2008年11月15日土曜日

【生かせ!太陽光】家庭でしっかり発電(上)設置の満足だけでは効果薄


出典:http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/081111/sty0811110811001-n1.htm
太陽光発電システムのパネルをチェックする加藤和彦さん
=茨城県つくば市の産業技術総合研究所

 屋根の上でエネルギーをつくり出せる太陽光発電システム。環境に優しく、
メンテナンスもほぼ不要といった特徴に引かれる人は多いだろう。購入者に対
する国の補助金支給が今年度中に復活することも、関心を高めるきっかけとな
りそうだ。だが、取り付けただけで性能を100%生かせるとはかぎらない。
故障や業者の設置ミスなどにより、発電量が少ないまま気付かずに利用し続け
るケースもあるためだ。どんな注意が必要なのか-。

「売電」ゼロに
 東京都内に住む会社員の高柳良大さん(42)は10年前、家の建て替えに
合わせて、太陽光発電システムを取り付けた。「自分の家で作れて、自分の家
で使える地産地消のエネルギー」と考えたからだ。
 ところが、これまで3回の異変に見舞われた。最初は設置2年後。通常、太
陽光発電システムを設置している家庭は、自宅で消費しきれなかった電力を電
力会社に売る。高柳さんも「売電」を続けていたが突然、売電量がゼロになっ
たのだ。メーカーの担当者に見てもらったが、「こんなもんですよ」。らちが
あかないため、直流から交流に変換するパワーコンディショナーを自分で開け
てみると、6本の配線のうち4本が焦げて切れていた。「動かぬ証拠」を見て
もらい、パワーコンディショナーを交換してもらった。
 ところが完全には直らず、その翌年には太陽光を受けるパネルの一部が故障
していたことが判明。最終的にパネルを全交換した。今年3~4月には、増え
るはずの累積発電量の数字が変わっていないことに気付いた。メーカーに相談
し、結局、パワーコンディショナーを再び交換してもらった。
 10年保証のおかげで交換は無料だったものの、「新商品の世界なので、実
験台になったかな、という思いがあります」と高柳さん。「今、思うのは、月
々の発電量をしっかりチェックするのが大事だということ。チェックしていな
かったら、異変に気付くのが遅れたかもしれません」

妄信は禁物
 太陽光発電システムは「メンテナンスはほぼ不要」というふれこみで販売さ
れることが多い。だが、故障しないというわけではない。
 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の太陽光発電研究センター主任研究
員、加藤和彦さんは2年半前から、NPO「太陽光発電所ネットワーク」(東
京都文京区)の協力を得て、主に関東地域の家庭66軒の太陽光発電システム
を調べている。細かい調査を終えた13軒のうち10軒で、パネルの一部が焦
げて電流が通りにくくなっていたり、パワーコンディショナーに不具合があっ
たり、何らかのトラブルが見つかった。
 加藤さんは「この数字がそのまま全国の故障割合に当てはまるわけではない」
としながらも、「全国に普及している太陽光発電が100%健全に動いている
と妄信してはいけない」と指摘する。

厳しい目を
 メーカーは、故障対応を迅速に行っている。最大手のシャープは10年の保
証期間内は無料で修理を行うほか、設置や修理にあたる業者に一定の技術を得
てもらうための施工研修を行っている。同業他社の多くも同様の対応だ。
 ただ、故障や異変に対して利用者ももっと厳しい目を持つべきだ、という意
見もある。節電や温暖化防止への意識が高い利用者もいるが、同NPO事務局
長の都筑建さんは「ユーザーはどうも厳しくない」と感じている一人だ。
 「何となく環境に貢献しているから少々のことは気にしないという人が多い。
でも、システムを取り付けているだけで満足していては、本当の意味で二酸化
炭素(CO2)の削減にはつながらない」



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