うメガソーラーは家庭用よりもずっと設備費が高く。ここで高額の負担の心配をするなら電力会社が取り組まないでたくさん電気を使うところに積極的に取り組む責任があると言うべきだろうし、家庭用などのコスト面でも競争力のあるところに入れていって、パネルの価格などが安くなってから大規模なものを展開することを勧めるべきだろう。

 太陽光発電に関係ない家庭にとって、少ない額ではあるまい。こうした負担を受け入れるべきか。日本で売電単価を見直す場合、国民的な議論が必要になろう。原子力に金を掛けるか、自然エネルギーに金を掛けるか……。確かに国民的な議論が必要だ。

 原子力に関係ない訳ではないということなら太陽光発電にも関係ない訳ではない。個人の屋根にあってもそれは小さくてもちゃんとすべての電力を使う人の電力を生産しているのだという認識がなされるべきだろう。


巨大電力をソーラー(太陽熱・光電池)発電で賄う決定をしたカリフォルニア州の電力会社


出典:http://news.livedoor.com/article/detail/3795969/
http://mediasabor.jp/2008/08/post_467.html 
北カリフォルニアをカバーする電力会社のパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)は、光電池で発電した800メガワットの電力を同地区の2つの会社から購入する計画を発表した。この全米初となる電力会社による光電池プロジェクトで、23万9000件の住宅に電力供給が行われることになる。PG&Eでは、550メガワットの電力をヘイワード市にあるオプティソーラーから購入する。オプティ社は、サンフランシスコとロサンゼルスの中間地帯にあるサンルイス・オビスポ郡内の9.5スクエアマイルに渡って、薄いソーラーパネルを敷き詰める計画。残りの250メガワットは、サンパワー・コープから購入する予定。サンパワー社はソーラーパワー産業をリードする企業でサンノゼ市に本社を置く。同じくサンルイス・オビスポ郡内の3.5スクエアマイルにソーラーパネルを設置する。電力の専門家は、この計画が再生可能なエネルギー産業のイメージを変える可能性があると指摘する。光電池が住宅やオフィスビルの屋根だけでなく、広く、集中型として手頃に電力を生産できることを示すことによってだ。カリフォルニア州立大学バークレー校にある再生可能なエネルギー研究所でディレクターを務めるダニエル・カムメン氏は、「この計画のスケールは、しばらく前に話されていたのと比べて10倍大きい」と話す。また、別の専門家は「恐らく今後、大規模な太陽光発電が増えていき、カリフォルニア州と米国西部での電力源の一部となるだろう」と予測する。カリフォルニア州の電力会社は、2010年までに電力の20%を再生可能なエネルギーにすることを州から命じられている。太陽光、風力、地熱発電などだ。しかし、現在のところゴールには程遠い。2007年にはPG&Eが11.4%、南カリフォルニア・エジゾンは15.7%、サンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリックは5.2%にとどまっている
(解説)
 カリフォルニア州の電力会社で、再生可能なエネルギーの利用が急ピッチで進んでいる。PG&Eの全体の発電量に占める太陽光発電の割合は1%に満たなかった。それがここに来て供給契約が相次ぎ、今回の800メガワットに上るビッグプロジェクトを含めると、2013年までに24%が再生可能なエネルギーに取って代わるという。同社の資料によると、今回の2社以外に6社がすでに決定。光電池を使った太陽光発電では、クリーンテック・アメリカから5メガワット、グリーン・ボルツから2メガワットの供給を受ける契約が交わされている。そして、光電池よりも大きな規模で発電が予定されているのが「ソーラーサーマル」だ。太陽熱発電とも訳されるこの方式は、従来の光電池発電とは違う。広大な敷地に敷き詰めた鏡に太陽光を反射させ、一点に集める。その熱で高温に加熱した流体をパイプで循環させて水を沸騰、水蒸気でタービンを回して発電を行う。太陽光が必要なソーラーパネルと違い、流体が冷えない限り発電を続けられる利点がある。PG&Eでは4社とすでにソーラーサーマルによる電力契約を結び、2011年から供給が始まる予定。それぞれ規模が大きく、100メガワットから900メガワットの間で電力の供給を受け、全体では1500メガワットを超える。ソーラーサーマルはコストの点でも優れている。電力会社が大規模な光電池を使う場合、キロワット・アワーあたり40セントのコストが必要といわれる。天然ガスの10セント、風力の12セントと比べても割高だ。だが、ソーラーサー
マルでは18セントとかなり割安となる。 ちなみに今回の光電池発電のコストは明らかにされていないが、オプティ社とサンパワー社によると、スケールメリット、技術アドバンテージ、生産の効率化などによって従来のプロジェクトよりは低コストに抑えられるという。PG&Eでも、電力利用者にコストが跳ね返ることはないと話している。光電池の800メガワット供給プロジェクトは2010年から2013年にかけて動き出す計画。しかし、それまでにクリアすべき問題も残っている。例えば、巨大な発電施設が州政府などから認可を受ける際に環境保護の点で承認されるのか。また、巨額な資金手当ても課題だ。PG&Eでは再生可能なエネルギーに適用される税額控除を前提に契約を交わしているが、制度自体が今年一杯で期限切れとなる。議会のもつれなどで更新作業が進まないようだと、計画の実行自体が危うくなる可能性も残されている。

大日本印刷とグンゼ、フィルム太陽電池を商品化 10年メド


出典:http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080828AT1D190C427082008.html
 大日本印刷とグンゼは色素を使う低コストの新型太陽電池を2010年にも商品化する。光に反応する色素の薄膜をフィルムに塗布した簡素な構造で、大日本印刷は携帯電話やノートパソコンなど電子機器の補助電源向けに出荷する。グンゼは帽子などにつけて発電機能を持たせる用途を想定している。アイシン精機なども同様の技術による電池を開発中で、異業種が低価格タイプで太陽電池市場に参入することで用途開発が進みそうだ。大日本印刷は10年中にもプラスチックシートに色素薄膜を塗りつけた太陽電池を生産、販売する。太陽光を電力に替える能力は3.5%にとどまるが、通常の印刷機で製造できるため設備投資が最低限で済む。ノートパソコンのフタに付けて、補助電源にするなどの利用を想定している。

韓国、エネルギーに太陽光など拡大 初の長期計画


出典:http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008082700118&genre=H1&area=Z10
 【ソウル27日共同】韓国の李明博大統領は27日、大統領府で国家エネルギー委員会を開き、2030年までのエネルギー基本計画をまとめた。地球温暖化や原油高騰に対応し、太陽光・風力など再生可能エネルギーや原子力の比率を大幅に高めるのが柱。大統領府によると、韓国が総合的な長期エネルギー計画を策定したのは初めて。社会や産業構造を省エネ・低炭素型に転換。環境技術産業の育成を経済成長の新たなけん引力にした「低炭素・グリーン成長」実現を目指す李政権の構想を具体化したものだ。同計画によると、すべての産業製品の標準・規格を省エネ型に設定。石油に依存しない新素材開発を支援したり、運輸業界にエネルギー使用量を申告する制度を設けるなどして、エネルギー効率の大幅改善を図る。石油を含む化石エネルギーの比率を現在の83%から30年には61%に縮小。再生可能エネルギーを2・4%から11%に、原子力も14・9%から27・8%に大幅拡大する。

2008年8月27日水曜日

Why electricity is the energy carrier of choice/The (renewable) electron economy, part 6


Our already substantial 120-year investment in an electric infrastructure in industrial countries, makes the transition to a electricity based energy economy less expensive.


http://gristmill.grist.org/story/2008/8/21/124135/768
Posted by Michael Hoexter (Guest Contributor) at 8:08 AM on 22 Aug 2008
There are sound physical reasons why the three main contenders for the energy supply for transport turn out to be the three electron economies: renewables, nuclear, and coal CCS. We have determined there that electric drive vehicles either attached to the grid or powered by some version of a battery can do most of the on-land transport tasks now dependent on oil supplies. There are other reasons why electricity is valuable for driving stationary machinery as well, which we will go into later.

Why then is electricity preferable to biofuels, hydrogen, and coal-to-liquids? In addition to zero emissions at end use, electricity has benefits in efficiency and availability in almost all stages of its production, transmission, and consumption. Electric generators can be built to use a wide variety of types of energy (heat, light, mechanical energy) to create the highly usable and flexible energy carrier, electric current. In other words, electricity is the ultimate in "flex-fuel." All renewable energies (wind, sun, geothermal heat, wave, tidal, biomass, natural chemical, and thermal gradients ) can be converted into electricity with existing technologies. In addition, while we must shift the way we generate electricity in most instances, this is not a full-scale rebuilding of our energy system, but a modification of existing infrastructure -- so in the end, less expensive.


Existing electrical generation technologies convert a fairly large amount of the primary energy they receive into electric energy. Current solar panels, for instance, can convert anywhere from 10 percent to 40 percent of the energy of the sun into electricity, depending on the technology; by contrast, plants convert at most 1 percent of the energy of the sun into biomass, an energy harvest that is further reduced if that biomass is converted into a liquid biofuel rather than burned in a biomass electric generation facility.


Electric motors are so compact that this electric sports car, has a 120kw (163 horsepower) electric motor in each of the hubs of its wheels, each of which weighs 55 lbs; an equivalent internal combustion engine would be several times larger and heavier as well as much more inefficient.

Additionally, electric motors, because of the physics of the electromagnetic force, are incredibly efficient at generating torque, the useful product of engines and motors. An electric motor of medium or larger size (90-95 percent efficient) requires somewhere between one-third and one-quarter the amount of energy to do the same work as an internal combustion engine (20-30 percent efficient). They therefore generate 3 to 4 times more torque per unit energy input than all but the largest and most efficient house-sized diesel ship engines (50 percent efficient).

Electricity can also be used for a huge variety of functions for the end user: generating mechanical movement, heat, light, and sound. So electricity is both flex-fuel and flex-use. It is no wonder that, even with no consideration of current energy and climate concerns, more and more devices have been designed with more electronic components to increase their functionality, including petroleum powered automobiles (electronic fuel injection, stability control, drive by wire, etc.).

Electricity's weakness has been that electrical energy storage is bulky and heavy in comparison to the portable liquid fuels to which it is often compared. Batteries and ultracapacitors are still relatively large and expensive compared to a liquid fuel tank and the hydrocarbons that are pumped into it. As the drawbacks of fossil fuels are starting to be more widely recognized, the positive attributes of alternatives are once again being recognized. Also, substantial investment is once again flowing into resolving this one final hitch in electricity's otherwise near-ideal attributes -- and the technological development curve promises rapid advances.

In the distant future, we may have other energy carriers with more favorable characteristics, but for the foreseeable future it makes the most sense to build on the advantages of electricity.

Next up: the best way to generate electricity.



忍び寄る温暖化の兆候/ナショナル ジオグラフィック・スペシャルシリーズ「21世紀の実像」


見てわかる地球の危機 2008年6月18日発行
(表紙写真=RETO STOCKLI AND DAVID HERRING, NASA GODDARD SPACE FLIGHT CENTER)


出典:http://premium.nikkeibp.co.jp/em/ngs/33/
http://nationalgeographic.jp/nng/index.shtml
文=ジョエル・K・ボーン Jr.
2008年8月25日(月)公開凍らなくなったタール川 祖父の武勇伝をよく聞かされた。私の祖父は信心深い弁護士で、慎重な人物だった。だが1920年代初めの冬、やっと手に入れた「T型フォード」に浮かれたのか、凍結したタール川を車で突っ切ったことがあるらしい。米国でも五大湖あたりの北部だったら驚くような話ではないが、そこはノースカロライナ州東部で、内陸気候の寒冷地というよりは温暖なフロリダ州中部に近かった。だからこの一件は、家族の間では今も語り草になっている。もしそのとき氷が割れていたら、うちの家系は途絶えていたわけだ。今なら祖父も、こんな無茶は、したくてもできないだろう。私が同じ土地で過ごした1970年代には、タール川が凍ったのはせいぜい一度か二度どまり。それも、子どもがそっと投げた石で割れてしまう程度の薄い氷だった。昨年冬の平均気温は、祖父の時代に比べて1℃ほど高かった。これは気候変動の証拠だろうか。「個別の出来事だけでは、なんとも言えません」と、地元の気象学者ライアン・ボイルズは言う。「地球規模の温暖化は、地域にそのまま反映されるとは限りません。それに局地的な気候は、地球全体の傾向よりも大きな変動を示しがちですから」気候変動のこうした性質がわざわいして、熱波や寒波、ハリケーンといった出来事は注目を集めても、長期的な変化は見過ごされてしまう。頭の固い政治家たちが、気候変動そのものの信憑性を疑ったり、ましてそれが人間のせいだと信じようとしたりしないのは、このためだ。しかし、気候変動の兆候はいたるところで見つかっている。蝶の羽ばたきのようにかすかなものもあれば、記録破りの洪水や干ばつのような大惨事もある。

温暖化で上昇した海面が沿岸の町や村に迫る。米フロリダ州南部のリゾート地では、今後、侵食を防ぐ護岸の設置や海岸の修復事業に多額の投資を余儀なくされるだろう。一方、世界各地の沿岸部に暮らす多くの住民にそんな経済的ゆとりはなく、迫りくる海に追われて内陸の高台に避難するしかない。 写真=ピーター・エシック (c)2008 National Geographic
地球上で影響の及ばないところはない 温暖化を真っ先に感じとるのは、動物や植物だ。春の訪れ、氷の張り始め、氷点下になる日数といった自然界の指標は、彼らの生存に欠かせない大切なシグナルとなっている。「この地球上で、影響の及ばないところなどありません」と、生物界への気候変動の影響を調べてきた生物学者のカミール・パーメザンは言う。「10年前の時点で最悪の影響が予想された極地や高山では、すでに生物種の減少や絶滅が起きています」生き残った種も、変化のまっただなかにある。パーメザンたちの分析では、動植物の40%は生息に適した環境を求めて、高緯度地帯や高地へ移動していた。また60%近い種で、繁殖や開花、渡りの時期に変化がみられた。たとえば北米西部に広く分布していた色鮮やかな蝶(ヒョウモンモドキの一種)は、過去100年の間に、平均気温の上昇と歩調を合わせるように北上し、あるいは高地へ移動した。かつての生息域メキシコでは現在はほとんど姿を見ないが、北限のカナダでは大いに繁栄している。蝶には飛んでいく先があっても、寒さに適応した生物たちには行き場がない。やせ細ったホッキョクグマの姿は、北極の気候変動を象徴する光景としてしばしば登場するし、南極では海氷の変化でペンギンの数が減っている。パーメザンは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第3次評価報告書を2001年に作成した主要メンバーの一人だが、当時より事態は深刻化しているという。「しかも、まだ温暖化はそれほど進んでもいないのです。今すぐに対策を徹底し、生態系の崩壊を食いとめなければなりません」温暖化で繁栄している生物もいるが、残念ながら、ホッキョクグマやペンギンのような人気者ではない。体長約3mmのくせに大食いのアメリカマツキクイムシにとって、今はわが世の春だ。夏の気温が上がって、1年に2世代が繁殖するようになったうえに、最近の北米は冬でもまずマイナス40℃以下にならず、親子ともども越冬してしまう。そのため、米西部からカナダでこの虫が爆発的に増殖し、数万km2の林を枯らした。この勢いでキクイムシが増え続けると、カナダのブリティッシュコロンビア州では、木材生産の主力であるロッジポールマツの成木の80%が5年以内にやられてしまうだろうと、カナダの森林管理官たちは予想する。二酸化炭素濃度の上昇に伴うもう一つの脅威 温暖化の影響が一番はっきり表れるのは海岸だ。海表面の平均温度の上昇は、平均気温の上昇よりもゆっくりとしたペースで進むが、海水は温まれば膨張する。この熱膨張と解けた氷河からの流入が、20世紀初頭から、じわじわと海面を上昇させてきた。今は10年間に3cmほどの上昇率だ。もう一つ、目に見えにくいが長期的には心配な、海洋の変化がある。大気中の二酸化炭素濃度は現在およそ385ppm。化石燃料の燃焼によって、過去数十万年間で最も高くなっている。この二酸化炭素が海水に溶けこむことで、海が酸性化しているのだ。二酸化炭素が水に溶けると炭酸になる。ソーダ水は歯を溶かすが、同じことが海で起きるかもしれない。「pH(水素イオン濃度を示す指数)でみると、ごくわずかな値の変化に思えるかもしれませんが、これはたいへんな事態です」と、世界のサンゴ礁を研究している米国のメーン大学教授ボブ・ステネックは言う。海洋の酸性化が、海の生命にとって脅威と考えられるようになったのは最近のことだ。サンゴ礁や海の生物の骨格や殻をつくるのに必要な炭酸イオンが、酸性化によって奪われてしまうのだという。「酸性化がこのまま進めば、サンゴはどうにも生き残れません」ステネックら17人のサンゴ礁研究者たちは、幅広い調査から、この差し迫った結論に達し、米科学誌「サイエンス」の2007年12月号に発表した。酸性化の影響がまだそれほどひどくないとしても、白化現象はすでに広がっている。海水温が高くなると、サンゴの体内に共生している藻類が失われる現象だ。1997年~1998年には世界のサンゴの16%が白化現象で死滅した。海洋汚染、爆薬や毒を使う破壊的漁法が原因の死滅も合わせると、世界のサンゴ礁の20%以上が回復不能な被害を受けたと推定されている。サンゴ礁は海洋生態系の要であり、サンゴ礁が崩壊すれば、アジアで10億人以上の食を支えている漁業も連鎖的に大打撃を受けることになる。サンゴ礁の経済価値は高く、なかでも食料、観光、沿岸の洪水防止効果の価値を見積もると300億ドルに達すると言われる。以上の記事は日経ナショナル ジオグラフィック社が発行する「見てわかる地球の危機」からの抜粋です。「見てわかる地球の危機」についての詳しい情報をお知りになりたい方はこちら