2008年10月24日金曜日

太陽光発電 「家庭用」導入1割補助


出典:http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200810090010a.nwc
 経済産業省は、家庭への太陽光発電設備の導入費補助制度について、設置費
用の1割程度にあたる出力1キロワット当たり7万円の補助を行う方針を固め
た。年明けに始める。補助対象は平均よりも安価で効率性の高い設備に限り、
メーカーによる開発競争を促すことにした。
 一般的な家庭に導入される太陽光発電は3~3.5キロワット分のため、補
助費用は1戸当たり21万~25万円程度になる。現在の平均設置費用は23
0万円のため、1割程度が補助される計算だ。
 補助対象は、1キロワット当たりの設置費用が70万円以下と、平均よりも
安価で、一定の効率性や耐久性が確保されたものに限る。
 08年度の補正予算には太陽光発電の補助費として90億円が計上されてお
り、4万戸程度分が補助対象になる。また、来年度予算の概算要求でも約10
万戸分、238億円の補助費が計上されている。太陽光発電の設置補助は19
94年度から2005年度まで実施された。
 新エネルギー財団によると、全国で太陽光発電設備に対する補助制度を実施
しているのは307自治体。東京都は来年度から出力1戸(3キロワット)当
たり30万円程度の補助制度を導入する予定だ。
                   ◇
【予報図】
 ■普及後押し高まる期待
 地球温暖化対策として、太陽光発電は、世界市場が急拡大を続けているが、
2005年度で住宅用補助金を廃止したことで、日本市場は縮小を続けてきた。
国内メーカーは相次いで増産計画を打ち出したが、成長が著しい欧州など、海
外向けが主だ。それだけに、国内の住宅向け補助復活で「冷え込んでいた国内
市場が活性化する」(メーカー関係者)と期待が高まっている。
 オイルショックを機にいち早く太陽光発電の研究を始めた日本メーカーは、
世界トップの技術力を誇ってきたが、風向きは変わった。
 太陽光発電からの電力を、電力会社が優遇価格で買い取る制度を導入したド
イツやスペインなどを中心に、欧州では太陽電池の普及が加速している。生産
面でも太陽電池業界の米専門紙「PVニュース」によると、07年に生産量で
7年連続世界一を誇ったシャープが、独Qセルズに抜かれた。それでも日本メ
ーカー各社は、海外需要拡大と、国内の大規模発電プロジェクト向けで増産に
動き始めた。
 シャープは次世代型と呼ばれる薄膜太陽電池の生産能力で年間480メガ
(1メガ=100万)ワットにのぼる新工場を、堺市に10年3月までに稼働
させるのに加え、複数の大規模工場を欧州など海外に展開する準備を進めてい
る。将来的には年間6ギガ(1ギガ=10億)ワットの生産体制を構築する。
 三洋電機も10年度までに、基幹部品のセルの新工場を建設し、昨年度に2
60メガワットだった生産能力を10年度には600メガワット超に引き上げ
る。部品を組み込んだモジュール(複合部品)は別の工場で組み立てており、
今後、ハンガリーなど海外のモジュール工場を増強する計画だ。京セラも昨年
207メガワットだったセルの生産実績を、11年度までに650メガワット
に大幅に引き上げる。
 日本の補助復活に対しメーカー幹部は「補助導入をにらんで買い控えていた
層が購入に走る」とそろばんをはじく。住宅向けは海外、国内大口発電に続く
新しい需要となるからだ。
 岩井証券イワイ・リサーチセンターの有沢正一センター長は「補助なしでは
成長に時間がかかる。(国内の住宅向けが伸長し)短期間で産業のすそ野を広
げる。日本メーカーにとっては量産効果が発揮でき、コストを低減できる」と
いう。そうなれば「価格競争で巻き返しを図れる」と分析する。


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