出典:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080926/315473/
写真●関西電力は大阪府堺市の産業廃棄物処分場跡地に
1万kWの太陽光発電所の建設を決めた
政府は太陽光発電の普及率を飛躍的に高める強化策を打ち出す。価格を
3~5年後に半額にすることを目指し、税制優遇などの施策を講じるほか、
企業のコスト削減努力を今まで以上に求めていく構えだ。
福田首相が洞爺湖サミット直前に発表した「福田ビジョン」をはじめ、
政府の太陽光発電の普及強化策が一斉に明らかになってきた。資源エネル
ギー庁の緊急提言には、「3~5年以内に価格を半額にしたい」という野心
的な目標も盛り込んである。この目標は、7月29日に行動計画として閣議
決定された。
緊急提言の発表後、太陽電池の買い控えが起きた。2005年度に終了し
た補助金が復活し、半額で購入できるようになると踏んだ消費者が多かっ
たのだろう。だが実際には、「いったん終了した補助金を同じ枠組みのま
ま復活させるのは不可能だ」(資源エネルギー庁新エネルギー対策課の渡
邊昇治課長)。
政府の補助制度としては、国土交通省が実施している住宅ローン減税の
対象に太陽電池を加えるといった税制優遇措置になる公算が高い。例えば、
300万円の太陽光発電システムに住宅ローン減税の枠組みを適用すると、
合計で数十万円の優遇になる。「税率と上限額によって優遇の度合いは変
わる」(渡邊課長)
政府の狙いは、普及率の向上とともに、企業にコスト削減努力を求める
ことにある。この2年で太陽光発電の世界市場は2倍以上の成長を遂げたが、
価格はそれほど下がっていない。渡邊課長は、「市場が成長して価格の下
がらない商品は珍しい。欧州の普及推進策のせいで、価格が高いままでも
売れるから一向に安くならない」と憤る。政府の設置補助制度は、コスト
が下がるまでの買い控え対策との位置づけだ。
太陽光に政府の支援が集中
一連の政府方針で、日本の自然エネルギー支援策は、太陽光に集中する
方向性が明確になってきた。東京工業大学の柏木孝夫教授は、「立地の制
約が少なく、日本企業が高い技術力を持っている。さらに、太陽光の普及
で各地の土木業者に金が回るため、地域振興策にもなる」と説明する。公
共事業の新しい形が、太陽光発電の普及で開けるわけだ。
図●太陽光発電の普及を後押しする政策の動き
こうした状況のなか、これまで電力送電網への影響を理由に自然エネル
ギーの普及に消極的だった電力業界にも動きが出てきた。関西電力はシャ
ープと大阪府堺市と共同で、20haの産業廃棄物処分場跡地に、自ら1万kW
の太陽光発電所を建設すると発表。2010年にも発電を開始する。関西電力
グループ経営推進本部の竹中秀夫マネジャーは、「原子力が基軸なのに変
わりはないが、自然エネルギーをやらないでは済まない雰囲気が出てきた」
と漏らす。政府が強力に推進し電力会社が前向きになれば、太陽光発電の
普及に弾みがつく可能性もある。
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