出典:http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2009011202000092.html
太陽光を電気に変えて家庭の電力を賄う太陽光発電。電気代が節約できる上、
二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質が発生せず環境への負荷が少ない。設置
費用は高額だが、二〇〇五年度で打ち切られた国の補助金が本年度から復活し、
普及に弾みがつきそうだ。
愛知県犬山市の会社役員金井哲彦さん(56)は五年前に自宅を建て替えた
時に、IHクッキングヒーターと空気の熱でお湯を沸かす給湯器を備えた「オ
ール電化」にし、併せて太陽電池容量出力三・五キロワットの太陽光発電シス
テムを設置した。それまでは毎月平均の電気代が約一万五千円、さらにガス代
が約三千円かかっていたが、電気代の実質負担が平均六千円程度に減った。消
費を上回る電力を電力会社に売ることができるため、その分負担が軽くなるか
らだ。
使用中の発電量や電気の消費量、CO2排出削減量などを示す装置も役に立
っているという。金井さんは「実際に電気代が減っただけでなく、小まめに電
気を消すようになったりと節約の意識も高まった」と話す。
◇
太陽光発電システムのメリットは光熱費を抑えられること。太陽電池メーカ
ーなどでつくる太陽光発電協会によると、東京の住宅で太陽電池容量三キロワ
ットのシステムを設置すると、年間発電量は約三千キロワット時になり、家庭
の年間消費電力の約55%を賄えるという。ただし、地域や屋根の傾斜で発電
量は変わってくる。
三菱電機の東京での試算では、太陽光発電により光熱費が四割減り、オール
電化も加えると、七割減となった。
無限にあるエネルギーが利用でき、発電時にCO2や大気汚染物質を発生せ
ず、環境にやさしい側面も大きい。新エネルギー・産業技術総合開発機構によ
ると、三キロワットのシステムの導入により、火力発電の電気を使った場合と
比較すると、CO2の年間排出量を五百四十キロ、石油の消費量を七百三十リ
ットル削減できるという。
課題の設置費用は、国が補助金制度を設け普及が始まった一九九四年ごろに
比べ、費用は三分の一に下がったが、それでも住宅用として一般的な三キロワ
ットのシステムで約二百万円。
そんな中、政府は昨年七月に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」で
▽太陽光発電の導入量を二〇二〇年に現在の十倍、三〇年に四十倍とする▽三
~五年後にはシステムの価格を現在の半額程度に下げる?などの目標を示し、
補助金制度が復活。今年度、太陽光発電システムの新設約三万五千件に一キロ
ワット当たり七万円を補助することになった。二〇〇九年度予算案でも二百一
億円を計上し、補助を継続する。
一方、業界も屋根と一体型の太陽光発電の開発や製品の安全性の認証制度な
ど普及に向けた動きを活発化させている。
導入時の注意点は何か。太陽光発電協会の岩下金次さんは「複数の会社から
見積もりを取ること」と強調。各地の消費生活センターには、主に訪問販売や
電話勧誘による太陽光発電の苦情や相談が毎年千件以上あり、「電気代がただ
になると勧誘された」といった苦情もあった。契約にあたっては慎重さが求め
られる。定期的な保守点検も必要なので「信用のある業者を選んで」と岩下さ
ん。見積もりの際は発電量を試算してもらうといい。
◇
今年度の国の補助金は太陽光発電協会が開設した太陽光発電普及拡大センタ
ー(千葉市)が十三日から募集を始める。各都道府県の窓口は同センター=電
043・239・6200=のホームページで紹介。また、新エネルギー財団
によると本年度、三百九の自治体が補助または融資などの支援を実施している。
<住宅用太陽光発電> 太陽の光エネルギーを太陽電池で電気に変え、発生し
た直流電力をパワーコンディショナーで交流電力に変換し、家電製品などに供
給する仕組み。発電量が電力消費量を上回るときは電力会社に売り、下回る場
合は逆に買うことになる。住宅用は2007年末で約40万戸で太陽光発電全
体の8割を占める。
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