2008年8月27日水曜日

エネ高騰で意外な脚光 「第2の原付」/ソーラーシステム


出典:http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200808260029a.nwc 
ガソリンや電気・ガスなどエネルギー価格の高騰に対する生活防衛で、“意外な”ものが脚光を浴びている。二輪車市場では、郵便や新聞配達など業務用が中心だった排気量51~125ccの「原動機付き自転車(原付)2種」が、通勤や通学の足として人気だ。家庭の屋根の上では、太陽光発電に場所を奪われていた太陽熱でお湯を沸かすソーラーシステムが復活の兆しをみせている。                   
 ■「第2の原付」出荷1・5倍 1-6月 通勤の足で需要増
 「第2の原付」と呼ばれる2種の今年1~6月の出荷台数は、前年同期比56%増の約5万7000台と大きく伸びた。二輪車全体は21%減で、全体の6割を占める排気量50ccの原付1種は36%減と落ち込んでおり、2種の好調が際立っている。2種を運転するには、比較的簡単に取得できる原付免許ではなく、普通二輪免許が必要。ただ、1種に比べると、2人乗り禁止や時速30キロ以下などの規制がない。さらに126cc以上のバイクに比べると、車体価格は安いうえ、税金が低く燃費に優れ、維持費もかからない。中、大型バイクよりも駐車スペースを確保しやすいのも魅力だ。このため、「126cc以上のバイクからの乗り換えのほか、通勤などにクルマを使っていた人が、新たに免許を取得し購入するケースが増えている」(業界関係者)という。 メーカー各社も販売に力を入れており、2種の1~6月の出荷台数はホンダが約2万5000台、スズキが約2万1000台といずれも約6割増えたほか、ヤマハ発動機も18%増の8900台と好調だ。国内の二輪車市場はピークの1980年代には、300万台で推移していたが、ここ数年は70万台まで減少。2006年から二輪車の駐車違反の取り締まりも厳しくなったほか、排ガス規制の強化に伴う仕様変更で実質的な値上げを余儀なくされるなど逆風が続いており、今年の出荷台数は、「60万台を切る可能性もある」(大手メーカー幹部)との声も出ている。業界にとっては、原付1種と普通二輪車の間で埋もれていた二種は“救世主”ともいえる存在だ。海外市場でも、大型二輪が大半を占める米国で、4月以降、ガソリン高騰の影響で125ccクラスが、「それまでの倍以上の売れ行き」(業界関係者)をみせているという。原油価格は一時に比べると値下がりしているものの、旺盛な新興国の需要を背景に高止まりが続くのは必至で、四輪車に加え、二輪車でも世界的に“小型志向”が加速しそうだ。                   ◇
 ■ソーラーシステム復活 低コスト、自治体補助も
 太陽光発電のほか、電気でお湯も沸かすオール電化住宅の普及に押されて、販売が縮小してきたソーラーシステムだが、ここにきて販売が伸びている。光熱費が値上がりするなか、太陽光発電に比べ格段に設置費用が安いことが見直されているためで、補助金を支給する自治体が増えていることも追い風になっている。矢崎総業は、屋根に集熱板を設置し地上のタンクでお湯を沸かす強制循環式と、屋根に設置したタンクで直接お湯を沸かす自然循環式の2タイプを展開。今年7月の販売台数は、前年同月比約1・5倍の1059台に伸びた。ノーリツも7月販売台数が2倍の570台に増え、「一時は欠品状態にもなった」(広報・IR室)という好調ぶりだ。商品を紹介するウェブサイトのページビューも7月には、4倍に急増し、消費者の関心の高さをうかがわせている。 ソーラーシステムは太陽光を直接利用してお湯を沸かし、お風呂や炊事、床暖房などに活用するもので、第1次、第2次オイルショックによる光熱費の高騰を機に普及し、1970年のピークには販売台数が約83万台に達した。しかし、訪問販売によるトラブルに加え、太陽光発電などの新しいシステムが登場し、07年の販売台数は約5万台にまで落ち込んだ。最大の魅力は初期費用の安さだ。太陽光発電は3キロワット級で約200万円かかるのに対し、ソーラーシステムは強制循環式でも約90万円で済む。より手軽に省エネ化が図れることから、広島市が今年度から設置に対し5万円の補助を始めるほか、横浜市も今秋からモニターによる補助制度を導入する予定で、自治体による後押しも活発化している。一般家庭の環境意識の高まりも追い風だ。業界団体のソーラーシステム振興協会は、今年6月から設置家庭に「CO2削減効果計算証書」を発行するサービスを始め、光熱費の節約だけでなく、地球温暖化防止に貢献できるメリットも強調し、普及促進に取り組んでいる。

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