出典:http://www.sanriku-kahoku.com/news/2008_09/k/080927k-houboku.html
栽培が行われなくなった桑園を牛の放牧地として再活用する「遊休桑園活用対策事
業」の現地検討会が二十五日、南三陸町で開かれた。二〇〇五年度に始まった実証試
験の四年間の成果を踏まえながら、今後の活用対策を協議した。県などの事業主体
は、今後も普及を目指し課題を解決しながら研究を続けていく方針。
検討会には気仙沼・本吉地方の畜産農家、桑園所有者と県、三市町の関係者ら二十
四人が出席。初めに南三陸町入谷童子下にある実証事業の桑園を視察した。
実証桑園は〇五年度開設のA牧区、〇六年度開設のB1、B2、C牧区で構成さ
れ、合わせた広さは一・六ヘクタール。牛が逃げないよう、周囲を太陽光発電の電流
が流れる柵で囲んだ「ソーラー電牧」を行っている。
牛が葉を食べることで桑の樹勢が弱まれば抜根作業が省力化されるのに加え、ソー
ラー電牧の低コスト性もあって普及が期待されている。一年目の試験では樹勢が思っ
たほど衰えなかったため、桑の木は二年目以降も残しながら放牧を継続。これまでの
試験で、桑園でのソーラー電牧は上質牛の生産につながることが確認された。
見学終了後、県南三陸合庁で検討会を開催。南三陸農協の担当者が事業概要を説明
し、県東部家畜保健衛生所の吉野淳良指導班長が放牧された牛の衛生管理状況、東北
大大学院農学研究科の小倉振一郎准教授が牛の桑摂取量や桑、下草の成長ぶりなどを
解説した。
吉野班長は、適度な運動で放牧牛の免疫力が向上し、桑や下草を食べて配合飼料軽
減につながることから「健康な牛が低コストで飼育できる」とメリットを強調した。
小倉准教授は、〇五?〇七年度三年間で葉の質は変わらないが、枝に付く数が大幅
に減少したことを指摘。「成牛一頭を六カ月間放牧するには一ヘクタール以上の面積
が必要になる」と説明した。
同研究科の大村道明助教は今年一月に入谷地区でアンケートの結果に基づき、実証
事業を知っている農家が多い半面、「興味がある」「桑園を使ってほしい」との意見
が少ない点を指摘。「桑園放牧をもっと認知してもらう工夫が必要」などと語った。
畜産農家関係者からは「牛の繁殖力・子牛の健康にどう影響するのか」「採算は取
れるのか」などの質問があった。
事業に取り組む南三陸農協と県気仙沼地方振興事務所は、年々増加する遊休桑園の
活用策を探るため、今後も実証試験を継続する。
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