出典:http://mainichi.jp/select/biz/news/20081208ddm008020030000c.html
◇太陽電池生産に力
家電から発電機、変電設備まで幅広い製品を手掛ける三菱電機が環境への取
り組みを加速させている。地球温暖化対策として、太陽電池の生産能力を11
年度に現在の2・7倍に高め、09年秋には家電に使われているプラスチック
をリサイクルする事業も大幅に拡大する。下村節宏社長に抱負などを聞いた。
--環境対策を加速させる理由は?
◆社会で永続的に事業を営むためにも、企業として(環境問題に)真剣に対
処すべきだと考えています。エネルギー効率を高めるなど製品に改良を加えれ
ば、使いやすさも増し、企業としての競争力も高まります。そう考えれば、地
球温暖化対策を成長の柱と位置付けるアイデアはおのずから出てきます。今年
度の設備投資1850億円も半額以上が環境に関連しています。
--特に中核と位置付ける事業は?
◆太陽光です。当社は価格が比較的安価で主流となっている「多結晶型」と
呼ばれる太陽電池を製造しており、他社製の同種の電池より多くの電力を得ら
れる技術を持っています。11年度にはこの多結晶型電池の生産能力を現在の
2・7倍の年600メガワット(家の屋根に付けるタイプで17万軒分)に高
め、中型の火力発電所1基分の発電能力に相当する電池を毎年出荷できるよう
にします。
--三菱電機ならではの強みは?
◆当社は発電した「直流」の電力を一般家庭で使われる「交流」に変換する
「パワーコンディショナー」も手掛けており、その効率は業界最高水準です。
このため、同じ量の光でも、より長時間、家電が使える太陽光発電システムを
提供できます。発電所の発電機や変電設備も手掛けているため、火力や水力な
ど他の発電所と連携させて最適な電力供給方法を提案できます。
--資源の再活用にも熱心ですね。
◆現在は家電に使われているプラスチックを月間50トンのペースでリサイ
クルしていますが、09年秋には12倍の月間600トンに拡大し、一部に限
られていたリサイクル・プラスチックの使用を家電全般に広げます。プラスチ
ックは大きく分けて3種類あり、交ざると分離が難しく手作業で分別する必要
がありましたが、比重と静電気の帯び方の違いを利用して自動選別する技術の
開発に成功し、リサイクルを大幅に拡大できるようになりました。
--今後の抱負は?
◆温暖化対策事業の売上高は07年度で8000億円でしたが、15年度に
は60%増の1兆3000億円に高めたい。
また、創業100周年を迎える21年には、製品使用時の二酸化炭素排出量
を00年より30%、生産時の排出量も90年より30%削減したい。我々は
技術開発を通じて環境に貢献し、堅実に成長する企業であり続けたい。
■人物略歴
◇しもむら・せつひろ
京都大工卒、69年三菱電機入社。自動車機器事業本部長、上席常務執行役、
執行役副社長などを経て06年4月から現職。鳥取県出身。63歳。
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