2008年9月24日水曜日

出典:電気事業連合会の「メガソーラー発電と電気自動車の導入計画」の問題点:中川修治


出典:http://www.news.janjan.jp/business/0809/0809217763/1.php
2008/09/23
電力7社による電力の業界団体、電気事業連合会が怪しげな構想をぶち上げた。「電気自動車を1万台導入する」というのは、別に環境に良いことをしよう、などと言うのではない。メガソーラーにいたっては電力会社のやるべきこととは思えない。まず、現状、安く買い叩いている太陽光発電の購入価格を適正にすべきだ。

 何も知らない昔なら、「いやあ電力会社も良いことするのですね、方向を変えるんだ」と喜んだかもしれませんが、ちょっと事情が分かった今では、「人を馬鹿にするにも程があるだろう」と、呆れはててしまうような計画です。

 電気事業連合会(電事連)は電力7社による電力の業界団体です。この19日に行われた会長の定例記者会見で「メガソーラー発電と電気自動車の導入計画」というものを発表しました。ちなみに電事連は、2007年の米国大リーグ優勝決定戦で、日本向けのプルサーマル推進の「広告」を出していた団体です(関連記事)。

 「メガソーラー発電と電気自動車の導入計画」について、毎日新聞は
「電気事業連合会は19日、地球温暖化対策の一環として2020年度までの太陽光発電と電気自動車の導入計画を発表した。電力10社合計で太陽光の発電能力を14万キロワットに引き上げるほか、業務用車両として電気自動車を1万台導入するのが目標で、いずれも現状より30倍程度に増強するとしている。
 太陽光の発電能力は07年度末で4250キロワット。導入計画ではまず、09年度までに計4万キロワット程度のメガソーラー発電(太陽光で発電能力1000キロワット超)設備の建設に着手する。20年度に14万キロワット態勢にすることで、約4万世帯分の電気使用量を賄う。【谷川貴史】」(事連:太陽光発電と電気自動車を30倍に…環境計画)と報じました。

 一見、自然エネルギーへの取り組みとしては前向きに見えるのですが、内実は決してそうではないのです。

 もともとメガソーラーというのはドイツなどで施行されたFIT(固定価格買い取り制度)で「規模の経済が効く」と言う事で、大量に太陽電池を購入し広い場所で一気に発電所が造られたことで、目を引いたのです。何を勘違いしたのか、日本の経産省の某大臣(当時)が「私が命令して世界一のソーラー発電所を作らせようと考えている」と国会で発言したのを受けて、電力会社が「何かしてみせねば」ということで始まったのです。

 電力会社のやるメガソーラーは実にお高く資金効率が悪いのです(関連記事)。呆れたことに海外では規模の経済が効いて1kWh当たりの経済効率が小規模のものより良い筈のメガクラスのものが、日本では高くついているのです。

 「電力会社がやるべきプロジェクトではないのでは? 大牟田メガソーラー」で紹介した、大牟田のプロジェクトでは1kWあたり83万円ですから、一般家庭用に比べれば20万円は高いので、発電原価もそれだけ高くなります。

 一般家庭用なら45円/kWh程度のものが、60円/kWh程度になる訳です。そして、これが回り回ってみなさんが支払っている電力料金に反映されるのです。良く電力会社が「自分たちの負担で」と言いますが、つまり、それは全ての電力需要家が支払う電気料金によるのだ、と言う事なのです。

 ならば、太陽光発電を一般の方々にやってもらって、その方々にまともな発電原価45円/kWhを支払う方が、電気料金に反映される原価も安いので、電気料金もリーズナブルな価格となる、ということになります。

 現在はそのまともな発電原価すら支払わず、たったの25円程度しか支払っていないのですから、お話にもなりません。まず、こうした阿呆なメガソーラーなどと言うものに金をかけるぐらいならまず、まっとうな電気代をこれまでに設置されている太陽光発電事業者に支払うべきでしょう。

 さて、次に電気自動車の導入についてみてみましょう。これは、原子力によってあまってしまう夜間電力の需要を増やしたい、と言う事でしょう。原子力発電は、ほかの発電と比べてオン・オフが容易ではないので、世の中の電力消費量が減る夜間にも発電を続けます。夜間は今でも、どうしても電力供給があまってしまい、各電力会社は何としても夜、電気を使って欲しいのです。

 何しろ「原子力立国」という、経産省・資源エネ庁の官僚の天下り先を確保するためにも必要とされている、国策の原子力推進の方針でさらに原子力の比率が上がると、揚水発電やオール電化やエコキュートなどでは吸収できないとんでもない夜間電力の余剰が、さらに発生するのです。

 これは如何ともしがたいのです。自由化の進む欧州みたいに、買ってくれるならダンピングしてでも買ってくれと言えば、夜間に火力発電所を休止したい国々は買うでしょうけど、島国の日本では国内で余った電力は海外に売れませんから、全部、国内で消化しないといけなくなる。

 で、「電気自動車にしてしまえば」ということなのでしょう。見掛け上、ガソリンとかの化石燃料の高騰と環境問題が追い風になっているから、この機会に国からの補助金という形での予算も出るだろうし、これ幸いとこの構想をぶち上げたと言うところでしょう。

 これは、別に環境に良いことをしよう、などと言うのではない訳です。そこを私たちは読み違えないようにしなければなりません。


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