2009年2月4日水曜日

東北大学などが直流給電のデモを公開,液晶テレビやLEDイルミネーションを駆動


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081227/163410/
図1 公開デモを実施
 東北大学大学院 環境科学研究科は,NECトーキンや住友商事,積水ハウスな
どとともに,太陽電池で発電した直流の電力をLiイオン2次電池に直接蓄電し,
その蓄電した電力を直流のまま家電に給電する実証試験の公開デモを2008年
12月26日に実施した(図1,関連記事)。液晶テレビや室内用LEDイルミネ
ーションに対して,すべて直流のまま電力を供給するデモを見ることができる。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081217/162999/
 今回のデモでは,太陽電池で発電した電力を2個のLiイオン2次電池ユニット
にそれぞれ別系統で蓄電しつつ,機器側に直流を供給するシステムを2組用意
した(図2)。そのため,合計4系統で直流電力を供給できる(図3,4)。
 太陽電池は6枚のパネルを1ユニットとし,12枚のパネルを設置した(図5)。
1ユニット当たりの仕様は最大出力270W,電圧36~45Vである。Liイオン
2次電池ユニットは電力容量120W,電圧は28Vのものを4個使っている。同
電池はNECトーキン製で電動アシスト付き自転車に搭載されている市販品で
ある。
 太陽電池で発電した直流電力は電圧が36V~45Vであるため,DC-DCコン
バータで降圧し,28VのLiイオン2次電池に供給する(図6)。Liイオン2次
電池からはそのままの電圧で供給するユニットが二つ,機器側の仕様に合わ
せて24Vと12Vで供給するユニットがそれぞれ一つずつある。
 今回のデモでは,液晶テレビ,DVDプレーヤー,室内用LEDイルミネーシ
ョン,屋外用LEDイルミネーションの4種類の機器を用意した。このうち,
液晶テレビとDVDプレーヤーについては12Vで給電するユニットを利用した
(図7)。液晶テレビはもともとACアダプタで電力変換する機種であったた
め,ACアダプタを介さずに12Vの直流をそのまま給電している(図8)。た
だ,DVDプレーヤーはAC?DC変換を機器内で行っているため,今回は12Vの
直流を市販の車載用DC-AC変換器で交流に変換して供給した。12Vで給電す
るユニットの負荷電力はおよそ70W。液晶テレビの消費電力が45W,DVDプ
レーヤーが25Wほどである。
 一方,室内用LEDイルミネーションは24Vで給電するユニットから直接給
電している(図9)。室内用LEDイルミネーションは200個強のLEDを備える
が,消費電力は18W程度である。
 屋外用イルミネーションについては,Liイオン2次電池からの電力をそのま
ま利用するユニットを2個用いた。屋外用イルミネーションは,ユニットから
100mほど離れたところにあるため,今回はDVDプレーヤーと同じく市販の
AC-DC変換器で100Vの交流にして給電している(図10)。低電圧の直流で
供給した場合の負荷損失が大きいことと,屋外に配線するのにケーブルの信
頼性に不安があったため,市販の屋外用ケーブルを使ったとしている。
 東北大学大学院 環境科学研究科では,今回のようなシステムを構築するこ
とで,電力変換の回数を減らせることと,曇り空などで微弱な電力しか発電
しない場合でもLiイオン2次電池に少しずつでも蓄電できることから,系統
電力に逆潮流させる現状の家庭用太陽電池システムに比べて省エネ効果が高
いとみている。
 今回の実証試験は,環境省の地球温暖化対策技術開発事業「微弱エネルギ
ー蓄電型エコハウスに関する省エネ技術開発」プロジェクトの一環として進
めているもの。同プロジェクトでは今後,微弱なエネルギーを回収するLiイ
オン電池ユニットを開発し,直流給電と組み合わせた実験講義棟を2010年
3月に完成させる予定である。

図2 1系統は2枚の制御盤とLiイオン2次電池で構成。
 左の制御盤が充電用,右が出力用。
 出力用制御盤の下にあるのがLiイオン2次電池
図3 公開デモのシステム構成図
図4 4系統で電力供給が可能
図5 屋外に設置した太陽電池パネル
図6 充電用制御盤
図7 液晶テレビとDVDプレーヤー
図8 液晶テレビには12Vの直流を直接供給
図9 室内用LEDイルミネーション
図10 今回のデモでは屋外用イルミネーションには交流に変換して電力を供給



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