出典:http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news004147.html
2008年の世相を映す「今年の漢字」に「変」が選ばれた。変は俗字で元の字
は「變」。会意文字で上半分が「続く」、下半分が「打つ」を意味し、連続す
る物事を断ち切って別の物事に「変える」という字義を持つ。「普通でない」
「突然起こった現象」「便宜的な手法」などを指すときにも使う。
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選出理由の1つは「政治の変」。日本の首相が交代し、次期米国大統領が「変
革」を訴えて当選したからだが、麻生太郎首相は国語力まで「変」だった。相
次ぐ産地偽装で食の安全性が揺らぎ、物価も上昇して「生活の変」が進行した。
激震をもたらしたのが資源価格の乱高下や株価急落、円高・ドル安で景況感
を一変させた「経済の変」。企業は一斉に非正規社員削減と設備投資抑制に走
り、中部圏の自動車産業は急ブレーキを踏んでギアをバックに入れそうな情勢
だ。
だが、大阪湾岸で整備が進む薄型テレビと太陽電池の産業集積「パネルベイ」
は歩みを止めていない。関西経済連合会の下妻博会長は8日の記者会見で「パナ
ソニックもシャープもベイエリアの工場建設は遅らせないと言っている」と述
べ、関西経済は冬ごもり一色ではないと指摘した。薄型テレビ市況は厳しいが、
韓国サムスン電子や台湾の友達光電(AUO)が世界最大の「第11世代」と呼
ぶ液晶パネル工場の計画を明らかにしており、パナソニック、シャープとも後
には引けない事情がある。
シャープは堺市に加え、イタリアでも合弁で太陽電池工場を新設する。京セ
ラは滋賀県野洲市に400億円前後を投じて太陽電池の新工場を建設する。09年
2月に着工し、10年春に生産を開始する。三洋電機は10年度までに年産能力を
08年度比で約2倍の60万キロワットに増強する。
カネカは3年後を目標に変換効率を従来の13.5%から15%に高める製品を大
阪大学と共同開発中だ。三菱電機は11年度までに太陽電池生産能力を今秋時点
に比べて約3倍の60万キロワットに増産し、最終組み立て工程を持つ京都工場
(京都府長岡京市)の設備を増強する。太陽電池の国内5強であるシャープ、
京セラ、三洋電機、三菱電機、カネカがいずれも関西で事業を積極展開する。
パナソニックの大坪文雄社長が19日の記者会見で、三洋電機買収の利点とし
て真っ先に挙げたのが燃料電池・太陽電池・2次電池事業の相乗効果。経済産
業省が“電池3兄弟”と呼ぶこれら3種類のデバイスを一括供給できる唯一の
存在がパナソニック・三洋連合だ。将来性を確信する大坪社長は環境エネルギ
ー事業を「5つ目の戦略事業」と定義し、攻めを貫く。
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パネルベイの道のりは平たんではないが薄型テレビ、環境エネルギーとも勢
いを残す。各地の経済情勢とはひと味違う「関西経済の変」も存在するのだ。
「易経」には「窮まれば則ち(すなわち)変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれ
ば則ち久し」とある。行き詰まれば変化が生じ、変化すれば通じる道が生じる。
通じる道ができれば永遠に続くという意味だ。09年はかくありたい。
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