2009年4月24日金曜日

日本版FIT始動へ 太陽電池普及の起爆剤、2030年に導入量55倍


出典:http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=141471&dt=2009-02-19
太陽光発電の普及に向けて、発電した電力を電力会社が比較的高い価格で買
い取る「固定価格買い取り制度」が必要であるとの調査結果を、このほど環
境省の検討会がまとめた。この制度が実現すれば、2030年までに太陽光発電
の導入量を現状比55倍にまで増やすことも可能だという。わが国における従
来の地球温暖化対策では、30年までに同40倍へ引き上げることを目標に掲げ
ていたが、検討会の数字はそれをはるかに上回ることになった。
太陽光発電による電力を一般電力よりも高い価格で買い取る制度は「フィー
ド・イン・タリフ(FIT)」と呼ばれ、ドイツを皮切りに世界各国で導入
が始まっている。もともと太陽電池大国だった日本が導入量でドイツに水を
あけられてしまったのもFITの有無が原因といわれ、海外での市場拡大に
伴って外国メーカーが台頭し、国内メーカーの存在感は薄まってしまった。

 雇用創出にも一役
こういった経緯からも、今回の“日本版FIT”導入機運の高まりは、国内
メーカーにとって失地回復の格好のチャンス。17日には、斉藤鉄夫環境相も
「(固定価格買い取り制度を)ぜひ実現したい」と意欲を見せている。景気
減速が鮮明になり“派遣切り”および“正社員切り”が横行する中にあって、
太陽電池産業の振興は雇用創出という重大な役割も併せ持つため、政府の追
加経済対策としても重要な位置を占めており、一刻も早い制度化が待たれよ
う。
本格普及を見越すように、太陽電池業界では技術革新が着々と進んでいる。
例えば、富士フイルムHD(4901)は17日、ガラスや金属に変わる次世代の
高機能フィルム「超ハイバリア性透明フィルム」を開発したと発表。薄型化
や軽量化が求められる太陽電池分野などでの用途を見込み、量産化のめども
ついているという。
また、新日本石油(5001)も東京大学先端科学技術研究センターとこのほど、
新しい共同研究拠点を開設。発電効率40%で火力発電並みのコストを目標と
した超高効率太陽電池の実用化を急ぐ。
もちろん、太陽電池メーカーの代表格としてシャープ(6753)、三洋電機
(6764)、京セラ(6971)、三菱電機(6503)は外せない。また、需給がひ
っ迫するシリコンを使わないCIGS型太陽電池を手掛けている企業として、
昭和シェル石油(5002)、ホンダ(7267)も依然、注目を集めている。
さらに部材メーカーでは、カバーガラスやTCO膜ガラスの旭硝子(5201)、
日本板硝子(5202)、バックシートのリンテック(7966)、大日本印刷
(7912)などがあり、関連銘柄は実に多く、しっかりチェックしておきたい。

太陽電池関連企業の最近の主な動き
三洋電機(6764) HIT太陽電池セルの生産能力増強のため、大阪・浜工場
内で新棟建設に着手。完成は2009年10月を予定

新日本石油(5001) 三洋電機と薄膜太陽電池の合弁会社「三洋ENEOSソーラ
ー」設立。東京大学先端研と新たな共同研究拠点を開設

富士フイルム(4901) 薄膜太陽電池などのガラスに代替され得る高機能フ
ィルム「超ハイバリア性透明フィルム」を開発

大日本印刷(7912) 福島・泉崎工場内で太陽電池用バックシートと充填材を
製造する新工場が稼働。今夏までに生産能力を従来比3倍へ

カネカ(4118) 10年夏をめどに、薄膜系太陽電池の生産能力を80メガワット
(MW)増強し、150MWとすることを決定

シャープ(6753) イタリア最大の電力会社、エネル社と09年春をめどに合弁
会社を設立。12年末までに合計189MWとなる複数の太陽光発電所を展開

旭硝子(5201)  太陽電池用フィルムの事業化を加速



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