2008年11月14日金曜日

太陽光発電 再び世界一を目指そう(11月4日)


出典:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/127102.html
 いまほどエネルギーの脱石油を進める好機はない。
 原油相場は下落に転じたが、限りある資源に頼ってばかりはいられない。
 環境意識の高まりもあって、世界的に自然エネルギーの開発競争が激しさを
増している。
 なかでも二酸化炭素を出さない太陽光発電に注目が集まる。日本も普及に力
を入れるときだ。
 北海道がその先頭に立ちたい。太陽光発電は冬季も活用できる。道東は日照
時間も長い。北海道洞爺湖サミットで印象づけた環境重視の姿勢を広く発信す
ることもできよう。
 日本は二〇〇五年にドイツに追い抜かれるまで、太陽光発電の技術、導入量
ともに世界一を誇っていた。そのドイツはいまや、発電能力で日本の一・七倍
とずっと先を行く。
 日本の低落は、住宅用設備に対する導入補助金を〇五年度で打ち切った影響
が大きい。家庭は導入に消極的になり、メーカーの量産化にもブレーキがかか
った。補助金廃止は見通しが甘かったと言うほかない。
 政府もようやく対策に本腰を入れようとしている。現在、日本の太陽光発電
は計百七十万キロワットと、全電力の1%にも満たない。それを二〇年までに
十倍、三〇年には四十倍に増やす方針だ。
 発電設備を備えた新築住宅の割合を七割以上に引き上げるほか、大規模な太
陽光発電所を全国に展開するとの目標を掲げる。
 大規模発電所は確かに近道ではある。ただ、送電設備の費用などを考えれば、
家庭での小さな発電を積み上げていくことが大事だろう。
 経済産業省は来年度、住宅用設備に対する導入補助金を四年ぶりに復活させ
る考えだ。本年度一次補正予算にも前倒しで盛り込んだ。費用の一割ほどを補
助する。
 補助制度は一部の地方自治体にもある。道内では道が昨年度で廃止したが、
北見市や十勝管内足寄町などが独自に補助金を出している。
 太陽光発電は一戸建て住宅で工事費を含め二百万円ほどの費用がかかる。国
や地方自治体の補助金を活用すれば、負担はかなり軽減できる。
 日本の場合、太陽光発電で電気代が浮いた分で設置費用の元を取るのに少な
くとも二十年以上はかかる。
 ドイツでは、二〇〇〇年施行の再生可能エネルギー法で、太陽光による電力
を通常の電気料金の数倍で買い上げるようにした。これで設置費用の回収が早
まり、普及に弾みが付いた。注目したい点だ。
 技術革新によって、発電設備の高性能、低価格化が進み始めた。この流れを
後押しするため、政府には開発支援や税制、料金制度などの優遇措置も検討し
てもらいたい。



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