2008年7月18日金曜日

三菱樹脂専務スティーブ・ユーリック氏に聞く 太陽光発電向け世界展開


【プロフィル】スティーブ・ユーリック
 1979年、米モンタナ州立大化学工学科修了。同年、米セラニーズケミカル入社。98年、三菱ポリエステルフィルム米国法人社長。2007年、三菱化学ポリエステルフィルム代表取締役CEO。三菱ケミカルホールディングス傘下の機能材料事業の統合により、08年4月より現職。


http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200807180068a.nwc
FujiSankei Business i. 2008/7/18
三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の機能材料部門4社1事業が4月に統合して発足した三菱樹脂。ポリエステルフィルム事業統括の担当に就任したスティーブ・ユーリック専務(53)は、グループ経営陣で唯一の外国人だ。海外に成長を求める同社の取り組みについて聞いた。(吉村英輝)
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 --液晶テレビ向けなどの光学用ポリエステルフィルムは世界トップシェアだ
 「フラット・パネル・ディスプレー(FPD)は日本で独自に発達した。高度な技術を要求される。ただ、FPD事業は東欧などに広がるものの、基本的には日本市場が中心だ。今後のフィルム事業の世界展開を考えれば、成長が期待される太陽光発電パネル向けフィルムが有望だ」
 --太陽光発電の有力市場は
 「新規成長事業だけに、世界中といえる。日米欧に加え、中国やインドなどにも広がり、すでにソーラー事業者向けのフィルム出荷が始まっている。課題は太陽光発電パネルのコスト。技術革新で現在の半分に抑えられれば、風力発電などに対しても、価格競争力がでる」「1990年代の欧米企業買収によって、ポリエステルフィルム事業はすでに、従業員、研究開発、生産、顧客が米国、欧州、日本で3分の1ずつの等配分となっている。三菱樹脂内の他事業と大きく異なる点だ。世界規模での情報共有や共同作業により、迅速できめ細かい市場対応ができるのが当社の強みだ」
 --日本の樹脂市場は独特で、国際的な常識が通用しないとの指摘もある
 「その土地ごとに特色があるのは世界中に共通しており、プラスチック加工の事業はどの国でも難しい。どんな顧客企業もより良い商品をより安く欲しがる。世界中の素材企業は、彼らと手を携えて開発を進めている。だから商売はその土地の市場に合わせて行う。だが、事業に対する考えは、例えば原燃料の高騰への対応など、グローバルな視点が不可欠だ」
 --三菱樹脂はグローバル成長できるのか
 「会社はそのスタッフと同じレベルにしか育たない。鍵は人材だ。言葉が最も難しいがコミュニケーションのこつさえ押さえれば、あとはグローバルな考えを持った社員を探して組織し、会社を変えていけばいい。新社発足間もないが、若手にも役員にもそういう人材が多いことが分かった」「一番の問題は、リスクをとる気構えだろう。いちど国際展開の経験をすることが大切。多少の文化の違いや対応に違いはあるが、世界のどこにいても商売はチャレンジが重要。心配しすぎる必要はない」
 --実現するには  「旧三菱化学ポリエステルフィルムでは毎年、日米独からそれぞれ2人を研修に出しあったり、3~5年間の人材派遣も行ってきた。開発や製造ライン、マーケティングでは3カ国で横断的なチームをつくり事業を展開しており、ビジネスを通じた人材育成も有意義だ。三菱樹脂でも同様の人材育成をしていきたい」

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