2008年6月4日水曜日

B・ピカールさん=太陽電池飛行機で世界一周目指す

http://mainichi.jp/select/opinion/hito/news/20080604k0000m070153000c.html 人類初飛行に成功したライト兄弟から、大西洋横断のリンドバーグを経て巨大航空機まで、空翔(か)ける夢を追い続ける人間。その冒険史に新たな一章が書き加えられようとしている。化石燃料を使わず、太陽電池だけで世界一周する試みだ。 計画「ソーラー・インパルス」(太陽衝撃波)に取りかかったのは03年。イカロスの翼を溶かした太陽のエネルギーを無公害飛行に使う。発信するのは「石油への依存から脱却しよう」というメッセージだ。 水素気球で成層圏に達した祖父のオーギュスト氏と、マリアナ海溝で潜水記録を打ち立てた父ジャック氏から「新しい扉を開くこと」を学んだ。99年、熱気球による無着陸世界一周に成功した。引き締まった体に冒険家一家の血が流れる。 飛行機は1人乗りで翼幅80メートル、重さ2トン。スイスを拠点に数十人のチームがやや小ぶりの試作機を製作中だ。来年初めの試験飛行を経て本飛行に進み、3年後に世界一周を目指す。 「再生可能エネルギーを活用するよう政界、産業界の背中を押さなければ」。地球温暖化防止に熱心な欧州連合(EU)の行政府・欧州委員会の後援を取り付けた。「難しいのは人々のエネルギー消費の考え方を変えること。現状維持は牢獄(ろうごく)に入っているのと一緒だ」。冒険家の目に力がこもる。
【略歴】ベルトラン・ピカールさん(50) スイス・ローザンヌ生まれ。精神科医、飛行士、講演家として活躍。著書に「20日間世界一周」など。


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