出典:http://nls.kankyo-business.jp/ c/awbjahyRgaq5hvad
2012年12月 6日掲載
シャープは、3つの光吸収層を積み重ねた化合物3接合型太陽電池セルで、世界最高の非集光時セル変換効率となる37.7%を達成した。
今回新たに、受光面の総面積に対する有効受光面積の比率を増やすことで、太陽電池の最大出力を向上させ、変換効率を高めることに成功した。
化合物太陽電池セルとは、インジウムやガリウムなど、2種類以上の元素からなる化合物を材料とした光吸収層を持つ変換効率の高い太陽電池のことをいう。
今回、開発した太陽電池セルは、インジウムガリウムヒ素をボトム層として、3つの層を効率よく積み上げて製造する独自の技術を採用した。この3つの光吸収層で、太陽光の波長に合わせて効率よく光を吸収し電気に変換することに加え、光吸収層の周辺部を最適処理することにより光を電気に変換する面積比を増やした。
本件は、NEDOの「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトの一環として開発に取り組んだ結果、産業技術総合研究所(AIST)において、世界最高変換効率を更新する測定結果が確認されたもの。
本プロジェクトでは、新材料・新規構造等を利用して太陽光発電の「モジュール変換効率40%超」かつ「発電コスト7円/kWh」を達成するための探索研究を行い、2030年以降の実用化を目指している。NEDOは、本成果によって、本プロジェクトの目標達成時期が前倒しされ、超高効率太陽電池の早期実用化が期待されるとしている。
シャープは、2009年より本プロジェクトの一環として、化合物太陽電池の開発を進めており、化合物3接合型太陽電池セルで2009年には変換効率35.8%を、2011年には変換効率36.9%を達成している。同社では、今回の開発成果を活かし、今後、レンズで集光した太陽光を電気に変換する集光型発電システム用や人工衛星などの宇宙用、移動体用などの様々な用途での実用化を目指していく計画だ。
現在、導入されている太陽電池の約80%を占めるシリコン結晶の太陽電池は、市販製品で最高20%程度の変換効率を有している。太陽光発電を更に普及させていくためには、狭い面積でも十分な発電量が得られるように、変換効率を向上させていくことがポイントとなる。
【参考】