出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080820/156636/
2008/08/20 17:53
古河機械金属は、熱エネルギーを電気に変換する材料で、中温領域(室温~600℃)で高い性能を実現した。開発したのはFe(鉄)、Co(コバルト)、Sb(アンチモン)、希土類元素などからなるスクッテルダイト系の熱電変換材料。スクッテルダイト系はCoSb3に代表される化合物の結晶の構造をいい、p型、n型ともに良好な特性を得られる。熱電変換材料は電気的特性が良く、材料の熱伝導率の低いことが高い性能を得るポイントになる。電気的特性が良いというのは具体的には材料に温度差を加えたとき大きな起電力が発生することと、材料そのものの導電率が高いことをいう。スクッテルダイト系材料は電気的特性が優れている反面、熱伝導率が高い傾向にあることが課題だった。スクッテルダイト系材料の電気的特性に影響を与えずに熱伝導率を減少させるため、La(ランタン)、Ba(バリウム)、Yb(イッテルビウム)、Ca(カルシウム)などの元素を中心に、さらにこれ以外の元素を同時に充填した。充填したのは?族元素のAl(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)ならびに?族元素のTi(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)など。同時に3種類以上の元素を充填し、熱伝導率を大幅に低下させた。充填することによって結晶格子の振動が不規則となり、熱の伝導が妨げられると考えている。通常、熱電変換材料の性能は無次元性能指数(ZT)によって表わされる。p型、n型材料ともに実用化レベルはZT=1を指標としている。熱伝導率を下げた結果、(La, Ba, Ga, Ti)0.9(Fe, Co)4Sb12のp型材料では、ZTは従来の0.5から1.1に上昇した。(Yb, Ca, Al, Ga, In)0.9(Co, Fe)4Sb12のn型材料では、ZTは従来の0.7から1.3に上昇した。p型、n型とも350℃~550℃の広い範囲でZT=1を超えており、実用上の観点からも応用範囲が広がることが期待される。この熱電変換材料を用いて50mm角×高さ8mmの熱電変換モジュールを試作し、上面(高温側)を720℃、下面(低温側)を50℃の条件で試験したところ、熱電変換効率7%、出力33W(出力密度1.3W/cm2)という熱電変換性能を得た。 浜田 基彦=日経Automotive Technology
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