http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20080602-OYT8T00844.htm
(長崎市の長崎大で)
長崎大環境科学部の下町多佳志准教授(49)(生物環境工学)が、反射板で集めた太陽光を利用して川や池などの水を滅菌できる装置を開発し、特許を出願した。ポンプなどの動力は不要で、下町准教授は「安全な水の確保が難しいアフリカやアジアの国で実験を行い、実用性を示していきたい」と話す。既に浄水装置の製造販売会社など複数の企業から商品化の申し込みがきているという。 シュシュ、ゴポゴポ。反射板の光が、集熱器と呼ばれる装置内の水を沸騰させ、滅菌されたきれいな水がチューブを伝って流れ出てくる。長崎市文教町の同大キャンパスで4月上旬に行われた実験では、薄曇りながら5分間で約100ミリ・リットルを処理できた。 滅菌の仕組みはこうだ。反射板で集めた太陽光を黄銅製の集熱器に照射。未処理水は、熱によって滅菌されて水蒸気になった後、未処理水をためた凝縮器を通って冷やされ、水になる。水蒸気が水に戻る際、集熱器内は急激に気圧が下がって未処理水が流れ込み、沸騰、凝縮を繰り返す。 下町准教授は、「細菌が繁殖した水を飲んで多くの人が感染症で亡くなっている。ふんだんにある日差しを利用して滅菌できれば」と開発に着手し、2004年に装置を考案。簡単に使えるようにシンプルな構造を心がけ、改良を加えてきた。太陽光の熱を使って水を蒸発させる滅菌装置は従来からあるが、水を循環させるポンプなどの動力が必要なため、電気や燃料を簡単に確保できない途上国では活用しにくいという難点があった。 商品化を申し入れている長崎市内の浄水関連会社の幹部は「安価で動力も必要なく、どんな場所でもすぐに使える。商品になれば高い需要が見込まれるのは間違いない」と期待する。 「日差しが強ければ、45分間で2リットルの処理が可能」と下町准教授。太陽が出ていない場合でも、たき火などで装置は動くという。 昨年10月、長崎市大橋町の浦上川で採取した水で実験したところ、大腸菌は完全に死滅。厚労省が水道水の水質管理目標に定めた従属栄養細菌も、同省の目標値の100分の1にまで減らすことに成功した。 大学の研究成果を民間企業に売り込んでいる長崎TLO(長崎市)の特許流通アドバイザー二見博さん(44)は「企業との協力により商品化は十分に可能」と太鼓判を押している。
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