2008年8月7日木曜日

太陽光発電:5年後にグリッド電力と競合へ


太陽光発電の電気料金とグリッドパリティ・ポイントの予想(出典:米Deutsche Bank Securities社)


太陽光発電業界は(インセンティブを伴わずとも自立した経済として)、5年以内にグリッドパリティ(発電コストと電力売上が同等になること)を達成するだろう。この予想は、米カリフォルニア州ハーフムーンベイで開かれたSEMI主催のISS(Industry Strategy Symposium)2008で、半導体の資本設備と材料を分析している米Deutsche Bank Securities社のシニアアナリストStephen O'Rourke氏が発表した。「今度こそ太陽光発電業界は過去のように日の目を見ない時代に逆戻りはしないだろう」とO'Rourke氏は予想する。「今日、太陽光で発電する技術は、結晶Siや薄膜アプローチなどいくつか存在する」。同氏のプレゼンテーションの中心を占めたのは、異なる太陽光発電技術を表したグラフだった。この曲線は2006年に始まって2020年の推定値までを表している。「この業界の競争力を明確に示しているのは、1キロワット時あたりのコストが下がっていることだ」と同氏は述べた。「エネルギーを売ることが全てであって、セルやモジュール、システムは問題ではない」。O'Rourke氏は、過去7年間の総伸び率が約4.5%ということを考えれば、米国の2006年のグリッド電力コストの平均は8.6セント/kWh(混合平均)と考察した。その後、将来の伸び率を推定した。「これにより、いつ太陽光発電がグリッド電力に対抗できるようになるか、つまり価格が同程度になるかの時間的枠組みが見えてくる。それは太陽光発電がグリッド電力の平均小売コストを下回るときである」と同氏は述べ、これらは慎重な見方だ、と付け加えた。同氏によると、需要と供給が太陽光発電業界の要である。「精製Siの供給が不十分で供給上の制約があるため、生産能力を大幅に拡大すべく、設備の建設が進められている。現在は生産能力が不足しているので、展望はとても明るく、販売利益も大きく、企業は儲かっている。しかし、おそらく2009年から供給過剰に陥り、ポリSiの供給が過剰になるだろう」。これは同氏が定義するところの「永続的な」供給過剰ではなく、需要の弾力性によって決定されるものだろう、と同氏は言う。「メモリー業界と同じだ。価格が下がり、利ざやが圧迫され、株価も下がる。バランスシートに問題が生じ、業界から淘汰されるものが出てくる」と同氏は述べた。「私はこれが2〜3年続くと予想している」。'Rourke氏は、特に新しい技術の登場は要素に入れられないので、控えめな予想になったと強調した。「新技術が業界に登場すれば、全体の原動力を変え、コスト削減曲線を変化させる可能性がある」と同氏は述べた。「私はこれが今後5年以内に起きるとは思わない。しかし、そのような大変化が起きれば、すべてのコスト曲線は全体的に下がり、太陽光発電とグリッド電力のコストが一致する時期がもっと早まるだろう」。しかし、同氏は、太陽光発電がグリッドパリティに到達するときでも、同技術はベース負荷発電の補完ではなくピーク電力を補完するものとして使われているだろう、と慎重に指摘した。「太陽光発電は今ではれっきとした産業であり、グリッド電力コストと一致する地点に達すれば爆発的な伸びをみせるだろう」。同氏は、太陽光発電は約半世紀も存在している最も古い新産業だ、と表現する。「今が最初の成長局面にある。我々は、新たな生産力向上のための巨額の投資、新たな企業や新たな問題が市場にやってくるのを見てきた。そして、供給過剰の状況を予想し始めれば、我々は下降局面にいることになると思う。これは結晶Siと薄膜技術のどちらに対しても起こった」と同氏は述べた。(Alexander E. Braun)

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