2008年7月11日金曜日

環境問題の新たな指標「グリーンデックス」日本人の環境意識は14カ国中11位



『見てわかる地球の危機~温暖化を生きる~』特別付録DVD「地球環境レポート2008」付き 価格1890円(税込)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080709/164924/
2008年7月11日 金曜日 藤田 宏之
先週は、温暖化と宅地開発の影響で加速度的に広がりつつある米国西部山火事の実態をお伝えしたが、こうした自然現象や気候の異常は、地球規模で起きている。 ナショナル ジオグラフィックでは、これまで急速に進む温暖化の実態を迫力のある写真とともにお伝えしてきたが、7月には、それらを集大成したムック「地球の危機」を発行したので、本誌と合わせてご覧になっていただけるとありがたい。また、今年5月に、米国ナショナル ジオグラフィック協会と調査機関のグローブスキャンが、消費者の環境に関する行動を評価、比較した「グリーンデックス(Greendex)」という新しい指数を発表したがご存知だろうか?この指数を使って、世界14カ国の消費者それぞれ1000人、合計1万4000人を対象に、日常生活での環境意識と消費行動を調査した結果、発展途上国が上位を占め、先進国は軒並み下位に沈むことがわかった。調査結果によると、環境と調和した持続可能な消費を評価する「グリーンデックス得点」は、ブラジルとインドの消費者が共に60点で最高だった。次いで中国(56.1点)、メキシコ(54.3点)、ハンガリー(53.2点)、ロシア(52.4点)。豊かな国では、英国、ドイツ、オーストラリアの得点が50.2点、スペインが50点、日本が49.1点となる。最も得点が低かったのは米国の消費者で、44.9点。次に得点が低かったのは、カナダ(48.5点)とフランス(48.7点)だった。
■調査対象14カ国のグリーンデックス得点
ブラジル  60
インド   60
中国    56.1
メキシコ  54.3
ハンガリー 53.2
ロシア   52.4
英国    50.2
ドイツ   50.2
オーストラリア 50.2
日本    49.1
フランス  48.7
カナダ   48.5
米国    44.9
途上国の人々が経済的に豊かになり、さまざまな消費行動をとるようになった場合、ランキングは変動する。調査結果から、経済が発展しつつある国では消費者が物質的に豊かな生活に強いあこがれを持っており、すべての国の人々が、先進国と同水準の生活を送るべきだと考えていることが分かった。

もうもうと煙を吐く米国の石炭火力発電所。二酸化炭素増加の元凶の1つといわれている。
調査では、すべての国の消費者が環境問題に関心を持ち、日常生活において消費や廃棄物を減らすために何らかの行動をとっている、といういい傾向も浮かび上がった。また、発展途上国の消費者は環境問題について強い懸念を抱いており、先進国の消費者よりも環境にやさしい行動を選択をしている。
発展途上国の消費者は、先進国の消費者よりも環境問題に関して責任を強く感じているようだ。発展途上国では、10人中6人が環境問題は自分の健康に悪影響を及ぼしていると回答している。これは、先進国の2倍の数字。さらに発展途上国の消費者は「地球温暖化は自分が生きているうちに暮らしを悪化させる」という意識が強いという結果がでた。環境問題に積極的に関わり、自分が環境に与える影響に責任を感じ、その影響を最小限に抑えようとしていることが推察される。こうした結果から、エコロジカル・フットプリント(人間による自然資源の消費を測る指標)において、消費者の選択が非常に大きな意味をもつことが分かる。政府や企業は、すべての消費者に対して環境にやさしい選択肢を入手しやすい価格で提供する必要がある。特に発展途上国の消費者は経済が発展して消費パターンが変化するにつれ、グリーンデックスのランキングが落ちる可能性があり、こうした選択肢を増やすことが重要だ。

衣類を手で洗い、太陽の下で乾かすボツワナの主婦。洗濯による温室効果ガスの排出量はゼロだ。
今回、刊行した「地球の危機」では、アフリカのボツワナ、インド、米国で、それぞれの土地で、平均的な市民がどのような消費生活を送っているかをレポートしている。二酸化炭素の排出率でみると、いううまでもなく米国が圧倒的に多い。米国ほどではないとしても、日本人も似たりよったりの生活を送っている。ナショナル ジオグラフィック日本版のサイト内の特設ページで質問に答えれば、自分のグリーンデックスの得点を調べられる。みなさんも是非ご自身の“エコ度”を国際比較してみてください!

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