出典:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00141111.html
地球温暖化対策の1つとして、太陽光発電を利用したソーラーカーが近年、あら
ためて注目を集めています。
こうした中、鈴鹿サーキットで、国際的なソーラーカーレースが開催されまし
た。
8月2日、F1の聖地「鈴鹿サーキット」で、国際的なソーラーカーレースが開催
された。
参加は総勢88チーム、全国の学生や社会人はもとより、海外からは台湾やオー
ストラリアからのエントリーもある。
レースは、2日にわたって、合計8時間で、何周回ったかが競われる。
真夏の太陽を最大に浴びて、各車一斉がスタートした。
スタート直後から果敢な走りでレースを主導したグレーの車は、大阪産業大学
の車で、このレースに優勝を懸けて、万全の体制で挑んだ。
大学は、これまでに中国・シルクロード2,000kmを横断、オーストラリア3,000
kmを縦断するなど、エコカープロジェクトを成功させてきた。
2008年、大学は、ガスの燃焼熱を利用して発電する世界初の電気自動車を発表、
さらにソーラーを利用した実用車の開発も進行中で、大学レベルでは最先端を
進んでいた。
一部の高級車では、ソーラーパネルは、空調機能の動力源として、すでに実用
化されている。
大学は、車社会の将来を見据えていた。
大阪産業大学の才原 篤講師は「太陽エネルギーを少しでも利用するという」、
「今後、電気自動車というのは、間違いなく普及していくと思います」と話し
た。
総監督の藤田久和講師は、ソーラーカーに取り組んで20年になるという。
藤田講師は「環境破壊が、われわれの技術以上のスピードで進んでいる」と話
した。
大学は、鈴鹿でも優勝を果たして、環境技術の研究成果を証明したかった。
2008年入学の新メンバー・三浦 愛さんには、大きな期待が懸かっていた。
キャンパスでは、おとなしめの三浦さんは、7月は試験期間中で、試験勉強にも
余念がない。
しかし、12歳から始めたカートの腕を見込まれて、ドライバーに大抜てきされ
た。
三浦さんは「タイヤのことも、電気のことも、いろんなことを考えながら」、
「頭を使わないと勝てないなと思いました」と話した。
大学で初めてソーラーカーに触れた三浦さんは、環境問題への意識も大きく変
わったという。
三浦さんは「今まで、環境のことなんて考えたこともなかったし」、「いろい
ろ考えさせられること、たくさんありました」と話した。
最大のライバルは、大会3連覇を達成している同じ関西の芦屋大学で、その強豪
にどれだけ迫れるかに注目が集まっていた。
レース開始早々、激しいデッドヒートを繰り広げる両大学、ピットはかたずを
飲んで見守っていた。
三浦さんは、予定の2時間を走り終え、先輩ドライバーに交代した。
三浦さんは、時速81kmで、この日の最速ラップを記録した。
三浦さんは「とりあえず車つぶさなかったんで、よかったです」と話した。
しかし、スタートから2時間半、何と大阪産業大学の車がピットに入った。
車は、足回りに重大なトラブルを起こしていて、ピットは凍りついた。
気温は35度で、過酷なレースに停車する車が続出した。
修理は夜更けまで続き、1日目は19位で幕を閉じた。
翌朝、一晩保管されていたバッテリーが、午前10時に一斉開放された。
前日、消費した電力を、2時間だけ充電が許される。
実際の走行では、スピード以外に電力をいかに効率よく使うかが要求される。
前日のトラブルがあるだけに、三浦さんへのプレッシャーは重かった。
午後1時、2日目スタートした。
チームの方針は「徹底的に攻める」だった。
三浦さんは、車の性能を思いっきり引き出して、猛烈なアタックを開始し、序
盤から周回を重ね、どんどん順位を上げていった。
結局、7つ順位を上げ交代、責任を果たした三浦さんに、ようやく笑顔が戻っ
た。
三浦さんは「1つでも前に行けるようにと思って、きのうよりも気持ちを強く
(走った)」と話した。
午後5時、レース終了し、大阪産業大学は総合7位で完走した。
優勝は芦屋大学で、4連覇となった。
結果は及ばなかったが、三浦さんには、新たな目標ができた。
三浦さんは「みんなが優勝を狙ってたと思うので、悔しかったですけど、でも
やっぱ楽しかった」と話した。
藤田監督は「時には起こるこういうトラブルにどういうふうに対処するか、そ
してそのトラブルを自分たち乗り越える」、「環境を見据えたこういうソーラ
ーカーのプロジェクトというのは、非常にいいと思いますね」と語った。
学生たちのあくなき挑戦、ソーラーが普通に使われる車社会が、もうそこまで
来ている。
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