2008年9月4日木曜日

ECO JAPAN イベント/セミナーリポート「再生可能エネルギー世界フェア」Photoリポート(前編)日独米の再生可能エネルギービジョンを共有できた「基調講演」


出典:http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/event/080829_saisei01/
2008年8月29日
●2008年7月30日(水)から8月1日(金)にわたり、東京ビッグサイトにて開催された「再生可能エネルギー世界フェア」。「第3回新エネルギー世界展示会」(主催:再生可能エネルギー協議会)と、日本初の太陽光発電総合イベント「PVJapan 2008」 (主催:SEMI、太陽光発電協会)と同時開催で行われた、再生可能エネルギー/新エネルギーに関する複合型イベントだ。
●3日間の合計来場者数が4万4547人にも及んだ同イベント、展示会場では太陽光発電や風力発電、バイオエネルギーなど分野毎のエネルギーと環境に関わる主要企業/団体が出展し、最新の技術、製品、環境に対する取り組みなどを紹介した。一方、会議棟では国内外の再生可能エネルギーに関する有識者を集めた国際フォーラムが催され、そちらもほとんどが満席になるという大変な盛況振りであった。
●今回のPhotoリポートでは、そのイベントの様子を講演から展示会まで幅広く紹介する。まずはイベント初日7月30日(水)に行われた、「再生可能エネルギー世界フェア基調講演」の模様をお届けしよう。
●この基調講演では、経済産業省資源エネルギー庁の羽藤秀雄氏、駐日ドイツ連邦共和国大使のハンス=ヨアヒム・デア氏、アメリカのペンシルベニア州地域振興・経済開発省長官であるデニス・ヤブロンスキー氏、ドイツの応用研究機関「フラウンホーファー」の日本代表部研究所の代表Dr. ロレンツ・グランラート氏の4氏が登場。将来の再生可能エネルギー時代を支えるであろう主要国3国と研究機関の、現在の取り組みや未来のヴィジョンを伺い知ることができる、貴重な機会となった。取材・文/イデア・ビレッジ 写真/白木 裕二
「再生可能エネルギー協議会」代表黒川浩助氏の挨拶
今回の国際フォーラムの最初のプログラムである「再生可能エネルギー世界フェア 基調講演」。まずは「再生可脳エネルギー協議会」代表の黒川浩助氏が挨拶を行った。「現在、人類の眼前には考えるべき大きな問題がたくさんあり、それは地球温暖化をはじめ、エネルギー、水、食料、健康、生態系、人口、国そのものの存続など、実に多様である」と黒川氏。「もはや一度進んだ物質文明は二度と引き返せないところまできている。その現実を受け止め、政策と技術を駆使しながら国際的に協力して1つ1つの問題にあたっていかなければいけない」。そんな状況の中、再生可能エネルギーはそれらの様々な問題において、大きく貢献していく可能性を秘めているのである。そして黒川氏は、2006年10月に幕張にて行われた「再生可能エネルギー2006 国際会議」において掲げたスローガンで、今回の「第3回新エネルギー世界展示会」でも重要なテーマとなっている「Advanced Technology Path to Global Sustainability」という言葉について触れ、こう締めくくった。「“先進的、先端的技術を通して、地球規模の持続性を探求しよう”。それが再生可能エネルギーの崇高な目的なのです」
経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 羽藤秀雄氏
黒川氏の挨拶に続いて登場したのが、経済資源エネルギー庁の省エネルギー・新エネルギー部長を務める羽藤秀雄氏。羽藤氏は、わが国の再生可能エネルギーを中心とする政策、その展望について語った。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が報告書で示した通り、世界の平均気温の上昇には温室効果ガスの排出増加が背景にあるという。そこで地球温暖化抑制のためにも、化石燃料に変わるクリーンなエネルギーが必要とされている。さらに現在の原油価格の高騰は「第3次オイルショックともいえるほどのインパクトだ」と羽藤氏。輸送関係、漁業関係、ハウス栽培などを行う農業関係といった分野においては、深刻な打撃を与えている。このような我々を取り巻く大きな問題を考えてみても、環境負荷の少ない、新たなエネルギーの早急な普及が必要とされているのだ。
経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 羽藤秀雄氏
「エネルギー安定供給の確保に資する石油代替エネルギー」、「環境に与える負担が小さいクリーンエネルギー」という点で、重要な導入意義を持つ再生可能エネルギー/新エネルギーだが、羽藤氏は「出力・供給が不安定である点と、経済性で見た際にコストが高い」とその問題点も指摘する。現在、日本では電力会社に一定の割合で再生可能エネルギーの導入を義務付ける「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」が施行されているが、今後はそれ以外にもさらなる取り組みが必要となっていくであろう。例えば先頃、政府における今後の再生可能エネルギー/新エネルギー政策に関する基本的な方向性についての検討結果である、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会による「緊急提言」が出されたのはご承知の通り。個々の内容に賛否はあれど、このように政策的な面でも新エネルギーの普及を推進していくことは重要だ。羽藤氏によると、まず太陽光発電は「機器の低廉化を進め、2020年には現状の10倍の普及、すなわち新築住居の70%に導入することを目指している」という。そのほか、バイオ燃料、風力発電、燃料電池などついても、積極的に普及を進めていくとのこと。また例えば風力発電なら「落雷対策」など、それぞれにまつわる問題点を日本の優れた技術力を持って解決していかなければならないと述べた。「ハイテクに強い、というわが国の強みを生かしていくことが大事です。『新エネモデル国家』となり、新エネ文明を内外に発信、さらに新エネ関連産業を基幹産業にしていくことが望まれます」そして最後に次のように締めくくった。「それには、コスト負担といった国民のご協力を得ることが大事です。この再生可能エネルギー/新エネルギーへの取り組みは、経済界、官界、学界、政府、国民を挙げた課題なのです。我々が今後どのように国際的にリードしていくのかということを考える機会として、今回のイベントのような存在はとても大切なのではないでしょうか」
駐日ドイツ連邦共和国大使ハンス=ヨアヒム・デア氏
続いては、駐日ドイツ連邦共和国大使のハンス=ヨアヒム・デア氏が、「ドイツ気候変動・エネルギー政策の主幹をなす再生可能エネルギー」と題する講演を行った。デア氏によれば、「現在ドイツでは1次エネルギーの10%を再生可能エネルギーでまかなっている」とのこと。さらに2020年までには発電電力量の2~3割を再生可能エネルギーでまかなうことを目指しているという。ドイツにおいて、再生可能エネルギー普及促進の強い追い風となったのが、ご存知の通り、「固定価格買取制度(FIT)」の採用。再生可能エネルギー資源を用いて発電された全ての電力を、発電手段別に一定の価格で全量買い取ることを送電事業者に義務づける制度だ。再生可能エネルギーの導入促進案として最も効果的であると目される、この大胆な制度の実施により、「かつては産業が衰退していた東ドイツが、今や太陽光や風力に関する産業で伸びてきている」とデア氏は指摘する。ただしこの制度は、再生可能エネルギーによる発電と従来の火力などによる発電とのコスト格差を、最終消費者である皆が負担金を支払うことが課せられている。これは低所得者層には大きな負担とならざるを得ないが、デア氏は、「“将来のエネルギー保障への投資”と見てほしい」と語る。再生可能エネルギーの普及には、やはり国民の理解が必要不可欠なのである。今後ドイツでは、自国だけにとどまらず、中国などCO2を大量に発生している新興国への技術移転により、それらの国の排出量を削減させる計画を2009年度より開始する予定だという。そしてデア氏は次のように締めくくった。「政府間の協力は再生可能エネルギーの実施・導入をサポートする部分で重要です。しかしながら、政府間の協力よりもっと重要なことがあります。それは、多国籍企業間、科学者たちの間での協力および競合体制です。そういう場を提供する目的において、今回のような展示会やシンポジウムは、大きな意味を持つでしょう」
デニス・ヤブロンスキー氏とDr. ロレンツ・グランラート氏の講演
「成長するアメリカの代替エネルギー市場の可能性」と題した講演を行った、米国ペンシルベニア州地域振興・経済開発省長官のデニス・ヤブロンスキー氏。京都議定書への不参加に始まり、環境政策のあり方について世界から非難を浴びてきた米国。だが今年、新たな大統領が生まれることを契機に、どのように環境政策をとっていくのかが注目を浴びている。ヤブロンスキー氏によると、現在米国では州それぞれが主導権を握り、再生可能エネルギーや温暖化対策、またそれらに関連する産業の推進に積極的に取り組んでいるという。ペンシルバニア州もその中の一つ。先頃、「Energy Independence Fund」と称する、6億5000万ドルの予算を再生可能エネルギーのために投じる法律を制定した。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーのプロジェクトファイナンスとして3億4500万ドルを充て、4000万ドルをベンチャーキャピタルなどの支援に、太陽光発電パネルなど再生可能エネルギー利用の機器を個人や事業者が設置する際の、設置コストの補助金として残りを利用するという内訳だ。新大統領の誕生、そして環境のための連邦政府による国家政策が始まるのを待たずして、もはや州政府は再生可能エネルギーの普及など、環境対策に積極的に動いている。そうやって、遅れを取り戻すかのように急ピッチで動き始めた米国の展望を伝えてくれた。そして基調講演の最後に登場したのは、ドイツの応用研究機関「フラウンホーファー」の日本代表部研究所の代表、Dr. ロレンツ・グランラート氏。「フラウンホーファー」はヨーロッパ最大の応用研究機関であり、ドイツ国内だけでも56の研究機関を抱える。また日本、中国、ロシア、ドイツ、アメリカ、インドネシア、韓国などにも拠点がある、世界規模の研究機関だ。同研究所では、民間企業や公共企業向けに、さらに社会全体の利益を目的として、直接効用の応用研究を実施しており、その研究分野は生産技術、情報・コミュニケーション技術、ナノテクノロジー、生命科学、マイクロエレクトロニクス、材料および部品…と実に多岐にわたる。その中で、同研究所が力を入れているのが、再生可能エネルギーに関する研究だ。個々の具体的な研究成果などについては専門的な話も混じってくるのでここでは省略させていただくが、一口に再生可能エネルギーの研究といっても、太陽光発電から燃料電池に至るまで、そのカバーする分野は実に幅広い。「フラウンホーファー」のようなワールドワイドな規模の研究機関の成果が、来るべき再生可能エネルギー時代を支えていくことは間違いないだろう。日本、ドイツ、アメリカという、再生可能エネルギー/新エネルギーの普及・促進において重要な役割を担うであろうこれら3カ国それぞれの現状や展望をうかがい知ることができた基調講演。このような機会にドイツとアメリカの大胆な政策や、環境産業の著しい発展について話を聞くのは、非常に刺激を受けるところが多い。またそれら諸外国の姿勢に対して、日本はどのような形で再生可能エネルギー社会へ移行していけばよいのか? そんなことを改めて考えさせられた。次回は、基調講演に引き続き行われた、「Cool Earth 50 フォーラム」の模様をリポートする。東京工業大学教授の柏木孝夫氏、経済産業省資源エネルギー庁次長の本部和彦氏、東京大学総長の小宮山宏氏による講演の様子を写真と共にお伝えしよう。

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