2008年8月18日月曜日

家庭用太陽光発電の設置補助金、政府が復活・前倒しを検討


http://www.shimbun.denki.or.jp/backnum/news/20080813.html 
政府・与党は月内にまとめる総合経済対策で、家庭用太陽光発電の設置補助金を盛り込むかどうかの検討を始めた。09年度に予定していた補助制度の復活を前倒し、原油などの資源価格高騰に対応する狙い。家庭への「ばらまき」につながるこの措置は年内にも予想される衆院解散・総選挙をにらむ与党の事前準備という色彩も帯びる。ただ、仮に補正予算で対応すれば行程が詰まり、補助金交付手続きが滞る可能性も高い。制度の確実な実施を重視する政府と選挙をにらむ与党の間で調整は難航しそうだ。政府・与党は、11日に開いた「『安心実現のための総合対策』に関する政府・与党会議」で総合経済対策の骨格を提示。8月末までに、具体策や予算規模などの全体像を示すことを決めた。総合経済対策の骨格は物価対策などの国民生活の不安解消、低炭素社会実現やエネルギー資源の安定供給、燃料負担の大きい業種の支援が柱。このうち低炭素社会の実現では省エネルギー、新エネルギーの技術開発と抜本的な導入促進が盛り込まれた。新エネの導入促進策として浮上しているのは、家庭用太陽光発電の設置補助制度の復活。補助制度は05年度末に打ち切られたが、設置数に急ブレーキがかかったことを受け、経済産業省・資源エネルギー庁が09年度から制度の復活を検討。今回の総合経済対策ではこれを前倒しし、原油高などに左右されない経済構造を確立しようというものだ。 即効性の薄いこの対策に白羽の矢が立った背景には、低炭素社会の実現に力を入れる首相官邸サイドの意向だけでなく、選挙を意識し始めた与党の圧力があるもよう。打ち切り前の補助制度では1キロワットあたり2万円を補助しており、1つの家庭に行き渡る金額は約6万円。エネ庁は低コスト化技術開発の支援と合わせて太陽光発電を今後3~5年で半額にする目標を掲げており、補助額も前制度を上回る可能性がある。一般家庭に目に見える財政支援が可能な同制度は選挙対策にはうってつけの材料。与謝野馨・経済財政相のほか、麻生太郎・自民党幹事長をはじめとする与党幹部も大規模な補正予算編成に含みを持たせており、財源確保への支障はない。 ただ、補助金のかじ取りを任される経産省内では、選挙対策を重視するあまり太陽光発電補助制度を見切り発車的に復活させることに慎重な意見が支配的。制度復活を前倒しで行うにしても、補正予算の執行は早くても今冬で「そこから予算を取り扱う機関を募り、公募を始めるので与えられた時間は非常に少ない」(エネ庁関係者)。 補助金が実際に家庭に行き渡るのも、太陽光発電を屋根に取り付けてからになるため、年度内までに補助金が十分に活用されるかは不透明なのが実情という。補正予算で対応する場合は、屋根に太陽光パネルを設置する前に補助金を渡すケースが出てくる可能性がある。だが、そうなれば「信頼性が疑われる」(同)ような事態が発生する懸念は避けられない。エネ庁内には09年度からの確実な制度実施を望む声が強まっており、財政出動を求める与党との綱引きは当面の間続きそうだ。

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