2008年10月24日金曜日

全波長領域の太陽光を吸収できる太陽電池材料、無機と有機のハイブリッドで米大学らが開発


出典:http://eetimes.jp/article/22484/
 一般に太陽電池には波長選択性があり、波長領域によって光の吸収特性が異
なる。このため、特定の波長領域に合わせて材料を選択する必要があった。そ
こで米Ohio State Universityらの研究チームは、「無機/有機ハイブリッド」
による波長選択性が低い新型材料を開発した。あらゆる波長領域の太陽光を吸
収可能な太陽電池を実現できる可能性がある。
 この新型ポリマー材料は、太陽電池における電荷分離の効率を大幅に高めら
れるという。光が当たることで遊離した(電荷分離した)電子が材料内部に自
由電子として残留する時間が、現行の太陽電池に比べて飛躍的に長くなるため
だ。
 同大学のMalcolm Chisholm教授によると、無機/有機ハイブリッドの新型ポ
リマー材料を使えば、「原理的には太陽光を全波長領域にわたって吸収するポ
リマー・ブレンドを実現できる。具体的には、波長がおよそ300n~10μmまで
の光を吸収可能だ」という。
 太陽電池では、入射光によって電子が励起され、材料中の原子の電子殻から
電子が分離する。こうした電子を収集することで電力が得られるわけだ。とこ
ろが、分離した電子は、素早く収集しなければ元の原子に戻ってしまう。通常、
太陽電池材料は蛍光発光性(励起一重項状態からの発光)か、またはりん光発
光性(励起三重項状態からの発光)である。同大学が開発した新型のハイブリ
ッド材料は、これら両方の性質を備えていることから、効率をさらに高められ
る可能性があるという。
 「開発した材料は、励起一重項と励起三重項の両状態において機能する。励
起一重項状態において約10ps程度と比較的長く持続し、励起三重項状態ではさ
らに長く、最長100μsほども持続する。これは電子を電子殻から分離するのに
十分な時間である」(同教授)。
 この新型材料は米Ohio Supercomputer Centerで設計され、台湾National
Taiwan Universityで合成された。米National Science Foundation(NSF:米
国科学財団)とOhio State University所属の研究機関であるInstitute for
Materials Researchから資金提供を受けている。  新型材料に関する詳細な
情報は、2008年10月7日発行の「Proceedings of the National Academy of
Sciences」誌に掲載されている(同誌に掲載された論文の概要)。

The remarkable influence of M2δ to thienyl π conjugation in
oligothiophenes incorporating MM quadruple bonds
http://www.pnas.org/content/105/40/15247.abstract



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