2008年6月16日月曜日

【エネルギー】アメリカの砂漠を太陽熱発電所に!


スーザン・モーラン(Suzan Moran)
J・トーマス・マッキノン(J・Thomas McKinnon)
http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/worldwatchreport08061501.htm 
集光型太陽熱発電(CSP:Concentrating Solar Power)とも呼ばれる太陽熱技術は、無数に配列された鏡で太陽光を集め、従来型のタービン発電機を回す蒸気をつくる。一方、主に屋根の上で使われる太陽光発電システムは、半導体を利用して太陽の光子エネルギーで電子流を発生させる。CSPはエアコンなど日中の需要を満たす「ピーク電力」を供給するが、蓄熱機能が付いていれば、日没から長時間たっても使えるようエネルギーを貯めておける。これによって、太陽エネルギーの大規模展開を阻む大きな障害の1つが克服できる。集光型太陽熱発電施設であるネバダ・ソーラー・ワンの発電量は6万4000kWで、1万4000世帯に電力を供給できる。このプラントは、「反射鏡18万2400枚を120haに設置、熱媒体油120万リットル、再生アルミ3000トン超、二酸化炭素の年間排出削減量13万トンという規模である。これは標準的な石炭火力発電所の1/10にもならないが、ネバダ・ソーラー・ワンはアメリカで「17年ぶりに建設された商業CSPプラント」であることに大きな意味がある。それは、ルツ・インターナショナルが1991年に倒産して以来、停滞していた大規模太陽熱発電が、重大な転機を迎えた瞬間でもあった。同社はカリフォルニア州モハベ砂漠にある9つのCSPユニット(合計出力:35万4000kW)を最初に設計・建設したが、州と連邦の間の補助金や税額控除の矛盾に長年苦しめられたあげく、ついにそれらを打ち切られた。CSPは今や、各方面からの強い追い風石炭の気候への影響に対する社会的関心の高まり、ベンチャーキャピタルやクリーンエネルギー新興企業の流入、石油価格の急騰、全州に広がる再生可能エネルギー導入義務化の動き、連邦政府の税額控除?を受けて、アメリカのエネルギー構成に占めるその比率を大幅に高める構えをみせている。そうすることで、CSPはアメリカが脱炭素排出型発電へ移行する助けになり、その結果、他の選択肢とともに、気候変動を緩和するちょっとした特効薬になる可能性がある。ヨーロッパではドイツとスペインを中心に、いくつかのソーラー・プロジェクトがかなり進行している。同じくスペインの企業である『アベンゴア』は昨春、欧州初の商業CSPプラントを開設した。あるヨーロッパの研究コンソーシアムは、北アフリカに複数のCSPプラントを建て、その電力を地中海の海底に敷設した送電線でヨーロッパの大部分の地域に供給する計画を検討中だ。ペルーやチリなどの国々も、CSPの有力候補である。アメリカでは、南西部がCSPにもっとも適している。この地域の温暖多照気候とパンケーキのように平らな地形、人の住んでいない広い砂漠が、膨大な太陽熱利用の可能性をもたらす。コロラド州ゴールデンのアメリカ国立再生可能エネルギー研究所(NREL)でCSP計画を管理するマーク・メホスによれば、「南西部には、出力60億kW以上のCSPプラントに適した土地が十分にある」という。NRELがたどり着いたこの出力値は、日射量を測定し、環境的に脆弱な地域や都市部、傾斜地といったCSPに適さない土地の合計面積を引いたもの。これによる潜在的発電量(kW時)は、アメリカの総電力需要量の4倍超に相当する。
*スーザン・モーランはコロラド州ボールダー在住のフリーライター。
J・トーマス・マッキノンはコロラド鉱業大学(コロラド州ゴールデン)化学工学教授。


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