出典:http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200811270030a.nwc
野村が共同出資するモーザー・ベア・ソーラーの太陽電池パネル
野村ホールディングス(野村HD)が、環境保護に対する取り組みを強めて
いる。本業である証券業を通じ、環境に絡む企業の育成や発掘、そして出資な
どにより、環境保護への貢献を図っていく方針だ。
「環境を守るためにはさまざまな取り組みが必要だが、本業である金融業ら
しいものを念頭において活動を続けている」。野村HDのグループ広報担当、
渡辺真一郎常務は、自社の環境への取り組みについて、こう説明する。
野村証券企業金融本部は、上場企業のM&A(企業の合併・買収)、上場予
定企業のIPO(新規株式公開)の手助けを業種別に行う。
その中で、素材産業、エネルギー産業などを手がける第6部が、環境絡みの
企業を手がけている。
この第6部が、グループの野村リサーチ&アドバイザリー(NR&A)とと
もに「バイオ産業など、さまざまな環境意識を持って事業に取り組む企業を発
掘する『新規産業開拓調査』を行い、その当初資金を投入するなどして、企業
の育成を図っている」(渡辺氏)という。
NR&Aは2000年2月の設立以来、これまでに11社を株式公開につな
げた。“メジャー”になってからの資本提携などではなく、「あくまでもアー
リーステージ(初期の段階)での手助けを通じて企業を育てることが狙い」と
いう。これまで12社に対し、11億円を投入してきた。
NR&Aのアナリストが対象企業の技術力を分析し、今後の環境保護領域に
おいて、重要となりそうな技術を有している、あるいは先見性がある分野を持
っていると判断すれば、資金投入が行われる。
「決して慈善事業ではない。アナリストは当該企業の社員のようにその企業
に精通し、厳しい目があってこそ、当該企業と野村とが“ウィン-ウィン”の
関係を継続できている」と渡辺氏は説明する。
そうした関係を築いている企業には、汚染土壌の調査や浄化処理を行う「ダ
イセキ環境ソリューション」、自家発電代行の「エネサーブ」、バイオマス発
電や省エネルギー支援専業の「ファーストエスコ」などがある。
バイオや地球環境テクノロジーの会議も定期的に開催。「かつてのITブー
ムのように猫もしゃくしもではなく、世に送り出すからにはいいものを」と、
「環境ビジネスの分かりづらい部分を伝え、未来の環境を担う企業と投資家の
コミュニティー形成の場となっている」という。
野村証券の金融経済研究所では、昨年夏から地球環境の維持や保全に貢献す
る産業・技術などに関するリポートに「ノムラ・エコロジー・フォーカス」と
いうロゴマークを掲載している。野村グループが環境により一層力を注いでい
る証しの一つでもある。
◇
【予報図】
■事業規模、世界に拡大
日本に加え、野村はすでに海外での環境保護にも目を向けている。
今年9月には、野村HDがインドの太陽電池メーカー、モーザー・ベア・ソ
ーラーに約30億円を出資した。同社はインドの電子デバイス最大手、モーザ
ー・ベアの太陽電池製造部門で、高度な製造技術を持つ。「急成長のアジアで、
日本がかつて経験してきたノウハウを生かし、環境に貢献できる」(渡辺氏)
というのが、出資の理由だ。
ロンドンでも、新エネルギーやクリーンテクノロジーに焦点を当てたベンチ
ャー投資を2006年からスタートするなど、野村の環境への貢献は、ワール
ドワイドなものとなっている。
国際社会の環境意識の高まりに伴う市場拡大で環境関連企業が増え続けるこ
とは容易に予想され、野村グループが活躍できるフィールドも当然、広がる。
野村グループの環境関連事業は、ワールドワイドで拡大することになりそうだ。
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