出典:http://www.semicon-news.co.jp/news/htm/sn1820-j.htm
米国サブプライムローンに端を発し、リーマンショックで世界景気減速に拍
車がかかる中、半導体および液晶市場にも確実に影響が及び始めた。これまで
半導体商社業界では、車載分野、産業機器分野をターゲット市場とする傾向が
強く、当然今後もターゲット市場であることに変わりはない。しかし、100年
に一度ともささやかれる世界同時不況の前には、自動車と言えども減産を迫ら
れる有様だ。こうした中、半導体商社各社が熱い視線を注ぎ始めているのは、
太陽電池市場。この分野は、総合商社の牙城と言える。つまり、川上の原材料
から発電所など川下のインフラ整備まで、総合力がなければ展開できない分野
である。また、数十年もの長期保証が要求されるため、不良品があった際など
のリスクを想定すると、かなりの企業体力が問われることにもなる。
実際に、太陽電池分野で主力商社として浮上してくるのは、住友商事、三井
物産、伊藤忠商事、三菱商事などそうそうたる企業群だ。これらの総合商社は、
太陽電池向けの材料・装置販売のみに留まらず、発電所など川下のインフラま
で含めた一気通貫のソリューション展開を図っている。住友商事は同事業です
でに10年近い実績を持つほか、三井物産でも太陽電池パネルの取り扱いを早く
から行っており、強固な地盤を構築している。最近では三井物産がスペインの
スパニッシュハイドロ社が持つ太陽光発電所を買収するなど、川上から川下ま
で総合力の勝負へと突入している。
これまで太陽電池市場は、補助金制度など国のバックアップが充実している
欧州など海外で急速な伸長を見せていた。そのため、海外で豊富な販売網を構
築し、なおかつ企業体力もある総合商社が展開できるビジネスだった。しかし、
ここに来て、日本でも福田康夫前首相が提唱した「福田ビジョン」を契機に、
2005年度で終了していた住宅用太陽光発電システム設置への国の補助金制度が
復活。住宅1戸あたり約20万~30万円の補助金が支給される体制が整ってきた。
これにより、今後、家庭への太陽電池パネル普及に弾みがついてきそうだ。
そうなればエネルギーの制御系インバーターなどでパワー半導体やその他ASIC
など、太陽電池の周辺部分に半導体のビジネスチャンスが生まれるのではない
か、太陽光発電量を表示する家庭用システムなど新たなアプリケーションが生
まれるのではないかと、半導体商社各社が水面下で調査を含め検討を開始して
いる。まだ具体化している事例はないが、現在、本当に参入するメリットがあ
るか否か見極めているというのが本音のようだ。
各社にヒアリングしたところ、大半の商社が同市場に興味を示していた。
「調査対象とし、前向きに検討を進めている」「太陽電池分野で強いお客様も
あり、既存の手持ち商材を拡販できないか検討中」「周辺の制御系ICで参入で
きないか」など、さまざまな反応があった。中には台湾などアジア地域から、
「日本の住宅用、発電用に販売してくれないか」とのオファーを受けている事
例もあった。しかし、住宅用や発電用は半導体商社にとって未知の分野であり、
リスクを冒してまで手がけるべきなのか、慎重に見極める動きもある。
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