2008年7月29日火曜日

HIT太陽電池を主力とした事業戦略/いつでも、どこでも、太陽電池の時代へ――三洋電機


写真1 HIT太陽電池の断面構造 左側は結晶系太陽電池の断面構造


http://monoist.atmarkit.co.jp/feledev/news/2008/07/29sanyo.html
2008/7/29 三洋電機は2008年7月29日、太陽電池の市場動向と同社の事業戦略についての説明会を開催。同社がエナジー領域事業として掲げる二次電池事業と太陽電池事業のうち、地球環境への取り組みとして、今後は太陽電池事業をコア事業にするという考えを示した。

 2007年の世界における太陽電池生産量は3733MW(前年比151%)であり、そのうち日本は920MW、原子力発電所の約3機分の生産量にあたる。太陽電池市場は今後も拡大を続け、2010年には4500MW規模になると予測されている。(Marketbuzz2007をもとに三洋電機が推定)

 具体的な取り組みとしては、同社が太陽電池事業において主力差異化商品としているHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer Solar Cell)太陽電池を前面に出した展開や、シリコンウエハの調達からハウスメーカーまでを一貫した事業化の促進を考えているという。

 HIT太陽電池は、太陽からの熱を電力に変換するセル変換率が19.7%であり、両面発電、表裏対称構造で薄型化に有利とされている。従来のヘテロジャンクション対応電池のp型およびn型のシリコンウエハの間にi層と呼ばれる不純物を含まない角膜の層を入れることで、熱を拡散。形成時の発熱量を約200度にした。

設置事例として欧州では、太陽の動きに合わせて向きを変えるトラッキングシステムを搭載したものが人気を得ているという。

 「地球にやさしい太陽電池でクリーンエネルギーを具現化ということで、製造面では省エネルギー、省電力であること。ユーザー面では発電量が多いこと、省スペースであること、環境負荷が少ない材料であることをコンセプトとして開発しました。HIT太陽電池は、世界の太陽電池生産で約90%以上を占めている結晶系太陽電池が形成時に約900度の熱を発するのに対し、約200度という低温での形成を実現しています」(同社 ソーラー事業部 事業企画部 担当部長 脇坂健一郎氏)

同社は今後2010年度までに太陽電池事業に累計700億円以上を投資し、HIT太陽電池生産量を現行2.5倍の年間600WM規模に拡大。HIT太陽電池事業のさらなる差別化と強固な事業基盤造りを図るという。

 さらに、会見では薄膜シリコン太陽電池ビジネスへの参入も視野も示唆。2008年4月に設立した岐阜県の先進太陽光発電開発センターにて、太陽光の有効利用をした微結晶のシリコンタンデム型電池の開発を進めているという。広いバンド領域を持つ太陽光スペクトルの短波長をアモルファスシリコン(a-Si)、残りの長波長を微結晶シリコン(μc-Si)と、2回に分けた吸収をする薄膜シリコン太陽電池だ。

 「将来的には、集合住宅あるいは個人住宅、HEV用の充電スタンドに対して電気が供給できるような、いつでも、どこでも、誰でも、太陽電池の時代を創出したいと思っています」(脇坂氏)







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