出典:http://www.semicon-news.co.jp/news/htm/sn1824-j.htm
ここ数年、高成長を謳歌してきた太陽電池市場に暗雲が垂れ込めている。
100年に一度と言われる世界的な金融危機や大不況が暗い影を落とし始めてお
り、需要が減退しているのだ。太陽電池世界市場で首位を走る独Qセルズが需
要減を受けて業績見通しを下方修正したほか、工場稼働率の大幅下落という
話も伝わっている。これまで、太陽電池市場は今後5~10年は安泰と言われて
きたが、その成長神話にも陰りが見え始めている。
2008年末、Qセルズは、金融危機に端を発した需要減退を受け、業績見通し
の下方修正を発表した。具体的には、08年度の売上高見通しを当初見通しの
13億5000万ユーロから12億2500万ユーロに、生産量見通しを当初の585MWpから
570MWpに修正している。09年についても需要減退が続くと見ており、同年の生
産量を当初計画の1GWpから800MWp~1GWpに、また売上高見込みも当初見通しの
22億5000万ユーロから17億5000万ユーロ~22億5000万ユーロに下方修正してい
る。
また、これまで成長著しかった中国の大手セルメーカーからは、製造ライン
の稼働率が大きく低下しているという話が伝わってきている。これも上記のQ
セルズと同様、不況の影響で需要が低下していることが原因であるが、中には
工場の稼働率が3割程度にまで下落している大手メーカーも出てきているとい
う。
このような状況は、金融危機や不況が大きな原因だと考えられるが、08年夏
以降の原油価格の大幅下落も原因のひとつに挙げなくてはならない。原油価格
下落により、価格競争力という点ではまだまだ石油に比べて不利な再生可能エ
ネルギー導入の機運が減退する傾向が出てきている。
ただし、このような状況はあくまで一時的なものであり、中長期的な視点か
らみれば太陽電池の成長基調は揺るぎないと見られる。太陽電池など再生可能
エネルギーを導入しようという機運は、不況脱出とともにさらなる盛り上がり
を見せると予測される。今後特に期待されるのが、米国のオバマ次期大統領が
打ち出した「グリーン・ニューディール」政策だ。この中にはクリーンエネル
ギー分野に1500億ドルもの資金を投じるという政策が含まれており、これが太
陽電池需要を強力に後押しするものと期待されている。日本でも補助金制度を
復活させるなど、太陽電池の普及拡大に向けた施策を打ち出している。
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