2008年7月31日木曜日

変貌を遂げつつある産総研 太陽光発電研究センターの役割,成果報告会から


http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080730/155777/?ST=observer
2008/07/30 19:26 2008年7月28~29日に開催された「第4回太陽光発電研究センター成果報告会」からは,急速に拡大する太陽光発電産業の中で,産業技術総合研究所 太陽光発電研究センターの役割が変わりつつあることが読みとれた(Tech-On!関連記事)。 2007年に比べて2008年の報告会は,コスト低減を含めた産業化を意識した内容の発表が目を引いた。例えば「飛躍的低コスト化を可能にする薄膜シリコン太陽電池仮想工場」や「太陽光発電システムの導入可能量に関する研究」などである。「薄膜シリコン太陽電池仮想工場」では,「PV2030ロードマップ」が目指す“2030年に発電コスト7円/kW時”の達成を15年前倒して,“2015年にモジュール・コストを現在の約1/3の50円/Wにする”ための薄膜Si型太陽電池工場の姿を検討した。厚さ0.4mmの鉄板を基板にしたロール・ツー・ロール生産でタンデム型の薄膜太陽電池を高速で形成することによって,65円/Wのモジュール・コストを実現できるとする。「太陽光発電システムの導入可能量に関する研究」では,2030年時点に予想される日本での総発電電力量1.128TW時に対して,蓄電設備なしで88GWまでの太陽光発電システムを導入できることを需給バランスの観点から示した。また,蓄電設備を導入すれば,133GWが可能であるとする。 いずれの研究も,様々な仮定の上での数値であり,今後の産業界での議論と精査が必要である。しかし,太陽光発電の最先端技術を追求する産業技術総合研究所で,この様な検討がなされたことが興味深い。太陽光発電産業で現実のビジネスが大きく先行しており,太陽光発電研究センターもそれに併せて進化することが求められていることを示している。このほかに,2008年7月2日に経済産業省が,太陽光発電研究センターをCenter of excellence(COE)に選定したことが,今回の会議の場で紹介された(経済産業省報道発表)。温室効果ガス排出量を2050年までに半減(対現状比)するという「クールアース50」の長期目標を実現するための中心となる研究拠点として,東京大学先端科学技術センターと並んで産業技術総合研究所つくばセンターが選定された。2008年から7年間の予定で,国内の大学・企業、諸外国の世界トップレベルの研究機関とも連携しつつ技術開発を進め,2050年の実用化を目指すとしている。この新たなミッションを背にした太陽光発電研究センター長の近藤道雄氏の言葉の端々には,太陽光発電技術に関する研究開発のみならず,太陽電池製造,市場,政府施策などについて様々なメッセージが込められていた。今後の太陽光発電研究センターの役割が,一層増していくことを感じ取れる。なお,「クールアース50」の長期目標には,発電コストとともに変換効率40%の数値目標がある。これに向けた高効率化の開発もこれまで通り進められる。今回の発表の中でも,薄膜を堆積した多接合技術などの開発で,この目標を達成していくことも述べられた。北原 洋明=テクニカルライター

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