2008年6月9日月曜日

米陸軍の主任科学者:地球温暖化の原因は「太陽」

http://wiredvision.jp/news/200806/2008060623.html
2008年6月 6日Noah Shachtman
米陸軍が、気候変動は人間に起因するものではないという主張をかかげて、地球温暖化をめぐる論争に加わった。米陸軍研究局のBruce West博士は、「地球表面の平均温度の変化に直接関係しているのは……短期的な太陽放射の統計的変動と、より長期的な太陽の活動周期だ」と主張している。『地球温暖化:フィクションの真実』(Global Warming: Fact of Fiction [原文ママ])という題されたブロガー向けの懇談会の一環として、West博士を交えた電話会議が、陸軍の広報担当者によって催された。この会議のテーマは「地球温暖化の原因および地球温暖化が、一部の科学者やメディアがたびたび示唆している原因によって生じているのではないとも考えられる理由」というものだ。陸軍研究局で数学および情報科学局の主任科学者を務めるWest博士は、『Physics Today』誌の2008年3月号に、「太陽の不安定な変動」が地球の複雑な生態系に関連していると書いている。こうした地球と太陽の関係性が、地球温度を上昇させる要因だというのだ。West博士は、「太陽は、地球の平均気温上昇の原因の実に69%を占めている可能性がある」と指摘している(PDFファイル)。こうしたWest博士の主張は、地球上に存在するほぼすべての主要科学機関と対立するものだ。『Science』誌のまとめによると、米国気象学会、米国地球物理学連合、米国科学振興協会の3団体すべてが、この数年の間に気温変動の原因は人類だとする証拠には妥当性があると結論付けた声明を出しているという。また、国連の『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)も同じ立場をとっている。IPCCは、地球温暖化への取り組みを評価され、前米副大統領のAl Gore氏とともに2007年のノーベル平和賞を受賞した政府間機構だ。West博士も、IPCCなどの科学団体が「地球温暖化に対する太陽活動の変動の影響はごくわずかだと結論付けた」ことは認めている。そのうえで、これらの団体は太陽の影響に関するモデリングを十分に行なっておらず、そのため「地球温暖化に対する人為的影響」を「著しく過大評価した」と主張している。最近になって、科学的にも政治的にも、気候変動がふたたび注目を集めはじめている。先日も米航空宇宙局(NASA)の監査官が報告書を公表し、NASAの広報局に所属する政治任用者たちが、「一般市民に公開する気候変動に関する科学情報に介入し、その内容に制限をつけ、歪め、周辺的なものになるようにした」[2004年から2006年の間、NASA広報局が、NASAの一部のプレスリリースを公開させないようにし、報道機関と研究者の接触も制限させていた]ことを認めた。さらに米上院は6月2日(米国時間)、二酸化炭素排出量(人為的な地球温暖化の主要原因の1つと考えられている)を制限する法案の審議を開始した。
更新情報:陸軍の広報担当Lindy Dinklage氏が、ワイアードニュースのブログ『Danger Room』に対し、以下のように伝えてきた。「陸軍は地球温暖化について、特定の立場をとるものではない。West博士は陸軍の主任科学者であり、地球温暖化の原因について、代替となる理論の1つを示している。この研究は、陸軍に所属する科学者が世界中で実施している多数の研究の一部にすぎない」陸軍の見解はわかった。だが、陸軍の広報局は、他に多数ある研究を選択せずこの研究だけをわざわざ選んで、広く知らしめようとしている。そして広報局は、この科学者の個人的な見解であるという説明なしに「陸軍の主任科学者」の研究結果を公表したのだから、これを陸軍公認の見解と考えるのは妥当だと私は思う[原文記事には、懇談会の開催を紹介する電子メールの内容が添付されている]。
[「地球温暖化の原因は太陽の活動」説とそれをめぐる議論について紹介した他の過去記事はこちら(日本語版記事)]
[日本語版:ガリレオ-天野美保/長谷 睦]WIRED NEWS 原文(English)


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