2008年9月1日月曜日

電力会社がやるべきプロジェクトではないのでは? 大牟田メガソーラー:中川修治


出典:http://www.news.janjan.jp/business/0808/0808265608/1.php
2008/08/31
太陽光発電など自然エネルギーは、発電を小規模にして分散させ、電力会社が妥当な価格で電力を買い取ってこそ効力を発する。大規模に発電しようと言う「メガソーラ-」は、発想の根本がまったく間違っている。国や九州電力、宮崎県などは構想を再考すべきだ。温暖化対策「福田ビジョン」の発表以来、注目を集めている太陽光発電に、メガソーラーなどという「見掛けだけで大きなものがいい」と言う旧来の発想から来た代物がある。メガソーラーは、前の経産大臣の発言から業界が過剰反応して「できる、できる」と言う。九州電力も横並びに合わせてきている。さて、このニュースどう読むべきか……。
 「九州最大の太陽光発電、九電が大牟田・港発電所跡に建設」
【九州電力は25日、福岡県大牟田市の港発電所跡地に、同社初の大規模な太陽光発電設備(メガソーラー)を建設すると発表した。出力は3000キロ・ワットで、九州地区の太陽光発電では最大規模になる。来年秋に着工し、2010年度の運転開始を予定している。4年前に廃止となった石炭火力の港発電所(出力15万6000キロ・ワット)の跡地約7ヘクタールに、1畳分の大きさの太陽電池パネルを1万5000~3万枚設置する。総事業費は20億円台半ばの見込み。年間発電量は約315万キロ・ワット時で、昼間の出力ベースでみると一般家庭2200世帯分の電力を賄う。太陽光発電は原子力発電や水力発電と同様、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーとされる。出力3000キロ・ワットの太陽光発電によるCO2排出抑制効果は年間約1300トンと、一般家庭200世帯分の排出量に相当するという。九電は、九州地区に現在導入されている30万キロ・ワットの太陽光発電を10年以内に100万キロ・ワットに拡大する目標を掲げており、今回のメガソーラー開発もその一環となる(以下、略)】(2008年8月26日読売新聞)
 この20億円台半ばという数字、他では総事業費25億円といわれているので、規模からみると設備費は1Kwにつき83万円程度。これは一般家庭向けでの市場価格60万円台からみると1Kwあたりで見れば20万円も高い。つまり、発電原価で計算すると10~15円程度は高い。ならば、資金効率からみれば、一般家庭用に25億円かけて設置する方が余程、社会全体としては資金効率が良いという事になる。で、電力会社が自己資金でやると言ってもそれで利益を出すわけだし、電力会社の電力供給は地域独占だから、必ず、費用は九州の全電力需要家に支払わせることになる訳だ。1Kwhあたり10~15円も高い電気を作って、それを全九州全体の電力の需要家に負担させようという事になる。「全体から見れば小さいからいい」と言う話ではない。ならば25億円で、現在、25円程度でしか買っていない太陽光発電からの電力を、1KWhにつき20円余分に支払うほうが、15円も発電原価の低い電力を購入することができるわけだ。その方が経済的にも合理的であるし、九州電力の全電力需要家にとっての利益にもなる。それに、今まで発電原価をはるかに割る価格でしか売れなかった人たちの太陽光電力が正当に評価されることにもなるし、多くの電力需要家が電力の生産にも関わって、それが需要地に怒れることで系統の安定化にも役立って、未来の、エネルギーを含めた資源分散型社会を支えるようにもなるだろう。そもそも天候によって不安定といわれる太陽光発電を、こうして一ヵ所にまとめると、その影響自体がもっと系統全体への撹乱要因になる訳だ。ここに雲がかかったら1時に出力3000Kwがその10分の1とかになる訳だから随分、不安定になるだろう。なのに九州電力は、今後もメガソーラーに取り組むという……。一体今まで、一般の人たちが導入するのにどれほど難癖をつけて「そうした不安定な電源の電気の価値は4円程度だ」と言ってきたのだ。それをさらに、集中させて不安定にして系統に入れると言う。こんな理不尽な話はない。経営陣の再考を望みたい。
追記:宮崎県の東国原知事がメガソーラーの誘致に熱心だが、これも違う。県民が出資をして作る発電システムから生み出される電力(小規模分散)を、九電に合理的な価格で買うように求める方が、県民のためにもなるのだから……そうした建設的で誰もが利益を得られる提案を行ってほしいものだ。

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