2008年11月15日土曜日

焦点:太陽光エネルギー分野での生き残り、包括的戦略がカギ


出典:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34888720081113
[太田 11日 ロイター] 資源小国の日本だが、日照時間の長さが国内有
数の群馬県太田市では再生可能エネルギー技術の実証試験が行われ、「太陽光
発電のまち」として注目を集めている。
 舞台は、イチゴ畑に囲まれた41ヘクタールの新興住宅「Pal Town
城西の杜(パルタウン)」。
 パルタウンの住民には太陽光パネルが無料配布されており、全住宅の4分の
3が同パネルで覆われるなど、光熱費の節約を願う人々の誘致に成功している。
2005年に家族で同住宅地に移り住んだ廣島未佳さんは「(太陽光)パネル
の話があったのでここに引っ越してきた。太陽光は前から良いなと思って色々
と計算したが、自分ではとても買えなかった」と語る。
 パルタウンでは2002年以降、太陽光発電による電力の安定的な供給など
を目的とした、国が支援する総額97億円規模の実証試験が行われてきた。
 しかしながら太陽光発電は、曇りがちな日本では不安定な発電方法でもある。
晴天の日の正午には出力4キロワットの住宅用太陽光発電機で一般的な世帯の
1日の消費電力量以上が発電できる一方、曇りの日の発電量は一般世帯の消費
量の半分以下だ。
 当局者は、企業と地元自治体が参加した包括的な戦略無しには、太陽光発電
を国内のほかの地域にも広げることは難しいだろうと予測する。パルタウンの
住民が、実証試験が終了する2010年3月以降も太陽光パネルの保有し使用
することを希望しても、地元自治体の力だけでは限界があるという。

 <断続的なエネルギー政策> 
 日本における太陽光エネルギーをめぐる政策は、断続的だ。同エネルギーの
研究に数十年間を費やしたにもかかわらず、ただ家庭用太陽光発電機について
の助成金を採用したり廃止したりを繰り返した結果、国内に活発な市場を確立
するには至っていない。
 アナリストは、製造ラインや製造設備の進歩によっていずれは誰もが日本の
技術に対抗できるようになるのでは、との懸念を示している。ITコンサルタ
ント会社ジェイスターの代表取締役、豊崎禎久氏は「日本は半導体チップやL
CD(液晶ディスプレー)で犯したのと同じ過ちを繰り返そうとしている」と
警告する。
 世界の太陽電池市場では、かつて日本企業のシャープ(6753.T: 株価, ニュ
ース, レポート)、京セラ(6971.T: 株価, ニュース, レポート)、三洋電機
(6764.T: 株価, ニュース, レポート)の3社でシェア50%以上を誇ったもの
の、昨年にはドイツのQセルズ(QCEG.DE: 株価, 企業情報, レポート)と中国
のサンテックSUNO.WAにシェアを奪われてしまった。
 ある太陽光パネル製造機械納入業者は「日本企業が30年間かけて培った技
術に太刀打ちできる新規参入者はいないだろう。だが国内の太陽光エネルギー
市場をてこ入れする策がとられなければ、日本は負けてしまう可能性がある」
と警鐘を鳴らした。



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