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クリーンな自然エネルギーとして注目を集めている太陽光発電。ドイツのQセルズやシャープが代表的な太陽光発電パネルメーカーだが、中小メーカーにすぎなかった昭和シェル石油が俄然、存在感を示し始めた。2011年をメドに1000億円超を投じて年間生産量1000メガワットという、世界でもトップクラスの大型パネル工場を建設・稼働すると発表したのだ。 太陽光発電パネルを製造し始めたのは2007年7月で、じつはまだ1年しかたっていない。工場は宮崎県にあり、年間生産量はわずか20メガワット。ただ量産品の品質が予想以上によく、ドイツやフランス、イタリア向けに飛ぶように売れていることから、4月に同県内に年間生産量60メガワットの第二工場を着工したばかりだっただけに、大躍進といえる。 これだけスピーディな投資を決められたのは、他社よりも有利な商品の開発に成功したため。製造している太陽光発電パネルは、CIS型の薄膜系といわれるタイプで、通常の太陽光発電パネルで使用しているシリコンをいっさい使っていないのが特徴だ。 シリコンは近年、需給がタイトになっていることから価格が高騰しており、メーカーにとって頭痛の種になっていた。CIS型は銅、インジウムやセレンといった金属化合物を使用している。使用量はごくわずかであり、シリコン系に比べて価格競争力がある。同じ方式で商業化レベルに達したメーカーはなく、先行者メリットを享受できると判断したのだろう。 昭和シェルにとって今回の投資は社運を賭けての投資といっても過言ではない。2006年の設備投資額は325億円、2007年は236億円にすぎないことを考えると、1つの工場に1000億円超を投資するのは大胆といえる。じつはマスコミに配布した説明資料には、15年頃に今回の第三工場に匹敵する大型の設備投資を計画しているとも取れる記述がある。太陽光発電パネルメーカーとしてメジャープレーヤーを目指す並々ならぬ意気込みが感じられる。 本業の石油の精製・販売については、原油高で価格転嫁が進みにくいだけでなく、ガソリンスタンドがオーバーストアであることから過当競争に陥っており、決して明るい状況ではない。今回の投資金額を考えると、むしろ今後は太陽光発電パネルを中心とした新規ビジネスこそが本業になっていく可能性さえありそうだ。
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