2008年8月18日月曜日

トップに聞く14/アルバック 諏訪秀則社長 太陽電池の成長期待



http://www.kanaloco.jp/serial/entry/entryxiiiaug080814_2008811/ 
-新たな収益の柱として育成している太陽電池関連事業の二〇〇八年六月期実績は。
 「事業の主力であるアモルファスシリコン太陽電池の製造一貫ラインは、生産二十五メガワットのラインを九ライン受注した。当初の計画を大幅に上回っている」「ラインは、太陽電池の性能とラインの生産性まで保証して、顧客が生産ラインとしてすぐに利用可能な状態で納める一括受注契約(フルターンキーシステム)で製造している。発電能力などすべての性能を保証してから売り上げを計上するため、決算への寄与の割合は、来期以降多くなるだろう」 「製造するライン数を、あらかじめ当社で決める計画生産を行っており、現在は月に二ラインずつ生産している。〇九年六月期は、受注額ベースで前期の一・五-二・〇倍を見込む。一一年ごろには売上高一千億円になるとみている。現在主力のFPD(フラットパネルディスプレー)事業に代わる収益のけん引役として確立させる」
 -生産体制の確立を課題に挙げているが。
 「生産拠点については、国内外の自社工場や子会社で対応できており問題ない。フルターンキーシステムは完全に標準化されたシステムで、スペックを当社で主体的に決められるので、生産効率の向上が図れ無駄も省けるようになった」「在庫のリスクを慎重に見極めつつ、計画生産によりコンスタントに製造することで、コストを削減できる。ステンレスの値上がりなど原材料高対策にもなっている」「技術面では、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率を上げることが急務だ。電池を二重構造(タンデム構造)にして効率を高くする技術を、できるだけ早くリリースする」
 -昭和シェル石油とのCIS太陽電池量産技術の共同開発は、事業内にどう位置付ける。
 「当社が行うのは、量産ライン構築のための技術開発。昭和シェルは、銅(Cu)やインジウム(In)などの化合物を使用したCIS太陽電池の量産技術確立を目指しており、当社のアモルファスシリコン太陽電池製造ラインと競合することはない」
 -製造一貫ラインは、今のところ中国や台湾などアジアからの受注が多いが、他の海外地域はどうフォローするのか。
 「中国、台湾での製造一貫ラインのサービス体制は問題ない。今後太陽電池の需要拡大が見込まれる南アジアや中央アジア、中東地域などには、本格的に需要が伸び始めたときにすかさず対応できるように、先んじてサービス体制づくりを進めていく」
●未来の主流を読む
 技術部長だった一九九〇年のこと。取引先の東芝から一通のファクスが送られてきた。納めていたTFT液晶ディスプレーのスパッタ装置について、「従来の製法である『インライン式』ではなく、新たな製法の『枚葉式』を導入したい」という内容。翌日には電話で開発の意思を問われ、数日以内の回答を求められた。社内の意見は、「インライン式の方が生産性で優位」と否定的。しかし当時、半導体製造ラインでは枚葉式の採用が進んでおり、TFTも半導体の一種である以上、枚葉式による製造の時代になると確信した。後に枚葉式スパッタ装置の出荷台数は三百台を超え、収益を支える”大黒柱”の製品に成長した。あの時の即断がなかったら、今の自分はなかっただろう。
◆すわ・ひでのり 51年6月16日生まれ。早大大学院卒。77年日本真空技術(現アルバック)入社。電子機器事業部長、常務を経て、06年9月から代表取締役社長。千葉県出身。
◆アルバック 52年設立。売上高2391億円、営業利益166億2500万円、経常利益161億500万円、純利益73億3500万円(07年6月期連結実績)。真空技術が核、FPD製造装置主力。従業員数6073人(連結)、1698人(単体)。茅ケ崎市。

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