帝人製の樹脂フィルムを基板にしたCIGS型太陽電池
今回の太陽電池の主な構造。裏面電極層は,アルミニウム(Al)の蒸着で形成した。
産業技術総合研究所は,フレキシブル基板を用いたCIGS型太陽電池で,セル変換効率17.7%を確認したと発表した。フレキシブルなCIGS型太陽電池としては世界最高クラスの効率とみられる。産総研によれば,従来フレキシブルなCIGS型太陽電池の作製には,p型半導体の形成に課題があったという。CIGS型太陽電池のp型半導体のキャリア密度は,ナトリウム(Na)などのアルカリ金属の添加で制御する。具体的には,セレン化ナトリウム(Na2Se)やフッ化ナトリウム(NaF)を半導体に添加していた。ところが,Na2SeやNaFは不安定で再現性が低かったという。今回,産総研は,まずケイ酸塩ガラス層を基板上に形成し,この層の成膜条件を制御することで,裏面電極層を通過して光吸収層に拡散するアルカリ金属の量を制御する技術「alkali-silicate glass thin layer(ASTL)法」を開発した。これによって簡便にアルカリ金属を添加できるようになり,再現性も向上したことで,太陽電池の変換効率も大幅に向上したという。利用した基板は,セラミック基板,帝人が提供した透明な樹脂フィルム,表面の粗いチタン(Ti)箔の3種類。セル変換効率17.7%はセラミック基板を用いた場合の値で,樹脂フィルムでは同14.7%,Ti箔では同17.4%だった。技術の詳細は2008年7月28~29日に日本科学未来館で開催される「第4回産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター成果報告会」で発表するという。野澤 哲生=日経エレクトロニクス
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080718/155027/
2008/07/18 17:19
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