2008年11月14日金曜日

【FPDI】シャープ町田氏が基調講演,「企業を超え,業界を超え,DCエコハウスの実用化に取り組もう」


出典:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081029/160405/
講演する町田勝彦氏。
町田市が提唱するDCエコハウスのイメージ。

 シャープの代表取締役会長兼CEOである町田勝彦氏は,「FPD International
2008」の基調講演に立ち,「今こそ,企業を超え,業界を超え,DCエコハウス
の実用化に向けて真剣に取り組むべき」との考え方を披露した。

国際競争力を備えた商品を
 講演のタイトルは,「低炭素社会におけるDCエコハウス,液晶・太陽電池・
LEDが創り出す近未来の姿」である。講演の前半では,現在同社が注力してい
る液晶パネルと太陽電池,LEDについて言及した。この中で同氏は,「液晶パ
ネルを9mm,8mmに薄くすることに本当に意味があるのか。技術者の自己満足に
すぎないのではないか」と指摘し,「技術者は,ユーザーのライフスタイルを
大きく変える新しい価値を提供する必要がある」と訴えた。
 その新しい価値の具体例として挙げたのがDCエコハウスである。「次世代の
柱となる技術として,液晶と太陽電池,LEDに期待している。この三つの技術
はいずれも,壁や屋根,天井といった建物の空間との相性が良い。そこでたど
り着いたのが,省エネと創エネを両立させたDCエコハウス(DCエコオフィス)
だ。国内企業が持つ環境技術を結集させれば,真のオンリーワン性を備え,国
際競争力を持った強い産業へと育っていくはずである」(町田氏)。

三つのDC
 DCエコハウスの「DC」には三つの意味が込められている。第1は直流
(direct current)である。住宅で使用する電力をすべて交流(AC)から直流
(DC)に置き換えることで,AC-DC変換時の損失を無くそうというものだ。太
陽光発電システムで得られる電力はDCであり,家庭内で使用する民生機器のほ
とんどはDCで動作する。従って,太陽光発電システムが家庭やオフィスに導入
されれば,AC駆動の民生機器ではなく,DC駆動の民生機器の方が,電力を無駄
なく使えるようになる。
 第2のDCは,「diminish CO2 emission」である。住宅の断熱性や気密性を高
めて,エネルギーの損失を減らすことが目的である。この結果,CO2の発生量
を抑える。
 第3のDCは,「display centric」である。町田氏は,「DC給電技術や真空断
熱技術を導入しても決して楽しくない。住宅の購入をもっと楽しいものにしな
ければならない。そこで登場するのが大画面ディスプレイだ。画面が大きく,
精細度が高いディスプレイが家庭にあれば,必ず生活が変わる」と主張する。

「夢はかなう」
 ただし, DCエコハウスを普及させることはそう簡単ではない。交流(AC)
を使った配電/給電システムが広く普及しているからだ。ただし,町田氏は
「DCエコハウスのコンセプトを聞いて,『夢物語ではないか』と考える方がい
らっしゃるかもしれない。確かに,1年や2年では実現できないが,決して夢物
語ではない」と断言する。
 その理由として同氏は過去の体験を挙げた。同氏は,1998年に社長に就任し
た際に「2005年までに国内で販売するテレビをすべて液晶に置き換える」と宣
言した。しかしその当時,液晶パネルは,視野角やコントラスト比,応答特性
などの技術的な問題に加えて,価格が高いという課題を抱えていた。このため,
「社内外から,時期尚早の夢物語と指摘された」(同氏)という。ところが実
際には,宣言より1年早い2004年に,すべて液晶テレビに置き換えることに成
功したのだ。「夢は必ずかなう」と同氏は言う。
 「まずは,一番良いシステムはどのような形なのかを,コンソーシアムのよ
うなクローズな場ではなくオープンな場で,業界の人たちが集まって議論して
ほしい。技術はすでにある。後は,企業を超え,業界を超えたすり合わせを行
うだけだ」(同氏)。



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